育児・介護休業法の改正②(令和4年10月1日施行)
2022年8月2日
令和4年4月1日の施行に引き続き、令和4年10月1日施行の改正が迫ってきました。
★令和4年10月1日施行 改正内容
①育児休業の分割取得
<改正前>
子が1歳に達するまでの育児休業の取得回数は、配偶者の死亡等特別な事情がない限り、原則として子1人につき1回までとされ、申出ることができる休業は連続したひとまとまりの期間です。(出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内に取得するパパ休暇は1回とカウントされないため、その後通常の育児休業を1回取得することが可能です。)
<改正後>
子が1歳に達するまでの育児休業の取得は、理由を問わず2回まで分割して取得することが可能になります。3回目の取得については改正前と同様に特別の事情がある場合にのみ可能とされます。(パパ休暇は廃止されます)
2回に分割取得する場合は、育児休業の開始日の繰り上げ変更及び育児休業の終了日の繰り下げ変更もそれぞれ各1回できることになります。
②育児休業の撤回のルールの見直し
<改正前>
子が1歳までの育児休業、1歳から1歳6ヶ月、1歳6ヶ月から2歳までの育児休業において、それぞれの期間における休業の申出を一度撤回すると、その期間における再度の休業の申出は特別な事情がある場合でなければできません。
<改正後>
子が1歳までの育児休業が2回に分割取得できるようになることに伴い、1回目の申出を撤回した場合は、1回目は取得したこととみなされ再度の申し出ではできませんが、2回取得できる為、2回目を申し出ることは可能です。1歳から1歳6ヶ月、1歳6ヶ月から2歳までの育児休業の申出を撤回した場合は、改正前と同様に特別の事情がある場合を除き、再度の申出はできません。
③1歳以降の育児休業の見直し
<改正前>
育児休業の開始日は1歳、1歳6ヶ月の時点に限定されているため、育児休業を期間の途中で交代することはできません。また、1歳以降の育児休業の再取得は不可とされています。
<改正後>
育児休業の開始日が柔軟化され、原則は改正前と同様としつつ、配偶者が1歳又は1歳6ヶ月以降育児休業をしている場合は、配偶者の休業終了予定日の翌日以前の日を育児休業開始予定日とすることができるようになります。
これにより、期間の途中に夫婦が交代で育児休業を取得できるようになります。又、それに伴い1歳以降の育児休業(1歳から1歳6ヶ月、1歳6ヶ月から2歳)の取得については原則として各1回と定められるとともに、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業又は新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡した等の特別な事情があるときは、再度育児休業を取得できることとなります。
④出生時育児休業(産後パパ育休)の創設
<改正後>
パパ休暇(出生日又は出産予定日のいずれか遅いほうから8週間以内に取得を開始し、8週間以内に休業を終了した場合は、この休業を1回とカウントせず、これとは別に1回の育児休業の申出をすることができる。)は廃止され、出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されます。
産後パパ育休は、子が1歳に達するまでの育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで休業が取得できる制度です。分割して2回まで取得可能ですが、2回分をまとめて最初に申し出る必要があります。2回分をまとめて申し出なかった場合は、事業主は2回目の申出を拒むことができるとされています。申出は原則休業の2週間前までですが、雇用環境の整備等について、法を上回る取り組みを労使協定で定めている場合は、1ヶ月前までとすることもできます。
育児休業中は原則就業不可とし、労使合意のもとあくまで一時的、臨時的なものに限り可能とされていますが、産後パパ育休においては、労使協定の締結を条件とし、事前調整の上、一定の範囲内での就業を可能としています。臨時的でなくとも就業が可能という点では通常の育児休業とは異なる部分となります。産後パパ育休中の就業を不可と定めることも可能です。
★就業可能上限
〇休業期間中の所定労働日数、所定労働時間の半分以下
〇休業開始・終了日を就業日とする場合はその日の所定労働時間数未満
★手続きの流れ
〇労使協定の締結
〇労働者が就業を希望する場合は、産後パパ育休開始日の前日までに、就業可能日と就業可能日における就業可能な時間帯、その他労働条件を申出。
〇事業主は就業したい旨の申出を受けたときは、就業可能日のうち就業させることを希望する日(希望しない場合はその旨)、就業させることを希望する日にかかる時間帯その他の労働条件を速やかに提示。この提示に対して休業開始日の前日までに労働者が同意を行った範囲内で就業させることが可能。
〇事業主は上記の同意を得た場合は、同意を得た旨と就業させることとした日時、時間帯その他労働条件を労働者に通知。産後パパ育休中は一定の要件のもと就業が可能とはいえ、育児休業中は就業しないことが原則であるため、事業主から就業の申出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いは認められないことに注意が必要です。また、育児休業中の就業日数により、育児休業給付や育児休業中の社会保険料免除等の要件を満たさなくなる可能性があることも事前に説明し、労働者が制度を理解した上で就業の希望の有無を判断できるように留意することが大切です。
10月1日施行の改正に伴い就業規則の変更、労使協定の変更と再締結、育児休業に関する制度の個別通知と取得の意向確認様式の変更、各種届出の社内様式の変更等が必要となります。労使協定により、一定の条件の労働者について育児休業、出生時育児休業の対象から除外することができますが、労使協定の締結をしていない場合は、締結するまでは除外できないため注意が必要です。
また、今回は育児介護休業法だけでなく、雇用保険法(育児休業給付の改正)及び健康保険法、厚生年金保険法(社会保険料免除要件の見直し)等関連する法改正もあります。出生時育児休業の創設や育児休業開始日の柔軟化により育児休業の取得が促進されることが予測されます。育児休業の取得申出がでた時に困らないよう、業務の棚卸や体制の見直し等にも早めに取り組んでいかれると良いでしょう。
詳細については下記をご参照ください。