育児・介護休業法改正に伴う育児休業給付について(令和4年10月1日以降)
2022年11月2日
育児・介護休業法の改正に伴い、雇用保険の育児休業給付に、出生時育児休業給付金が追加され、また従来からの育児休業給付金の内容も一部改正されています。
1.出生時育児休業給付金の創設
①支給要件
(イ)子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの間に4週間(28日間)以内の期間を定めて出生時育児休業(産後パパ休暇)を取得した被保険者であること。
(ロ)出生時育児休業開始前2年間に、賃金支基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間が80時間以上)完全月が12ヶ月以上あること。
※2年間の間に、疾病・負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けない期間があった場合は、その間の日数を2年間に加算できます。(合計で最長4年)できます。
(ハ)出生時育児休業期間中に就業した日数が最大10日以下(10日を超える場合は80時間以下)であること。
(ニ)有期雇用契約の場合は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6ヶ月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでないこと。
②対象期間
子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間のうち4週間(28日)以内で取得した休業期間が支給対象となる期間です。
出産予定日と出生日が異なる場合の対象期間の考え方は下記の通りです。
(出産予定日前に出生した場合)⇒
出生日から、出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日まで。 (出産予定日後に出生した場合)⇒ 出産予定日から、出生日から起算して8週間を経過する日の翌日まで。 |
③取得回数と支給申請
対象期間中に通算4週間(28日)の範囲で2回まで分割して取得することが可能です。
育児休業給付金の申請は2回に分割した場合でも、まとめて1回で行います。申請期間は子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日から2ヶ月経過日が属する月の末日までになります。
④出生時育児休業期間中の就業と給付金の関係
(イ)就業日数の上限
出生時育児休業期間中は、労使協定の締結を前提に一定の範囲内での就業が可能となっています。出生時育児休業としての就業可能日数の上限と、育児休業給付金の受給要件としての就業可能日数の上限が異なるため、整理しておきましょう。
★出生時育児休業の就業日数上限⇒
(下記上限を超えて就業することはできません) ①休業期間中の所定労働日数・所定労働時間の半分以下 ②休業開始日及び休業終了日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満 |
★育児休業給付金の就業日数上限⇒
(下記上限を超える就業をした場合、給付金は不支給です。 ①休業日数の合計が28日の場合は10日(10日を超える場合は80時間)以下 ②休業日数の合計が28日未満の場合は、10日×休業日数÷28日(1日未満の端数 切上げ)(上記日数を超える場合は、80時間×休業日数÷28日(端数処理なし) ※実際の労働時間の合計に生じた分単位の端数は切り捨てます。また、分割取得 の場合はそれぞれの期間ごとに端数処理を行います。 |
⑤出生時育児休業給付金の額
休業開始時賃金日額(出生時育児休業前6ヶ月間の賃金を180で除して算出したもの)×休業期間の日数(28日が上限)×67%
※休業開始時賃金日額には上限があります。
■出生時育児休業期間を対象として、賃金が支払われた場合の調整
支払われた賃金額 | 支給額 |
休業開始時賃金日額×休業日数の13%以下 | 休業開始日賃金日額×休業期間の日数×67% |
休業開始時賃金日額×休業日数の13%超~80%未満 | 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額 |
休業開始時賃金日額×休業日数の80%以上 | 支給なし |
2.育児休業給付金の改正
1歳までの育児休業が2回までの分割取得可能になったことにより、2回に分割取得した場合は、育児休業給付金も2回に分けて申請、支給されることになります。
この場合、受給資格の確認や休業開始時賃金日額の算出は初回の育児休業申請時にのみ行います。
分割取得により支給単位期間のカウント方法も注意が必要です。
分割2回目の支給単位期間は、2回目の育児休業開始日から翌月の応答日の前日までの1ヶ月であり、1回目の支給単位期間とは切り離して考えます。
また、以前より支給率については、休業日数が通算180日までは67%、それ以降は50%となっていますが、この通算180日には創設された出生時育児休業給付金の日数も通算されます。
以上のように、令和4年10月1日施行の育児・介護休業法の改正に伴い、同日改正雇用保険法も施行されていますので、併せて理解する必要があります。
創設の出生時育児休業では一定の要件のもと就業が可能になっていますが、就業の日数や時間によっては出生時育児休業給付金が不支給や減額になるケースもあります。
従業員が制度全体をよく理解した上で有意義に利用ができるよう、事前に情報提供及び十分な説明や相談の機会を持つことが大切だと思います。
詳細は、厚生労働省のホームページをご参照ください。