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年金制度改正法成立(在職老齢年金制度の見直し)

2025年8月4日

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令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出され、衆議院の修正を経て、令和7年6月13日に成立しました。

 

 

■主な改正内容は・・・

 

① 社会保険の加入対象の拡大② 在職老齢年金の見直し

③ 遺族年金の見直し

④ 厚生年金等の標準報酬月額上限の段階的引上げ

⑤ その他の見直し(私的年金の員直し等)

 

今回は、上記の中でも施行日が早い「在職老齢年金制度の見直し」について改正内容を確認していきましょう。

 

 

■在職老齢年金の見直しの内容

 

在職老齢年金の支給停止の基準額を、50万円(2024年度価格)から62万円(2024年度価格)へ引上げ(2026年度までの賃金変動に応じて改定)

 

 

■施行日

 

令和8年4月1日

 

 

■在職老齢年金見直しの効果

 

働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額(支給停止の基準額)を超える場合には、超えた金額の半分の老齢厚生年金額について支給停止が行われます。

支給停止調整額(支給停止の基準額)が引きあがるということは、これまでよりも多く給与を得ても老齢厚生年金が支給停止にならないということになります。

 

<計算例>標準報酬月額:400,000円、賞与年額600,000円 厚生年金の月額100,000円の場合を例にとって計算すると・・・

 

標準報酬月額400,000円+賞与月額50,000円(600,000円÷12月)+厚生年金月額100,000=550,000円

令和7年度の場合、支給停止調整額が510,000円のため、510,000円を超えた40,000円の半分にあたる20,000円が支給停止になります。

令和8年度施行日以降は、支給停止調整額が620,000円(これは2024年度価格のため、実際は賃金変動に応じて改定されます)になるため、同じ賃金等を得ても年金が全額支給されることになります。

 

 

■在職老齢年金の支給停止調整額(支給停止の基準額)の直近の推移

 

在職老齢年金の支給停止調整額(支給停止の基準額)は毎年度賃金変動に応じて改定されますが、ここ数年の推移は、2022年度47万円、2023年度48万円、2024年度50万円、2025年度51万円となっています。

2026年度は62万円と改正されましたが、これは2024年度の賃金水準に対しての価格になりますので、2026年4月1日施行日時点の支給停止調整額は2026年度までの賃金変動等に応じた額で決定されます。例年ですと、翌年度(4月1日以降)の支給停止調整額については、1月中旬から下旬頃に厚生労働省のホームページ内、報道発表資料(令和○年度の年金額の改定について)にて公表されていますので、最終的な額はそちらで確認するとよいでしょう。

 

 

■まとめ

 

在職老齢年金制度については、高齢者の就業活躍の重要性と年金の支給停止による就業調整等の問題を背景に、見直しが検討されていましたが、今回の改正により、高齢者の方が、働きながらより年金を受給しやすい仕組みになります。

現状、年金が支給停止にならないように就業調整している方や今後そのような予定をされている方には、特に注目すべき改正だと思います。

また、賃金や所定労働時間を増やした際の標準報酬月額は、変更後の給与支給月からすぐに変わるわけではなく変更後3か月の賃金総額及び勤怠状況によって判断され、随時改定に該当した場合で実際に変更になるのは4か月目の標準報酬月額からということになります。

計画される際にはそのあたりも含めて検討されると良いでしょう。これまでよりも、高齢者の就業における選択の幅が広がるのではないでしょうか。

 

 

詳細は下記をご確認ください。

年金制度改正法が成立しました|厚生労働省

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