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【YouTube動画】年次有給休暇についてアップいたしました。
2025年10月29日
【 年次有給休暇の制度 】 ・年次有給休暇の正社員の付与要件 ・年次有給休暇のパート・アルバイトの付与要件 ・年次有給休暇の時季変更権、年次有給休暇の時季指定義務 ・年次有給休暇の計画的付与 ・年次有給休暇の時間単位付与 ・年次有給休暇の時効、年次有給休暇に対して支払うべき賃金 上記ついて簡単にまとめました。 ぜひ、制度利用の際のご参考にしてください。
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従業員の自転車利用、会社のルールは大丈夫ですか?
2026年5月8日
従業員の自転車利用、会社のルールは大丈夫ですか?
~規制強化を踏まえた見直しポイント~
令和8年4月から自転車に関する規制や取締りが強化され、ニュース等でも取り上げられる機会が増えています。こうした中、従業員の通勤や業務における自転車利用についても、改めて見直しが求められています。一見すると個人の問題と思われがちな自転車の利用ですが、実は企業にとっても無関係ではありません。むしろ、適切に管理されていない場合には、思わぬ労務リスクにつながる可能性があります。
■よくある放置状態
実務上、次のようなケースは少なくありません。
・自転車通勤の申請制度がない。
・自転車利用ルールを特に定めていない。
・ヘルメット着用が各自の判断に任されている。
・自転車保険の加入状況、保障の内容を確認していない。
・事故発生時の報告ルールが未整備
こうした状態でも日常業務は回ってしまうため、見直しが後回しになりがちです。
しかし、この「放置」が後のトラブルにつながるおそれがあります。
■企業が負う可能性のあるリスク・対応事項
①使用者責任(業務中の事故)
従業員が業務中に自転車事故を起こし、第三者に損害を与えた場合、会社が損害賠償責任を問われる可能性があります。自転車事故であっても高額賠償となるケースは少なくありません。なお、原則として通勤中の事故については直ちに使用者責任が認められるものではありませんが、業務との関連性が認められる場合など、個別の事情によっては責任が問われる可能性もあります。
②労災対応(通勤・業務)
一般的には通勤中の事故は通勤災害として、業務での移動中であれば業務災害として労災の対象となります。会社としては、事故発生時の手続対応や状況把握など、一定の実務対応が求められます。
③安全配慮義務
会社には従業員の安全に配慮する義務があります。
自転車通勤を認めているにもかかわらず、必要なルール整備や指導が行われていない場合には、事故時に問題となる可能性があります。
④懲戒・指導の難しさ
ルールが整備されていない場合、危険な運転や重大な違反があっても、会社として適切な指導や懲戒を行うことが難しくなります。
■今すぐ見直したい実務対応
①自転車通勤の許可制
自転車通勤については、届出制または許可制とし、会社が利用状況を把握できるようにします。
②自転車利用ルールの明確化
基本的な交通ルール順守の徹底、危険行為の禁止、自転車の整備や定期点検の義務等を明確にし、周知します。
③ヘルメット着用の方針
努力義務とされている中でも、会社としての方針(推奨・義務化等)を示しておくことは、安全配慮の観点からも望まれます。
④自転車保険の加入確認・保障内容の確認
万一の事故に備え、個人賠償責任保険等への加入状況、およびその保障範囲、保障金額等、十分な補償内容になっているかを確認しておくことが重要です。過去の高額賠償事例の賠償額は、数千万から1億円近くに及んでいます。
⑤事故発生時の報告ルール
事故が発生した場合の報告経路・報告内容・報告期限等を明確にしておくことで、初動対応がスムーズになります。
⑥会社保有自転車の管理
会社が保有する自転車を業務に使用する場合は、利用者・利用目的・行先等を把握できるよう、届出や記録の仕組みを設けておくことが望まれます。あわせて、私的利用の禁止についても明確にしておくべきでしょう。
⑦就業規則等への反映
上記①~⑥の自転車利用に関する事項を、就業規則等に規定することで、ルールの根拠を明確にします。
⑧従業員への周知・教育
道路交通法改正に伴い改めて交通ルールに関する勉強会を実施したり、ポスターで周知する等、自転車の事故が、第三者や会社にもたらす重大な影響等を理解させ、事故を未然に防ぐための責任と自覚を促すことが重要です。
■まとめ
自転車は手軽な移動手段ですが、企業にとってはリスクになり得る側面があるため、労務管理の対象として適切に取り扱う必要があります。自動車に関しては管理をしているが自転車までは手が回っていないというケースもあるのではないかと思います。
特に自転車の規制強化が進む中では、従来よりも一層注意し、ルールや管理体制を見直すことが重要です。大きな事故やトラブルにつながる前に、自社の運用を一度確認してみてはいかがでしょうか。
(参考)
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労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱い
2026年5月8日
当ホームページでも2月に掲載しましたが、健康保険の被扶養者の認定の年間収入について、今までは、扶養に入れたい家族の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、時間外労働に対する賃金等の見込みを含めた今後1年間の収入見込みにより判定していましたが、令和8年4月1日から「労働契約の内容に基づく年間収入で判定」へと取り扱いが変更になりました。
この変更により、従来の判定方法では基準額を超えていても、労働契約段階で基準額を超えていない場合は被扶養者として認定できる可能性があります。
今回、取り扱いの必要書類等について、日本年金機構から追加でお知らせがありました。
2月に掲載した記事(被扶養者の認定における年間収入の取扱い変更)と併せて、ご確認ください。
◆必要書類
本取り扱いにあたり、「被扶養者(異動)届」に以下の(1)(2)の両方の添付が必要となります。
(1)労働契約内容がわかる書類〔労働条件通知書、雇用契約書または労働条件が記載されている事業主証明(任意様式)〕(以下「通知書等」といいます。)
(2)扶養認定を受ける方からの「給与収入のみである」旨の申立書(申立書には扶養認定を受ける方の氏名を記載すること)※
※ただし、被扶養者(異動)届の扶養に関する申立書欄に、扶養認定を受ける方からの「給与収入のみである」旨の申立てと扶養認定を受ける方の氏名を記載した場合は申立書の添付は不要です。
例えば、以下のように年間収入の判定ができない場合、本取り扱いでの認定はできません。
ア.被扶養者(異動)届の「被扶養者になった日」から起算して通知書等上の契約期間が1年未満の場合
イ.「シフト制による」といった労働時間の記載が不明確な場合
ウ.「通勤手当有」等となっており、手当の金額が不明確な場合
申立書または被扶養者(異動)届の扶養に関する申立書欄は、扶養認定を受ける本人に記載していただく必要があります。(扶養認定を受ける方が複数人の場合は本取り扱いの対象となる全員の記載が必要です。)
労働契約内容が確認できる書類がない場合は、従来どおり、勤務先から発行された収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することとなります。
詳細は、日本年金機構、厚生労働省のホームページ等でご確認ください。
労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて/日本年金機構
労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)について/厚生労働省
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令和8年4月1日施行 高年齢労働者の労働災害防止の推進
2026年4月2日
高年齢労働者の労働災害防止の推進(令和8年4月1日施行)
~高年齢労働者の労働災害の防止を図るため、事業者に努力義務が課されます~
1、なぜ今、高年齢労働者の労災対策が求められるのか
近年、高年齢者の雇用が増える中で、労働災害の発生も増加傾向にあります。
特に特徴的なのが、転倒等の事故が起きやすいことや、怪我が重症化しやすく、また回復に時間がかかり休業が長期化しやすいことです。
企業にとっては、人手不足への対応として高年齢者の活躍が重要になる一方で、安全面への配慮はこれまで以上に求められる状況となっています。
こうした背景を踏まえ、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律に基づき、令和8年4月1日より、高年齢労働者の労働災害防止について、事業者に努力義務が課されることとなりました。
2、まず押さえておきたい5つの対応
(1)安全衛生管理体制の確立等
①安全衛生管理体制の確立
経営トップによる方針表明や高年齢者労働災害防止対策の実施体制を明確にすること。また、安全衛生委員会や労働者の意見を聴く機会を通じて、高年齢者労働災害防止対策について労使で話し合うこと。
②危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
高年齢者の身体機能等の低下等による労働災害の発生リスクを洗い出し、リスクの高さを考慮して、防止対策の優先順位を検討する。
(2)職場環境の改善
①身体機能の低下を補う設備・装置の導入
身体機能が低下した高年齢者であっても安全に働き続けることができるよう、事業場の施設、設備、装置等の改善を検討し、必要な措置を講ずること。
②高年齢者の特性を考慮した作業管理
筋力、バランス能力、敏捷性、全身持久力、感覚機能及び認知機能の低下等の高年齢者の特性を考慮して、作業内容等の見直しを検討し、実施すること。
(3)高年齢者の健康や体力の状況の把握
①健康状況の把握
安全衛生法で定める雇入時及び定期健康診断を確実に実施すること。
②体力の状況の把握
事業者、高年齢者の双方が高年齢者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させるとともに、高年齢者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう体力チェック等を継続的に行うことが望ましい。(青年、壮年期から実施することが望ましい。)
(4)高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応
①個々の高年齢者の健康や体力の状況を踏まえた措置
個々の高年齢者の健康や体力の状況を踏まえて必要に応じ就業上の措置を講じること。
②高年齢者の状況に応じた業務の提供
高年齢者に適切な就労の場を提供するため、職場環境の改善を進めるとともに、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。
③心身両面にわたる健康保持増進措置
集団及び個々の高年齢者を対象として、身体機能等の維持向上のための取組を実施することが望ましい。(運動指導、栄養指導、保健指導、メンタルヘルスケア等の実施)
(5)安全衛生教育
①高年齢者に対する教育
安全衛生法で定める雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこと。
②管理監督者等に対する教育
事業場内で教育を行う者や高年齢者が従事する業務の管理監督者、高年齢者と共に働く各年代の労働者に対しても、高年齢者の特性と高年齢者に対する安全衛生対策についての教育を行うことが望ましい。
3、高年齢者の労災は「特別な場面」で起きるわけではありません
高年齢者の労災は、特別な危険作業だけで発生するものではありません。
例えば、
・小さな段差につまづく
・濡れた床で足を滑らせる
・暗い場所で足元が見えにくい
・重いものを持ち上げて腰を痛める
といった、日常的な業務の中で起こります。
だからこそ、「うちは大丈夫」と考えるのではなく、身近な環境から見直していくことが大切です。
4、安全配慮義務との関係
企業にはもともと、従業員が安全に働けるよう配慮する安全配慮義務があります。
今回の努力義務の制度化により、
・高年齢者には特有のリスクがあること
・そのための対策が必要であること
が制度として明確に示された点に意味があります。
努力義務と聞くと、対応が任意のように感じられるかもしれませんが、高年齢者のリスクが広く認識されていること、国が対策の必要性を示していることを踏まえると、十分な対策を講じていなかった場合には、予見できたリスクと判断され、労災発生時に会社の責任が問われやすくなる可能性があると思います。
5、まとめ
高年齢者は体力の低下や、健康・身体状況の変化により、特有のリスクがあるということを職場全体で理解し、そのためには通常のリスクアセスメントや安全教育では足りず、高年齢者特有のリスクに対応した対策をとっていくことが必要だということがおわかりいただけたと思います。
高年齢労働者の労災防止は、今後の職場づくりにおいて重要なテーマです。昨今の人手不足、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ等、職場における高年齢者の活躍の場はますます広がっていくものと思われます。
今回の制度は努力義務ではありますが、もともと会社には労働者が健康で安全に働けるよう配慮する義務があること、また高齢者の労災リスクが高いことを踏まえると、対応の重要性は確実に高まっています。
まずはできることから見直し、安全に働ける環境づくりを進めていくことが大切です。
それは高年齢者だけでなく、全ての労働者の安全につながります。
詳細は下記をご確認ください。
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令和8年度 雇用保険料率が4月から変更になります。
2026年4月2日
令和8年4月1日から令和9年3月31日までの雇用保険料率が変更になります。
雇用保険料率は毎年見直しが行われ、変更になる場合は、通常は4月から変更になります。
令和8年度は、労働者負担・事業主負担ともに4月から引き下げになります。
保険料は、毎月の給与総支給額に、業種ごとに定められた保険料率を乗じて計算します。
給与締日が4月中にある給与から雇用保険料の変更が必要です。
(例1)給与締日:末日(4/1~4/30) 給与支給日:翌月15日(5/15)
→5/15支給の給与から新しい料率で計算(4/15支給は旧料率で計算)
(例2)給与締日:20日(3/21~4/20) 給与支給日:当月末日(4/30)
→4/30支給の給与から新しい料率で計算
納めた保険料は、労働者が失業した場合や育児介護休業を取得した場合、また自ら教育訓練を受けた場合等、生活・雇用の安定と就職の促進は図るための給付に使われています。
変更し忘れないようにご注意ください。
業種ごとの保険料率等、詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
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令和8年度 協会けんぽの保険料率が改定されました。
2026年3月3日
令和8年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率の改定が発表されています。
改定後の健康保険料率と介護保険料率の適用は3月分(4月納付分)からとなりますので、給与から控除する保険料の変更を忘れないように注意して下さい。
任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)から変更となります。
全国健康保険協会では、都道府県ごとに健康保険料率を設定しています。
都道府県ごとの加入者1人当たりの医療費に応じて保険料率が低くなったり高くなったりしますが、疾病の予防や健康づくりの取組などにより加入者の医療費が下がれば、その分の健康保険料率を下げることが可能となる仕組みです。
<健康づくり>
①健康状態を確認するために健診を毎年受けましょう!!自分自身の生活習慣を見直し、改善に取り組むきっかけとなります。また、早期に病気を発見し、早期治療につなげることができます。
②健診結果に応じて、引き続きの健康づくり、特定保健指導の利用、医療機関への早期受診といった行動に移しましょう!!
③適度な運動、バランスの良い食生活、禁煙等、日々の健康づくりも大切です。
具体的な都道府県ごとの健康保険料率は、全国健康保険協会のホームページでご確認下さい。
介護保険料率は、全国一律で1.62%に変更となっています。
また、保険料額表には、令和8年4月より、子育て世代を支える新しい分かち合い・連帯の仕組みとして始まる子ども・子育て支援制度の支援金額も記載されています。
健康保険料率・介護保険料率の変更は令和8年3月分から、子ども・子育て支援金制度の開始は令和8年4月分から、1か月違いますので、給与計算等ご注意ください。
令和8年度保険料額表(令和8年3月分から)/全国健康保険協会
※健康保険組合や国民健康保険組合に加入の事業主の方は、各組合にご確認下さい。
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令和8年度 在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されます
2026年2月3日
令和8年度
~在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されます~
(令和7年の年金制度改正による大幅引き上げ)
令和8年4月より、在職老齢年金制度の支給停止調整額が、65万円に変更されます。
令和8年1月23日、厚生労働省のホームページにおいて、「令和8年度の年金額改定」についてのPress Releaseが掲載されました。その中で、令和8年度の在職老齢年金支給停止調整額が65万円になることが公表されています。
■変更内容
支給停止調整額 令和7年度:51万円 ⇒ 令和8年度:65万円
■引き上げの背景
高齢者の就業活躍の重要性と年金の支給停止による就業調整等の問題を背景に、令和7年の年金制度改正において、令和8年4月からの支給停止調整額が、令和6年度支給停止調整額50万円に対して62万円まで引き上げることが示されていました。62万円は令和6年度水準に対しての価格になりますので、その後の賃金変動率に応じて令和8年度がいくらになるのか注目していましたが、令和7年に用いた名目賃金変動率(2.3%)と令和8年度に用いる名目賃金変動率(2.1%)に応じて、65万円となることが公表されました。
※年金制度改正 ・・・(令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出され、衆議院の修正を経て、令和7年6月13日に成立しました。)
■在職老齢年金制度とは…
働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金(報酬比例部分)の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額を超える場合には、老齢厚生年金額について一部支給停止又は全額支給停止等の支給調整が行われます。これを在職老齢年金制度といいます。
■支給停止調整額とは…
給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)がこの金額までなら支給停止なく全額支給されるという基準額のことを「支給停止調整額」といいます。以前は60歳以上65歳未満と65歳以降では、支給停止調整額が異なっていましたが、令和4年4月の年金制度改正により、60歳以上65歳未満も65歳以上と同じ支給停止調整額に改正されています。この支給停止調整額は毎年4月に見直しがあり、令和8年度は、前年度の51万円から65万円に大幅に引き上げられます。
■令和8年度の在職老齢年金制度による支給停止計算方法
給与等(賞与含む)の1か月あたりの額と老齢厚生年金の1か月あたりの額の合計が65万円以下であれば年金は支給停止なく全額支給され、65万円を超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。尚、老齢基礎年金は給与等に関係なく全額受給できます。
支給停止額 =( 総報酬月額相当額・・・① + 基本月額・・・② - 支給停止調整額(令和8年度は65万円))÷ 2
<計算例>
標準報酬月額34万円、1年間の賞与120万円、老齢厚生年金120万円とした場合
①総報酬月額相当額・・・44万円/月(標準報酬月額34万円+標準賞与額の1か月分(120万円÷12月))
②基本月額・・・10万円/月(老齢厚生年金の1か月分(120万円÷12月))
令和7年度の支給停止調整額:51万円、令和8年度の支給停止調整額:65万円により年金の支給停止金額は下記のようになります。
★令和8年3月まで・・・支給停止額=(44万円+10万円-51万円)÷2=1万5千円
1か月あたり1万5千円の老齢厚生年金が支給停止されます。
★令和8年4月以降・・・44万円+10万円は54万円となり、65万以下のため、支給停止はありません。
①総報酬月額相当額とは…
調整の対象となる月におけるその方の「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額」を合算して得た額のことです。
※70歳以上の場合は、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額。
②基本月額とは…
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額(加給年金を除く。基金代行額を含む。)を12月で除して得た額のことです。(老齢基礎年金は支給調整の対象外です。)
※加給年金は除いて在職老齢年金の支給停止額を計算しますが、老齢厚生年金の一部でも支給されていれば加給年金は全額支給され、老齢厚生年金の全額が支給停止されている場合は加給年金も全額支給停止になります。
■在職定時改定
令和4年4月の年金制度改正により、毎年9月1日に厚生年金に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額を10月分(12月受取分)から改定する仕組みがとられています。これにより原則として年金額が年に1度増額改定されるため、報酬等に増額がない場合でも在職老齢年金制度による支給停止額には影響が出る可能性があります。
■まとめ
老齢年金を受給していても、加入要件を満たす場合、70歳までは厚生年金に加入し保険料を納めなければなりませんが、その分年金は増えていくことになります。
また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても厚生年金の加入要件を満たすような働き方を継続している限り、現行制度においては年齢の上限なく在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給調整は行われることになります。
不動産収入等、給与以外の収入も支給調整の対象に入るか等のご質問をよくいただきますが、支給停止計算方法からもおわかりいただけるように、現行の制度においては、年金と報酬との調整は標準報酬月額や標準賞与額を使用しますので、それ以外の収入は調整の対象外となります。また、支給停止されていても、将来年金を繰下げ受給する際には、繰下げ増額された老齢厚生年金を受け取れると誤解されているケースもあるかと思います。繰下げ受給で増額されるのは、受け取れる年金を受け取らずに繰下げした場合であり、支給停止されている部分については増額の対象外ですのでご注意ください。
在職老齢年金の支給停止調整額は、毎年4月に改定されますが、ここ数年の推移は、令和4年度が47万、令和5年度が48万、令和6年度が50万、令和7年度が51万円となっています。そして令和8年度は年金制度改正により65万と大幅な引き上げになりました。これまで支給停止になっていた方も、令和8年4月以降は支給停止にかからない可能性もあります。またこれまで支給停止を意識して就労制限されていた方は、就労制限を気にせずに働けるようになる可能性もあります。このように令和8年度の在職老齢年金支給停止調整額の改定は、令和7年の年金制度改正に伴う大きな変更内容となりますので、ぜひ注目してみてください。
働いて給与等を得ている方が老齢厚生年金を受給できるようになった時や、給与等を得ながら老齢厚生年金を受給している方が給与等を変更する場合等には、少なからず年金額への影響があるため、在職老齢年金制度をよく理解するとともに、毎年この時期は、支給停止調整額についても改定の内容をチェックするようにしましょう。
詳細は下記をご参照ください。
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被扶養者の認定における年間収入の取扱い変更
2026年2月3日
健康保険の被扶養者の認定の年間収入について、今までは、扶養に入れたい家族の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、時間外労働に対する賃金等の見込みを含めた今後1年間の収入見込みにより判定していましたが、令和8年4月1日からこの年間収入の取扱いが変更になります。
◆労働契約の内容に基づく年間収入で判定
雇用契約書や労働条件通知書等の労働契約の内容が確認できる書類において規定される時給・労働時間・日数等を用いて算出した年間収入の見込額(※1)が 130 万円未満で、かつ、他の収入が見込まれず、
1.認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合には、被保険者の年間収入の2分の1未満であると認められる場合(※3)
2.認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合には、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合
には、原則として、被扶養者に該当するものとして取り扱います。
そのため、当該書類上に明確な規定がなく予め金額を見込み難い時間外労働に対する賃金等は年間収入の見込額には含まないこととなります。
労働契約内容が確認できる書類がない場合は、従来どおり、勤務先から発行された収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することとなります。
※1 労働基準法第11条に規定される賃金をいい、諸手当および賞与も含まれます。
※2 認定対象者が60歳以上の者である場合または概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては、180万円未満(ただし、障害年金などの給与以外の収入があると、この方法は使えません。)、認定対象者(被保険者の配偶者を除きます。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円未満となります。
※3 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときで、保険者がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。詳細は、厚生労働省、日本年金機構のホームページでご確認ください。
労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取り扱いについて/日本年金機構
労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて/厚生労働省
労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&Aについて/厚生労働省
