子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律による 雇用保険制度の改正について
2024年10月2日
令和6年6月12日に公布された子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律により、雇用保険制度の一部が改正されます。
前回と前々回の記事では、令和6年5月31日公布の育児・介護休業法の改正について取り上げてきましたが、育児関連の改正として今回は雇用保険制度の改正内容についてみていきましょう。
<改正内容>
現行法では、育児休業給付として、育児休業給付金と出生時育児休業給付金がありますが、今回の改正により、次の2種類の給付が創設されます。
育児休業給付・・・・・・・・育児休業給付金・出生時育児休業給付金
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①出生後休業支援給付・・・・出生後休業支援給付金
②育児時短就業給付・・・・・育児時短就業給付金
夫婦がともに働き、共に育児を行うことや、男性の育児休業の取得を更に推進するために、これまでの育児休業給付金や出生時育児休業給付金に加えて、さらに、①の出生後休業支援給付金が上乗せされるものです。
また、現行法では育児のために短時間勤務制度を選択した場合の賃金低下に対する給付はありませんが、②の育児時短就業給付により、これまでより育児短時間勤務制度を選択しやすくするものです。
1、出生後休業支援給付の創設 (施行日:令和7年4月1日)
<給付の要件>
①子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に育児休業を取得すること。
②被保険者とその配偶者の両方が(※)、上記期間内に14日以上の育児休業を取得すること。
※配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合等は、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付されます。
<給付期間>
最大28日間
<給付率>
休業開始前賃金の13%相当額
現行の育児休業給付の給付率は育児休業開始から180日までは67%であるため、創設される出生後休業支援給付金を合わせると給付率は80%に引き上げられます。
2、育児時短就業給付の創設 (施行日:令和7年4月1日)
<給付の要件>
①被保険者が、2歳未満の子を養育するために、所定労働時間を短縮して勤務(時短勤務)をしていること。
②(イ)(ロ)いずれかを満たすこと。
(イ)育児時短就業の開始前の原則2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あること。(※)
(ロ)育時休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であって、当該給付に係る休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき
※(イ)は、育児休業給付又は出生時育児休業給付開始時と同様の方法にて被保険者期間の確認をし、要件を満たすことが必要です。(ロ)は育児休業給付金又出生時育児休業給付金の支給にあたりすでに被保険者期間の要件を確認しているため、改めて(イ)のような内容を確認する必要がなく、要件を満たすことになります。
<給付率>
①時短就業中に支払われた賃金が時短就業開始時の賃金日額の90%未満の場合、時短就業中に支払われた賃金の10%
②時短就業中に支払われた賃金が時短就業開始時の賃金日額の90%以上100%未満の場合、時短就業中に支払われた賃金の10%から一定の割合で逓減するよう省令で定める率
※各月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるときは、当該月については、育児時短就業給付金は支給されません。
育児・介護休業法の改正だけでなく、雇用保険制度の給付の面からも、育児休業等の取得や育児短時間制度の活用等、育児と仕事をより両立しやすい環境の実現を推進するものとなっています。
これは、こども未来戦略「共働き・共育ての推進」の取り組みの一つとして実施されるものとなります。
制度の詳細については、今後省令にて確認していくことになります。
従業員からの問い合わせも増えてくることが予想されますので、育児・介護休業法の改正と一緒に、まずは制度全体の概要を把握しておくと良いでしょう。
詳細は下記、厚生労働省のホームページをご確認ください。