高年齢雇用継続給付の支給率変更について
2025年1月7日
令和7年4月1日より、高年齢雇用継続給付の支給率が15%→10%へ変更されます。
※令和7年4月1日以降に60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年ない場合はその期間が5年を満たすこととなった日)を迎えた方が対象です。
令和7年3月31日以前に60歳に達した方等は現行の支給率から変更はありません。
1に変更内容を、2に制度全体の概要を示しています。この機会にぜひご確認ください。
(※60歳に達した日:60歳の誕生日の前日)
1、高年齢雇用継続給付の変更内容
令和7年3月31日以前 | 令和7年4月1日以降 | ||
各月に支払われた賃金の低下率
61%以下 |
各月に支払われた賃金額の15% | 各月に支払われた賃金の低下率
64%以下 |
各月に支払われた賃金額の10% |
各月に支払われた賃金の低下率
61%超75%未満 |
各月に支払われた賃金額の15%から0%の間で、賃金の低下率に応じ、賃金と給付額の合計が75%を超えない範囲で設定される率 | 各月に支払われた賃金の低下率
64%超75%未満 |
各月に支払われた賃金額の10%から0%の間で、賃金の低下率に応じ、賃金と給付額の合計が75%を超えない範囲で設定される率 |
各月に支払われた賃金の低下率
75%以上 |
不支給 | 各月に支払われた賃金の低下率
75%以上 |
不支給 |
※支給限度額・最低限度額の取扱いに変更はありません。
(令和6年8月1日からの支給限度額は376,750円、最低限度額は2,295円です。支払いを受けた賃金額が支給限度額以上の場合、及び高年齢雇用継続給として算定された額が最低限度額を超えない場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。)
2、高年齢雇用継続給付の概要
(1)雇用継続給付とは?
60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者に対して支給される給付です。
賃金低下によるモチベーションの低下を防ぎ、高年齢者がいきいきと活躍できるよう、65歳までの継続雇用を援助・促進することを目的としています。
(2)高年齢雇用継続給付金の種類
高年齢雇用継続給付金には、基本手当等を受給していない方を対象とした「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当等を受給中に再就職した方を対象とした「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
①高年齢雇用継続基本給付金
<受給資格>
■60歳到達日において被保険者であった場合
イ 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
ロ 被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
■60歳到達日において被保険者でなく、それ以降の再就職により被保険者となった場合
イ 60歳到達前の離職した時点で、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
ロ 60歳到達前の離職した日の翌日が、60歳到達後に再雇用された日の前日から起算して1年以内にあること。
ハ ロの期間に求職者給付及び就業促進手当を受給していないこと。
<支給要件>
イ 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること。
ロ 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
ハ 支給対象月に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること。
ニ 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること。
ホ 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付又は介護休業給付の支給対象となっていないこと。
<支給対象期間>
イ 60歳到達日の属する月から、65歳に到達する日の属する月までの間
ロ 60歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月から65歳に到達する日の属する月までの間
ハ 60歳到達時に被保険者でなかった者は、新たに被保険者資格を取得した日又は受給資格を満たした日の属する月から65歳に到達する日の属する月までの間
<支給額>
1に記載した、「高年齢雇用継続給付の変更内容」のとおり
※特別支給の老齢厚生年金との併給調整あり。(高年齢雇用継続給付の額に応じて年金の一部が支給停止される場合がある。)
②高年齢再就職給付金
<受給資格>
イ 60歳以上65歳未満で再就職した一般被保険者であること。
ロ 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと。
ハ 再就職する前に雇用保険に基本手当等の支給を受け、その受給期間内に再就職し、かつ支給残日数が100日以上あること。
ニ 直前の離職時において、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
ホ その再就職について、再就職手当を受給していないこと。
<支給要件>
高年齢雇用継続給付と同様。
<支給対象期間>
イ 雇用保険に基本手当の残日数が200日以上の場合は、当該被保険者となった日の翌日から2年を経過する日の属する月まで。
ロ 雇用保険に基本手当の残日数が100日以上200日未満の場合は、当該被保険者となった日の翌日から1年を経過する日の属する月まで。
ハ イ及びロにおいて、2年又は1年を経過する前に65歳に達した場合は、支給対象期間に関わらず、65歳に達した日の属する月まで。
<支給額>
高年齢雇用継続給付と同様。
※特別支給の老齢厚生年金との併給調整あり。(高年齢雇用継続給付の額に応じて年金の一部が支給停止される場合がある。)
※高年齢再就職給付金と再就職手当は併給できないためどちらか一方を被保険者が選択することになる。再就職手当は一括で支給され、また年金との併給調整がない等それぞれに違いがある。支給決定を受けた後は変更等ができないため選択時は注意が必要。
3、まとめ
高年齢者雇用安定法による高年齢者の雇用確保措置の進展や、同一労働同一賃金による公正な待遇の確保等を背景に、高年齢雇用継続給付がこの先の廃止等も含めて検討される中、令和7年度は給付率の変更(引き下げ)となりました。
そのような中でも高年齢者がモチベーションを保ち、やりがいをもって働き続けることができる待遇や環境を整備していくことが、今後の会社の課題となっていくのではないでしょうか。
詳細は下記厚生労働省のホームページをご確認ください。