みなと横浜中央社会保険労務士法人

お問い合わせ : AM 9:00 〜 PM 5:00 [月〜金]

045-251-9980

お役立ち情報

  • 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律による 雇用保険制度の改正について

    2024年10月2日

    お役立ち情報

    令和6年6月12日に公布された子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律により、雇用保険制度の一部が改正されます。

    前回前々回の記事では、令和6年5月31日公布の育児・介護休業法の改正について取り上げてきましたが、育児関連の改正として今回は雇用保険制度の改正内容についてみていきましょう。

     

    <改正内容>

    現行法では、育児休業給付として、育児休業給付金と出生時育児休業給付金がありますが、今回の改正により、次の2種類の給付が創設されます。

     

    (現行)
    育児休業給付・・・・・・・・育児休業給付金・出生時育児休業給付金

    (創設)
    ①出生後休業支援給付・・・・出生後休業支援給付金
    ②育児時短就業給付・・・・・育児時短就業給付金

     

    夫婦がともに働き、共に育児を行うことや、男性の育児休業の取得を更に推進するために、これまでの育児休業給付金や出生時育児休業給付金に加えて、さらに、①の出生後休業支援給付金が上乗せされるものです。

    また、現行法では育児のために短時間勤務制度を選択した場合の賃金低下に対する給付はありませんが、②の育児時短就業給付により、これまでより育児短時間勤務制度を選択しやすくするものです。

     

    1、出生後休業支援給付の創設 (施行日:令和7年4月1日)

     

    <給付の要件>

    ①子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に育児休業を取得すること。

    被保険者とその配偶者の両方が(※)、上記期間内に14日以上の育児休業を取得すること。

    ※配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合等は、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付されます。

     

    <給付期間>

    最大28日間

     

    <給付率>

    休業開始前賃金の13%相当額

    現行の育児休業給付の給付率は育児休業開始から180日までは67%であるため、創設される出生後休業支援給付金を合わせると給付率は80%に引き上げられます。

     

    2、育児時短就業給付の創設 (施行日:令和7年4月1日)

     

    <給付の要件>

    ①被保険者が、2歳未満の子を養育するために、所定労働時間を短縮して勤務(時短勤務)をしていること。

    ②(イ)(ロ)いずれかを満たすこと。

    (イ)育児時短就業の開始前の原則2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あること。(※)

    (ロ)育時休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であって、当該給付に係る休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき

    ※(イ)は、育児休業給付又は出生時育児休業給付開始時と同様の方法にて被保険者期間の確認をし、要件を満たすことが必要です。(ロ)は育児休業給付金又出生時育児休業給付金の支給にあたりすでに被保険者期間の要件を確認しているため、改めて(イ)のような内容を確認する必要がなく、要件を満たすことになります。

     

    <給付率>

    ①時短就業中に支払われた賃金が時短就業開始時の賃金日額の90%未満の場合、時短就業中に支払われた賃金の10%

    ②時短就業中に支払われた賃金が時短就業開始時の賃金日額の90%以上100%未満の場合、時短就業中に支払われた賃金の10%から一定の割合で逓減するよう省令で定める率

    ※各月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるときは、当該月については、育児時短就業給付金は支給されません。

     

    育児・介護休業法の改正だけでなく、雇用保険制度の給付の面からも、育児休業等の取得や育児短時間制度の活用等、育児と仕事をより両立しやすい環境の実現を推進するものとなっています。

    これは、こども未来戦略「共働き・共育ての推進」の取り組みの一つとして実施されるものとなります。

    制度の詳細については、今後省令にて確認していくことになります。

    従業員からの問い合わせも増えてくることが予想されますので、育児・介護休業法の改正と一緒に、まずは制度全体の概要を把握しておくと良いでしょう。

     

     

    詳細は下記、厚生労働省のホームページをご確認ください。

    令和6年雇用保険制度の改正内容について(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)/厚生労働省

    令和6年雇用保険制度改正について/厚生労働省

  • 令和6年度の最低賃金が決定しました。

    2024年10月2日

    お役立ち情報

    令和6年度の最低賃金が決定されました。

    効力の発行日は各都道府県により異なりますのでご注意ください。

    神奈川県の場合は、効力発生日は令和6年10月1日です。

     

    ※単位は円(近隣の都道府県のみ)

    都道府県名 令和6年最低賃金 令和5年最低賃金 発効年月日
    茨城 1,005 953 令和6年10月1日
    群馬 985 935 令和6年10月4日
    埼玉 1,078 1,028 令和6年10月1日
    千葉 1,076 1,026 令和6年10月1日
    東京 1,163 1,113 令和6年10月1日
    神奈川 1,162 1,112 令和6年10月1日

     

     

    最低賃金の適用される労働者の範囲

     

    地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。(パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。)

     

     

    最低賃金の対象とならない賃金

     

    ①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)

    ②1箇月を超える毎に支払われる賃金(賞与等)

    ③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金)

    ④所定労働日以外の労働日に対して支払われる賃金(休日割増賃金)

    ⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金計算額を超える部分(深夜割増賃金等)

    ⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当等

     

     

    最低賃金額以上かどうかを確認する方法

     

    支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

     

    ①時間給制の場合

    時間給≧最低賃金額(時間額)

     

    ②日給制の場合

    日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

    日給≧最低賃金額(日額)

     

    ③月給制の場合

    月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

     

    ④出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

    出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

     

    ⑤上記①、②、③、④の組み合わせの場合

    例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記②、③の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

     

     

    最低賃金以上の賃金額を支払わない場合の罰則

     

    最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

     

     

    全国の地域別最低賃金等、詳細は厚生労働省のホームページをご覧ください。

    地域別最低賃金の全国一覧/厚生労働省

    最低賃金額以上かどうかを確認する方法/厚生労働省

  • 育児・介護休業法の改正について<②介護に関する改正編>

    2024年9月3日

    お役立ち情報

    令和6年5月31日公布の育児・介護休業法の改正について、前回の育児に関する改正(育児・介護休業法の改正について<①育児に関する改正編> (mycsr.or.jp))に続き、今回は介護に関する改正の概要について確認していきましょう。

     

    介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等として、改正される内容は次の5つです。

    1~4が事業主の義務5は事業主の努力義務です。

    また、施行日はいずれも令和7年4月1日です。

     

    <改正内容>

    1、介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

    育児については令和4年4月1日施行の育児・介護休業法の改正にてすでに個別の周知・意向確認が事業主の義務になっています。
    今回の改正にて介護についても同様に、介護休業や両立支援制度についての個別周知・意向確認を面談・書面等の方法により行うことが事業主に義務づけられるものです。
    周知内容や方法等の詳細は、今後省令にて示されます。

     

    2、介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供

    1の個別の周知・意向確認は、介護に直面した本人から申し出があったタイミングで個別に行うものですが、これは、介護に直面するよりもっと前の早い段階から両立支援制度等に関する情報提供を行うことを事業主に義務づけるものです。
    また、両立支援制度等と同時に介護保険制度の内容を知ることが効果的であることから、介護保険制度についても併せて周知することが望ましいということが、指針案にて示されています。

     

    3、仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備

    育児については令和4年4月1日施行の改正で既に義務になっていますが、今回の改正により介護についても、研修や相談窓口の設置等のいずれかを選択して措置を行うことが事業主に義務づけられるものです。
    詳細は今後省令で示されますが、省令案では、育児の雇用環境整備を踏襲した内容になっています。

     

    4、介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止

    現行法では、労使協定の締結により、勤続6か月未満の労働者と週の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外とすることができましたが、今回の改正により、勤続6か月未満の労働者を対象外とすることができなくなります。
    週の所定労働日数が2日以下の労働者は引き続き労使協定で対象外とすることができますが、その場合は労使協定を修正し、再締結する必要があります。

     

    5、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務

    現行法では、事業主は、家族を介護する労働者について、介護休業の制度もしくは介護休暇に関する制度又は所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずることが努力義務となっていますが、改正後は、労働者がテレワークを選択できるようにすることが努力義務に追加されます。

     

    ■施行日までの対応

    ・個別周知・意向確認の書面等の準備

    ・情報提供の書面等の準備

    ・雇用環境整備の内容の検討と準備

    ・就業規則等の変更・追加

    ・労使協定の修正及び再締結(労使協定で対象外を定める場合)

     

    今後、示される省令や指針の内容を注視し、令和7年4月1日の施行日までに準備をしていきましょう。

    また、施行日までの対応については、育児と介護を同時に進めていくとよいでしょう。

     

     

    詳細は、厚生労働省のホームページにてご確認ください。

    令和6年改正法の概要

    育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正のポイント

  • 短時間労働者に対する社会保険適用拡大(令和6年10月)

    2024年9月3日

    お役立ち情報

    平成28年10月から、特定適用事業所で働くパート・アルバイト等の短時間労働者が一定の要件を満たすことで、健康保険・厚生年金保険の被保険者となることとなりました。

    現在、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業等で働く短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険(社会保険)の加入対象となっています。

    この短時間労働者の加入要件がさらに拡大され、令和6年10月から厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。

     

    令和6年10月からの改正点

     

    「特定適用事業所」の要件

    (変更前)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時101人以上の事業所

    (変更後)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時 51人以上の事業所

     

    1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業等のことを「特定適用事業所」といいます。

    適用拡大の対象となる可能性がある事業所には、日本年金機構から案内文書が発送されています。

     

    短時間労働者とは

     

    特定適用事業所に勤務する方で、1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満である方のうち、以下の要件にすべて該当する方が短時間労働者として社会保険の加入対象となります。

     

    ①週の所定労働時間が20時間以上であること

    ②所定内賃金が月額8.8万円以上であること

    ③継続して2ヶ月を超えて使用される見込みがあること

    ④学生でないこと

     

    事前準備を始めましょう!!

     

    特定適用事業所(令和6年10月以降新たに特定適用事業所に該当する事業所を含む)で、令和6年10月から新たに被保険者となる従業員がいる場合は「被保険者資格取得届」等の提出が必要です。

    事前に準備を始めましょう!!

     

    ①令和6年10月から新たに被保険者となる短時間労働者の把握

    ②令和6年10月から新たに被保険者となる従業員への説明

    ③令和6年10月以降の「資格取得届」の準備

     

    詳細は、日本年金機構ホームページでご確認ください。

    短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大/日本年金機構

  • 育児・介護休業法の改正について<①育児に関する改正編>

    2024年8月2日

    お役立ち情報

    男女ともに仕事と育児・介護をより両立しやすい環境の実現を目指し、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)及び次世代育成支援対策推進法(次世代法)の一部を改正する法律が令和6年5月31日に公布されました。

    また、同年6月12日には、子供・子育て支援法の一部を改正する法律が公布され、育児に関する給付等、雇用保険法の一部も改正になります。

    多くの改正が予定されていますが、まずは、育児に関する改正の概要について確認していきましょう。

     

    【1】子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

     

    1、柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

    3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対して、下記の項目から2以上を選択して措置することが事業主の義務となります。

    措置を選択する際には、過半数組合等(過半数組合がない場合は過半数代表者)からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

    また、選択した措置については、子が3歳になるまでの適切な時期に個別の周知・意向確認を行います。

    労働者は、事業主が講じることとした2以上の措置の中から、一つを選択して利用することができるものです。

     

    <柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢>※2つ以上を選択。

    ①始業時刻等の変更

    ②テレワーク等(10日/月)※原則時間単位で取得可とする。

    ③保育施設の設置運営等

    ④新たな休暇の付与(10日/年)※原則時間単位で取得可とする。

    ⑤短時間勤務制度

     

    2、所定外労働の制限の対象拡大(施行日:令和7年4月1日)

    現行法において、所定外労働の免除を請求できるのは、3歳に満たない子を養育する労働者とされていますが、改正後は、小学校就学前の子を養育する労働者までが請求可能範囲となります。

     

    3、子の看護休暇の見直し(施行日:令和7年4月1日)

    子の看護休暇の取得期間延長、取得事由の拡大、及び労使協定の締結により除外できる労働者の範囲の変更等により、より活用しやすい制度へ改正されます。 

            <改正前>              <改正後>

    (名称)子の看護休暇 (名称)子の看護休暇
    (対象となる子の範囲)

     小学校就学の始期に達するまで

    (対象となる子の範囲)

     小学校3年生修了まで

    (取得事由)

    ・病気・けが

    ・予防接種・健康診断

    (取得事由)

     ※下記事由が追加されます。(詳細は省令)

    ・感染症に伴う臨時休業・学級閉鎖等

    ・入園(入学)式、卒園式等の行事参加

    (労使協定の締結により除外できる労働者)

     ・引き続き雇用された期間が6か月未満

     ・週の所定労働日数が2日以下

    (労使協定の締結により除外できる労働者)

    ・週の所定労働日数が2日以下

    (※「引き続き雇用された期間が6か月未満」

    の要件は廃止)

     

    4、育児のためのテレワークの導入の努力義務化(施行日:令和7年4月1日)

    3歳に満たない子を養育する労働者が、テレワークを選択できるように措置を講ずることが努力義務になります。

    現行法では、小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、①育児の目的のために使用できる休暇制度を与えるための措置及び子の年齢に応じて、②育児休業又はそれに準ずる措置、③始業時刻の変更等※の措置が努力義務になっていますが、今回の改正により、④「テレワーク」が追加されました。

     

    <※③始業時刻の変更等の措置とは>

    ・フレックスタイム制度

    ・始業・終業時間の繰上げ、繰下げ制度(時差出勤)

    ・保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与

     

    5、育児短時間勤務の代替措置に「テレワーク」の追加(施行日:令和7月4月1日)

    現行法において、3歳に満たない子を養育する労働者が希望する場合、短時間勤務制度(1日の所定労働時間を6時間に短縮)を適用させることが義務付けられていますが、業務の性質上、短時間勤務制度を講じることが困難と認められる業務に従事する労働者として労使協定により適用除外された労働者に関して、①育児休業に関する制度に準ずる措置又は②始業時刻の変更等※の代替措置を講じなければならないとされています。

    今回の改正により、従来の代替措置に加え、「テレワーク」が追加されます。

     

    <※②始業時刻の変更等の代替措置とは>

    ・フレックスタイム制度

    ・始業・終業時間の繰上げ、繰下げ制度(時差出勤)

    ・保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与

     

     

    【2】労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮等の新設

     

    6、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

    令和4年4月1日の改正により、労働者から妊娠・出産の申出があった際には育児休業等の制度について個別の周知及び意向確認をすることが義務づけられていますが、今回の改正は、それに加えて、妊娠、出産の申出時や子が3歳になるまでの適切な時期に、就業条件等について労働者の意向を聴取し、またその意向に対して事業主が配慮をすることを義務付けるものです。

    労働者の意向に配慮することで、離職を防ぎ、労働者が仕事と育児を両立しやすくなることを目的としています。

     

    ■個別周知・意向確認、及び意向の聴取と配慮等のタイミングや内容について 

     

    ~労働者からの妊娠・出産の申出時~

     

    ①育児休業制度の個別周知・意向確認(令和4年4月1日施行済。産後パパ育休については令和4年10月1日から対象)

    ※個別周知事項

    ・育児休業・産後パパ育休に関する制度

    ・育児休業・産後パパ育休の申出先

    ・育児休業給付に関すること

    ・労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い

    ※意向確認と方法

    休業の取得についての意向を、面談、書面交付等の方法により確認する。

     

    ②個別の意向の聴取と配慮(今回の改正による)

    ※意向の聴取(子や各家庭の状況により両立が困難になる場合もあるため、両立するために必要な労働者の意向を確認すること。)

    例:勤務時間帯、勤務地、両立支援制度の利用期間の希望等

    聴取の方法は、今後、省令により面談や書面交付等とされる予定。

    ※意向の配慮(意向を確認したあとは、自社の状況に応じ、意向に配慮すること。)

    例:配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直し等

     

    ~3歳になるまでの適切な時期~

     

    ①柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認(今回の改正による)

    ※柔軟な働き方として講ずる措置の制度の説明及び利用の意向を確認する。

    ※個別周知・確認の方法は、今後、省令により面談や書面交付とされる予定。

     

    ②個別の意向の聴取と配慮(今回の改正による)

    ※<労働者からの妊娠・出産の申出時>の②と同様。

     

    柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認や仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取は、妊娠・出産の申出時、3歳になるまでの適切な時期だけに限らず、育児休業からの復職時や両立支援制度の利用期間中等、定期的に実施することが望ましいとされています。

     

     

    7、育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大(施行日:令和7年4月1日)

    令和5年4月1日の改正により現行法では、従業員1000人超の会社に、育児休業等の取得状況の公表が義務付けられていますが、今回の改正により従業員300人超の企業に、公表が義務付けられます。

     

     

    まとめ

     

    今回の改正により、概ね次のような対応が必要になります。

    ・柔軟な働き方を実現するための措置の検討。

    ・措置について、過半数組合又は過半数代表者からの意見聴取。

    ・改正に対応した個別周知、意向確認や個別の意見聴取・配慮等の説明に使用する書面の準備。

    ・就業規則の変更・追加

    ・労使協定の再締結(労使協定で対象外とできる労働者について定める場合)

     

    今後、省令等で更に詳細がでてくると思いますので、内容に注視し、実務の対応にいかしていきましょう。

    施行日までにはまだ時間がありますが、今のうちから制度について理解を深め、対応すべき事項について早めに準備していくと良いでしょう。

     

     

    詳細は、厚生労働省のホームページをご確認下さい。

    令和6年改正法の概要/厚生労働省

    育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正のポイント/厚生労働省

  • 賞与支払届の提出

    2024年8月2日

    お役立ち情報

    夏の賞与が支払われる時期になりました。

     

    社会保険に加入している場合、被保険者や70歳以上被用者へ賞与を支給した時は、支給日から5日以内に、各都道府県にある事務センター(もしくは所在地を管轄する年金事務所)に「被保険者賞与支払届」の提出が必要です。

    この届出を基に、納付する保険料額や、被保険者が将来受け取る年金額等の計算の基礎となる「標準賞与額」を決定するので、忘れないようにご注意ください。

     

    また、日本年金機構に登録している賞与支払予定月に賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」の提出が必要です。

     

    日本年金機構に登録している賞与支払予定月に「被保険者賞与支払届」または「賞与不支給報告書」の提出が確認できない場合、日本年金機構より届出未提出の案内が届きます。

     

     

    標準賞与額の対象となるもの

     

    夏期賞与・冬期賞与・決算賞与等の「賞与」という名称であるかを問わず、支給した手当等が賞与の対象となって「被保険者賞与支払届」の提出が必要な場合があります。

    大丈夫だと思って給与に含んで支給した手当が、年金事務所の調査で賞与支払届の対象と判断され指摘されることもありますのでご注意ください。

     

    賞与の対象となるもの

    <金銭によるもの>

    ○賞与・ボーナス・期末手当・決算手当・夏期手当・冬期手当・繁忙手当・年末一時金・期末一時金など賞与性のもので年に3回以下支給されるもの

    ○その他定期的に支給されるものでなくとも一時的に支給されるもの

    <現物によるもの>

    ○賞与等として自社製品など金銭以外で支給されるもの(金銭に換算)

     

    賞与の対象とならないもの

    ○年4回以上支給される賞与(この場合は「賞与に係る報酬(標準賞与額の対象)」になります)

    ○結婚祝金など、労働の対償とならないもの

     

     

    詳細は、日本年金機構のホームページでご確認下さい。

    従業員に賞与を支給したときの手続き/日本年金機構

    賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき/日本年金機構

  • 法定帳簿を適正に作成・保存していますか?

    2024年7月2日

    お役立ち情報

    労働者を雇用する事業主には、作成・保存義務が課されている法定帳簿があります。

    労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の3帳簿に加え、平成31年4月からは、有給休暇管理簿の作成・保存も必要なっています。

    労務管理の基本ともいえる法定帳簿ですが、正しく運用できているでしょうか。

     

    1、労働者名簿(労働基準第107条)

    労働者名簿は、各事業場ごとに、各労働者(日々雇入れられる者を除く。)について調整しなければなりません。

    また、記入すべき事項に変更があった場合においては、遅滞なく訂正しなければなりません。

    <記載項目>

    ①労働者氏名 ②生年月日 ③履歴(異動や昇進等の社内における履歴) ④性別 ⑤住所 ⑥従事する業務の種類 ⑦雇入れ年月日 ⑧退職や死亡の年月日(解雇の場合はその理由及び死亡の場合はその原因を含む)

    <保存期間と起算日>

    労働者の死亡・退職・解雇の日から起算して5年(当面の間は3年)

    <Check>

    ●記載項目を網羅していますか?

    ●入社後の変更について訂正をしていますか?

    ●退職者の労働者名簿を退職後すぐに廃棄していませんか?

     

    2、賃金台帳(労働基準法第108条)

    賃金台帳は、各事業場ごとに調整し、各労働者ごとに、賃金支払いの都度、遅滞なく記入しなければなりません。

    <記載項目>

    ①労働者氏名 ②性別 ③賃金の計算期間 ④労働日数 ⑤労働時間数 ⑥時間外労働時間数 ⑦深夜労働時間数 ⑧休日労働時間数 ⑨基本給や手当等の種類と額 ⑩控除項目と額

    <保存期間と起算日>

    労働者の最後の賃金について記入した日から5年(当面の間は3年)

    ※但し、当該記録した日より、当該記録にかかる賃金の支払日が遅い場合は、賃金支払日が起算日になります。

    <Check>

    ●給与明細の作成だけで終わっていませんか?給与明細は賃金台帳の代わりにはなりません。

    ●記載項目について網羅していますか?(特に、性別及び上記④~⑧の労働時間等に関する記載項目について記載が漏れがちのため注意が必要です。)

     

    3、出勤簿等(労働基準法第108条関係)

    使用者には労働者の労働日ごとの労働時間を適正に把握する責務があります。

    出勤簿やタイムレコーダー等の記録、使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類、残業命令書及びその報告書、労働者が記録した労働時間報告書等の書類を保存しなければなりません。

    <記載事項>

    氏名、出勤日、出勤日ごとの始業・終業の時間、休憩時間、残業時間等

    <保存期間と起算日>

    労働者の最後の出勤日から5年(当面の間は3年)

    ※但し、当該日より、賃金の支払日が遅い場合は、賃金支払日が起算日になります。

    <Check>

    ●始業・終業の時刻及び休憩時間等が記録されていますか?

    ●出勤簿等の内容と賃金計算及び賃金台帳の記録内容が一致していますか?

     

    4、年次有給休暇管理簿(労働基準法施行規則第24条の7)

    年次有給休暇管理簿は、労働者毎に作成する必要があります。労働者名簿又は賃金台帳と合わせて調整することもできます。

    <記載項目>

    ①時季(実際に有給休暇を取得した日) ②基準日(有給休暇の付与日) ③日数(基準日から1年間に労働者が取得した日数)

    <保存期間と起算日>

    有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後5年(当面の間は3年)

    <Check>

    ●記載項目を網羅したものを作成していますか?(特に、実際の取得日について記載が漏れがちのため注意が必要です。)

     

    これらの帳簿は、事業の種類、法人・個人の別、従業員数等に関係なく労働者を雇用した全ての使用者に作成、保存の義務があります。

    いずれの帳簿にも保存期間が定められていますので、保存期間が経過する前に廃棄することはできません。

    また、労働者名簿及び賃金台帳は企業単位ではなく各事業場単位での調整(備え付け)が必要であることに注意が必要です。

    帳簿類は厚生労働省のホームページからもダウンロードできますが、記載項目を網羅していれば書式は自由ですので、必ずしも同じ書式である必要はありません。

    これらの4帳簿は、労働基準監督署の調査でも求められることが多く、不備については行政指導の対象になる場合があります。

    また年次有給休暇管理簿を除く3帳簿については、義務違反に対して罰則が適用される可能性もあります。

    この機会に自社の帳簿類の作成や保存が適正に行われているか等、確認してみてはいかがでしょうか。

     

    詳細は、下記ホームページをご参照ください。

    ととのえましょう法定帳簿/出雲労働基準監督署

    年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説/厚生労働省

    主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)/厚生労働省

  • 社会保険 算定基礎届の提出

    2024年7月2日

    お役立ち情報

    社会保険算定基礎届(定時決定)の提出の時期になりました。

    期間内に、日本年金機構へ提出してください。

     

    提出期間 : 令和6年7月1日(月)から7月10日(水)まで

     

    < 定時決定とは >

     

    〇健康保険及び厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、7月1日現在で使用している全ての被保険者及び70歳以上被用者に4・5・6月に支払った賃金を、「算定基礎届」によって届出し、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。

    これを定時決定といいます。

     

    〇「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納付する保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。

     

    〇届出書類や案内文書が、事業主宛に6月上旬頃から日本年金機構より発送されます。

    電子申請 または 同封されている返信用封筒にて事務センターへ郵送して下さい。

     

    < 留意点 >

     

    〇算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日現在の全ての被保険者及び70歳以上被用者です。

    ただし、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する方は算定基礎届の提出が不要です。

    (1)6月1日以降に資格取得した方

    (2)6月30日以前に退職した方

    (3)7月、8月、9月随時改定の月額変更届を提出する方

     

    〇報酬とは「労働の対償」として受けるものが報酬となります。

    基本給だけでなく各種手当や通勤定期券(非課税分含む)も含まれますが、出張旅費、解雇予告手当、退職手当、臨時に受けるもの、3ヵ月を超える期間ごとに受けるものは除きます。

     

     

    詳細については日本年金機構のホームページでご確認ください。

    定時決定/日本年金機構

検索

過去の記事