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【YouTube動画】社会保険・労働保険の加入要件をアップいたしました。
2024年12月5日
社会保険・労働保険の加入要件について基本事項と、 問い合わせの多い内容についてまとめました。 ぜひ、ご参考にしてください。
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令和7年10月1日施行 教育訓練休暇給付金とは?
2025年9月2日
令和7年10月1日施行
教育訓練休暇給付金とは?
1 教育訓練休暇給付金が新設されます。
(令和6年5月10日成立の雇用保険法等の一部を改正する法律により創設)
雇用保険被保険者が、教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、賃金の一部が雇用保険から支給される制度です。
2 施行日
令和7年10月1日
3 概要
(1)教育訓練休暇給付金とは
労働者が離職することなく、教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付に相当する給付として賃金の一定割合を支給する制度です。
(2)支給対象者
以下の①②両方の要件を満たす一般被保険者(在職中)です。
① 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
(原則11日以上の賃金支払いの基礎となった日数がある月)
② 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること
(離職期間があっても、12か月以内であれば前後を通算できますが、失業給付等を受給している場合は通算できません。また、過去に失業手当や教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受けたことがある場合、通算できない期間が生じる場合があります。)
※一般被保険者とは・・・65歳未満の通常の被保険者をさします。
(3)支給対象となる休暇
以下の全ての要件を満たす休暇が対象です。
① 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
※休暇開始前までに、就業規則等に規定されている必要があります。
② 労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇
※自発的にがポイントです。業務命令で資格を取得させる場合の休暇は対象外とされています。
※教育訓練に専念してもらうため30日以上連続して無給休暇を取得する必要があり、教育訓練休暇中に出勤を求めることはできないとされています。(例えば週に1日は出勤を求めるというようなことはできません。休暇開始時点では想定していなかった理由により結果として就労し収入を得た場合、その日については支給を受けられません。)
※収入を伴う就労を行った日(副業も含む)、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業(有給休暇や育児休業等)を取得した日は教育訓練のための休暇とは認められず、その日については支給を受けられません。
③ 次に定める教育訓練を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校又は各種学校が提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)
(4)受給期間
■ 休暇開始日から起算して1年間です。
※受給期間内と所定給付日数の範囲内であれば、教育訓練休暇を複数回に分割して取得した場合であっても給付金の支給を受けることができます。ただし、期間のカウントは、最初の休暇取得日から1年間です。所定給付日数が残っていても受給期間を過ぎた場合は給付を受けられません。(妊娠・出産・育児・疾病・負傷等の理由により30日以上教育訓練を受けることができない場合等で、ハローワークにより受給期間の延長を認められた場合を除きます)
(5)給付日数
■ 給付日数は、雇用保険に加入していた期間に応じて異なります。
加入期間 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上 所定給付日数 90日 120日 150日 (6)給付日額
■ 原則休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。
(失業給付の算定方法と同様です)
※賃金日額のほか、年齢と雇用保険に加入していた期間によっても変動します。
(7)その他 注意事項
・解雇等を予定している労働者について、教育訓練休暇給付金の支給対象となる教育訓練休暇を取得させることは認められません。万が一虚偽の申告をした場合は罰則の対象になる場合がありますので注意が必要です。
・教育訓練休暇給付を受給した場合、休暇開始日より前の被保険者期間がなかったものとみなされるため、(リセットされる)原則として一定期間は失業給付等の被保険者期間を要件とする給付金の受給ができなくなります。(ただし、育児休業給付や介護休業給付に係るみなし被保険者期間、教育訓練給付金に係る支給要件期間には影響せず、教育訓練休暇開始前の期間も通算できるとされています。)教育訓練休暇給付金を受給して間もなく自己都合退職した場合等、失業給付がもらえないケースや、勤続年数に応じて区分されている所定給付日数が少なくなる等のケースが想定されますので、その時に、知らなかった等のトラブルにならないよう、労使ともに、事前によく制度を理解したうえですすめていくことが重要だと思います。
(8)まとめ
教育訓練休暇給付金は、これまで存在しなかった「休暇中の生活費を支援する仕組み」を補う目的で新設される制度になります。従業員が安心して自主的に能力開発に取り組めるようにするために生まれたものであり、国が人材育成を後押ししている流れの一つとも言えます。
実際に休暇を取得させるとなると、その間の人員体制の確保や、就業規則の整備等、準備が必要になります。導入には一定のハードルがありますが、従業員が学び直しを通じて成長意欲を高めれば、結果的に会社の成長につながったり、企業の魅力向上につながる可能性もあると思います。また、教育訓練給付制度(教育訓練等の受講費の一部が給付される制度)との併用も、それぞれの支給要件を満たす限り可能とのことです。
新しい仕組みの一つとして検討してみてもよいのではないでしょうか。
手続き方法等、詳細は下記をご確認ください。
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19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定
2025年9月2日
19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における
年間収入要件が変わります。
令和7年度税制改正において、現下の厳しい人手不足の状況における就業調整対策等の観点から、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われています。
これを踏まえ、扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わります。
なお、この「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。
◆被扶養者の年間収入要件
<現行>
年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満)および
・同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
<扶養認定日が令和7年10月1日以降>
年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満、19歳以上23歳未満の場合は年間収入150万円未満)および
・同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
◆年齢要件(19歳以上23歳未満)の判定
年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。
例えば、扶養認定を受ける方が令和7年11月に19歳の誕生日を迎える場合には、令和7年(暦年)における年間収入要件は150万円未満となります。
令和7年度税制改正の趣旨との整合性を図る観点から、あくまでも年齢によって判断し、学生であることの要件は求めません。
◆注意事項
令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定します。
詳細は、下記ホームページでご確認ください。
従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き/日本年金機構
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年金制度改正法成立(在職老齢年金制度の見直し)
2025年8月4日
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出され、衆議院の修正を経て、令和7年6月13日に成立しました。
■主な改正内容は・・・
① 社会保険の加入対象の拡大② 在職老齢年金の見直し
③ 遺族年金の見直し
④ 厚生年金等の標準報酬月額上限の段階的引上げ
⑤ その他の見直し(私的年金の員直し等)
今回は、上記の中でも施行日が早い「在職老齢年金制度の見直し」について改正内容を確認していきましょう。
■在職老齢年金の見直しの内容
在職老齢年金の支給停止の基準額を、50万円(2024年度価格)から62万円(2024年度価格)へ引上げ(2026年度までの賃金変動に応じて改定)■施行日
令和8年4月1日
■在職老齢年金見直しの効果
働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額(支給停止の基準額)を超える場合には、超えた金額の半分の老齢厚生年金額について支給停止が行われます。
支給停止調整額(支給停止の基準額)が引きあがるということは、これまでよりも多く給与を得ても老齢厚生年金が支給停止にならないということになります。
<計算例>標準報酬月額:400,000円、賞与年額600,000円 厚生年金の月額100,000円の場合を例にとって計算すると・・・
標準報酬月額400,000円+賞与月額50,000円(600,000円÷12月)+厚生年金月額100,000=550,000円
令和7年度の場合、支給停止調整額が510,000円のため、510,000円を超えた40,000円の半分にあたる20,000円が支給停止になります。
令和8年度施行日以降は、支給停止調整額が620,000円(これは2024年度価格のため、実際は賃金変動に応じて改定されます)になるため、同じ賃金等を得ても年金が全額支給されることになります。
■在職老齢年金の支給停止調整額(支給停止の基準額)の直近の推移
在職老齢年金の支給停止調整額(支給停止の基準額)は毎年度賃金変動に応じて改定されますが、ここ数年の推移は、2022年度47万円、2023年度48万円、2024年度50万円、2025年度51万円となっています。
2026年度は62万円と改正されましたが、これは2024年度の賃金水準に対しての価格になりますので、2026年4月1日施行日時点の支給停止調整額は2026年度までの賃金変動等に応じた額で決定されます。例年ですと、翌年度(4月1日以降)の支給停止調整額については、1月中旬から下旬頃に厚生労働省のホームページ内、報道発表資料(令和○年度の年金額の改定について)にて公表されていますので、最終的な額はそちらで確認するとよいでしょう。
■まとめ
在職老齢年金制度については、高齢者の就業活躍の重要性と年金の支給停止による就業調整等の問題を背景に、見直しが検討されていましたが、今回の改正により、高齢者の方が、働きながらより年金を受給しやすい仕組みになります。
現状、年金が支給停止にならないように就業調整している方や今後そのような予定をされている方には、特に注目すべき改正だと思います。
また、賃金や所定労働時間を増やした際の標準報酬月額は、変更後の給与支給月からすぐに変わるわけではなく変更後3か月の賃金総額及び勤怠状況によって判断され、随時改定に該当した場合で実際に変更になるのは4か月目の標準報酬月額からということになります。
計画される際にはそのあたりも含めて検討されると良いでしょう。これまでよりも、高齢者の就業における選択の幅が広がるのではないでしょうか。
詳細は下記をご確認ください。
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健康保険 資格確認書の送付開始
2025年8月4日
昨年、このホームページでもお知らせしましたが、令和7年12月2日以降、現在お持ちの健康保険証は使用できなくなります。
今後は、マイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)を利用して医療機関等を受診することになりますが、マイナ保険証をお持ちでない場合、医療機関等を受診する際には資格確認書が必要です。
今回は、全国健康保険協会に加入している事業所を例に、資格確認書の送付等についてご案内します。
健康保険組合や国民健康保険組合に加入の事業所の方は、各組合にご確認下さい。
資格確認書の送付開始
全国健康保険協会では令和7年7月下旬より順次、対象者の資格確認書を、事業所ではなく従業員のご自宅へ特定記録郵便で送付します。(扶養家族の資格確認書も同封されます。)
対象者がいる事業所には、事前に「対象者一覧表」が送付されますので、対象者に自宅へ送付されることを通知してください。
また、宛所不明等の理由により不着となった場合は、事業所へ再度送付されるので、事業所から対象者へ速やかに配布してください。
対象者
現在、健康保険証をお持ちの方(令和6年11月29⽇までに⽇本年⾦機構において新規に資格取得(扶養認定)の決定をされた方)であって、令和7年4月30⽇時点でマイナ保険証をお持ちでない方
マイナ保険証を持っていないとは
①マイナンバーカードを持っていない
②保険者(全国健康保険協会や各健康保険組合等)にマイナンバーを提出していない
③マイナンバーカードは持っているが健康保険証として利用登録していない
④マイナンバーカードの電子証明書の有効期限がきれている
※マイナンバーカードの電子証明書
マイナンバーカードの有効期間は、発行日から10回目の誕生日(18歳未満は5回目)まで、電子証明書の有効期間は、年齢問わず発行日から5回目の誕生日までに設定されています。
電子証明書の有効期限が切れた場合でも、期限切れから3か月間はマイナ保険証としての利用は可能ですが、その後電子証明書の更新を行わなければ、マイナ保険証の利用はできなくなります。
令和2年のマイナポイント制度開始時にマイナンバーカードを作った方も多いようですが、その方々は、電子証明書の有効期限が近付いていますのでご注意ください。
その他、詳細は下記ホームページでご確認ください。
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育児期の柔軟な働き方を実現するための措置等
2025年7月2日
改正育児・介護休業法
令和7年10月1日施行への対応準備はできていますか?
令和6年改正の育児・介護休業法については、令和7年4月1日からすでに施行されていますが、その一部については令和7年10月1日から施行されるものがあります。
直前に慌てることがないよう、令和7年10月1日施行の内容を確認し、準備を進めていきましょう。
<令和7年10月1日施行の内容>
1、柔軟な働き方を実現するための措置等
(1)育児期の柔軟な働き方を実現するための措置を講ずること
・事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、下記「選択して講ずべき措置」の①から⑤の選択肢の中から2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
・事業主が講ずる措置を選択する際は、過半数労働組合等(過半数労働組合がない場合は過半数代表者)の意見を聴く等の必要があります。
※意見聴取の方法に定めはありませんが、育児当事者等の意見を参考にしたり、アンケートを取る等、ニーズを適切に把握できるような方法により行うことが望ましいとされています。
※措置の内容は会社で統一とする必要はなく、各事業所別、業種別など、より実態に即した労働者が使用しやすいものとしてそれぞれ別の措置を選択することも可能です。
■選択して講ずべき措置
①始業時刻等の変更
1日の所定労働時間を変更せずに、始業・終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げることや、フレックスタイム制の適用等がこれに該当します。
②テレワーク等
1日の所定労働時間を変更せずに、月に10日以上テレワークを利用できるものがこれに該当します。テレワークは原則として時間単位で取得できるものとする必要があります。
③保育施設等の設置運営等
保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするものであり、その他これに準ずる便宜の供与には、事業主がベビーシッターを手配し、その費用の一部を補助することなどが含まれます。
④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与
1日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上の休暇を、原則として時間単位で取得できるものにする必要があります。取得理由は、就業しつつ子を養育するのに役立てるものであれば、どのような目的に利用するかは労働者に委ねられるものです。この休暇は有給にすることまでを求められているものではないため、無給とする取り扱いでも問題はありません。
⑤短時間勤務制度
1日の所定労働時間を6時間とする措置を含むものとしなければなりません。
(2) 柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認をすること
3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になる前の適切な時期に、上記(1)で選択した構ずべき措置について次のとおり制度の周知と制度利用の意向の確認を個別に行う必要があります。
周知時期 労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間 (1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)
例:誕生日が4月20日の子の場合
1歳の3月21日から2歳の3月20日までの1年間
周知事項 ①事業主が選択した講ずべき措置の内容(二つ以上) ②対象措置の申出先(例:人事部等)
③所定外労働、時間外労働、深夜業の制限に関する制度
個別周知・意向確認の方法 ①面談、②書面交付、③FAX、④電子メール等のいずれかの方法により周知すること。 ①はオンライン面談も可。③と④は労働者が希望する場合のみ可。④は電子メール等の内容を印刷することで書面を作成できるものに限る。
※施行日令和7年10月1日において、個別の周知・意向確認の対象となる子の範囲は、令和4年10月31日から令和5年10月30日までに生まれた子となります。
令和7年10月1日時点ですでに子が2歳11か月に達する日の翌日を過ぎている場合は、(2)の周知・意向確認の義務の対象にはなりませんが、子が3歳の誕生日から小学校就学前までの間に(1)の柔軟な働き方を実現するための措置については同様に利用できるものになります。
そのため、個別周知・意向確認の義務の対象外であっても小学校就学前の子を養育する労働者に対しては同様に個別の周知等をすることが望ましいとされています。
2、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
(1) 妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
事業主は、労働者本人または配偶者の妊娠・出産等の申出を受けたときと、労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。
これは、「柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知と意向確認」とは別に行う必要があります。
意向聴取の時期 ①労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき ②労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)②の適切な時期とは、「柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知と意向確認」と同様であるため、一緒に行うことも可能です。
聴取内容 ①勤務時間帯(始業及び終業の時刻) ②勤務地(就業の場所)
③両立支援制度等の利用期間
④仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)
仕事と育児の両立を困難にしている要因がないかどうか確認します。
意向聴取の方法 ①面談、②書面交付、③FAX、④電子メール等のいずれかの方法により周知すること。 ①はオンライン面談も可。③と④は労働者が希望する場合のみ可。④は電子メール等の内容を印刷することで書面を作成できるものに限る。
(2) 聴取した労働者の意向についての配慮
事業主が、意向聴取した労働者の労働条件等を決定するにあたり、意向の内容を踏まえた検討を行い、その意向に配慮することを義務づけるものであり、必ず意向に沿った対応を講ずることを義務付けるものではありません。
自社の状況に応じて、可能な範囲で意向に沿うような配慮が必要ですが、結果として意向に沿うような対応ができるかどうかは事業主が決定するものとなります。
仮に、十分な検討の結果、意向に沿うことが難しい場合は、その理由等を労働者に説明する等丁寧な対応が求められます。
具体的な配慮としては、勤務時間帯・勤務地に係る調整、業務量の調整、両立支援制度の利用期間の見直し、労働条件の見直しなどがあげられます。
3、まとめ
10月1日施行日より義務が生じますので、それまでに次のような準備を進めることが考えられます。
①柔軟な働き方を実現するために講ずべき措置の選択にあたり、過半数労働組合等からの意見の聴取
②過半数労働組合等の意見聴取の内容を踏まえ、柔軟な働き方を実現するために講ずべき措置を2つ以上選択
③選択した内容に基づいて就業規則等の見直し
④10月1日時点で個別の周知・意向確認や個別の意見聴取をする対象者の抽出・準備
⑤個別の周知・意向確認や個別の意見聴取をする方法の検討や書面等の準備
⑥労使協定の締結(柔軟な働き方を実現するための措置は労使協定を締結することで、入社1年未満の従業員及び1週間の所定労働日数が2日以下の従業員を除外することが可能です。除外する場合は労使協定の締結が必要です。)
令和3年改正(令和4年4月1日施行)で既に義務となっている個別の周知・意向確認は育児休業等の制度についての周知と意向確認です。
令和6年改正(令和7年10月1日施行)で追加される個別の周知・意向確認は、柔軟な働き方を実現するための措置についての周知と意向確認、及び仕事と育児の両立に関する意向聴取です。
それぞれ、タイミングや目的・内容が異なりますので、混同しないように整理しておきましょう。
詳細は下記厚生労働省のホームページをご参照ください。
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令和7年 社会保険 算定基礎届の提出
2025年7月2日
社会保険算定基礎届(定時決定)の提出の時期になりました。
期間内に、日本年金機構へ提出してください。
(健康保険組合に加入の事業主の方は、健康保険組合にも提出してください。)
提出期間 : 令和7年7月1日(火)から7月10日(木)まで
定時決定とは
◆健康保険及び厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、事業主は7月1日現在で使用している全ての被保険者及び70歳以上被用者に4・5・6月に支払った賃金を「算定基礎届」によって届出し、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。
これを定時決定といいます。
◆「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納付する保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。
◆届出書類や案内文書が、事業主宛に6月上旬頃から日本年金機構より発送されます。
電子申請 または 同封されている返信用封筒にて事務センターへ郵送して下さい。
留意点
◆算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日現在の全ての被保険者及び70歳以上被用者です。
ただし、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する方は算定基礎届の提出が不要です。
(1)6月1日以降に資格取得した方
(2)6月30日以前に退職した方
(3)7月、8月、9月随時改定の月額変更届を提出する方
◆報酬とは「労働の対償」として受けるものが報酬となります。
基本給だけでなく各種手当や通勤定期券(非課税分含む)も含まれますが、出張旅費、解雇予告手当、退職手当、臨時に受けるもの、3ヵ月を超える期間ごとに受けるものは除きます。
詳細については日本年金機構のホームページでご確認ください。
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令和7年6月1日施行、職場の熱中症対策義務化
2025年6月3日
労働安全衛生規則の一部を改正する省令が令和7年4月15日に公布され、令和7年5月20日、基発0520第6号において、その具体的な内容が発出されました。
省令及び通達内容を下記に抜粋し、ポイントを整理します。
1、義務化の背景と趣旨
近年の気候変動により気温の上昇が続き、熱中症対策は今や重要な社会問題となっています。
これまでも熱中症対策については、厚生労働省からも周知・啓発は行われていますが、それでもここ数年熱中症による労働災害は更に上昇傾向にあり、また特に死亡災害など重篤なものが増えているということです。
重症化や死亡につながる要因の多くは、初期症状の放置や対応の遅れによることから、熱中症症状の早期発見及び重篤化を防ぐために、いくつかの対策が義務化されました。
2、改正省令(労働安全衛生規則第612条の2)
(熱中症を生ずるおそれのある作業)
事業者は、※暑熱な場所において※連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し(①)、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知(③)させなければならない。
2 事業者は、※暑熱な場所において※連続して行われる作業等熱中症 を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め(②)、※当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知(③)させなければならない。
※暑熱な場所とは・・・
・湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所をいい、いずれか一方でも該当する場合は、暑熱な場所に該当する。
必ずしも事業所や作業場等の特定の場所のみをいうわけではなく、出張先で作業を行う場合や移動して複数の場所で行う場合、作業場所から作業場所への移動時等も含む。
・暑熱な場所に該当するか否かは、原則として作業が行われる場所で実測することにより判断する必要があるが、風通しのよい屋外作業について天気予報や環境省の運営する熱中症予防情報サイト等の活用でもよいとされている。
※連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業とは・・・
上記の暑熱な場所において、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業をいう。
臨時の作業であっても要件を満たす場合は対象となる。
※当該作業に従事する者とは・・・
労働者だけでなく、労働者と同一の場所において当該作業に従事する労働者以外の者を含む。(一人親方等)
3、義務の内容(何をすれば良いのか)
今回の省令改正により義務化される内容は下記の三点です。(上記省令中①~③)
①(連絡体制の整備)
熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者を発見した者がその旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ整備しておくこと。
・作業場の責任者等、報告を受ける者の連絡先及び当該者への連絡方法等を、当該作業開始前までに定めること。(余裕をもって定めるよう努める。ただし同一の作業が同一の従事者によって連続して行われる場合であって、すでに整備と周知が行われている場合は、作業日ごとに重ねて行う必要はない。)
・熱中症を生ずるおそれの作業をおこなっている間は、随時報告を受けることができる体制になっていること。(責任者及び不在の場合を想定し、副責任者を定める等)
・電話等で報告を受ける以外にも、責任者による作業場の巡視、2人以上の作業者がお互いの健康状態を確認するバディ制、ウェアラブルデバイスを用いた作業者の熱中症のリスク管理、責任者・労働者双方向での定期連絡やこれらの措置の組み合わせ等、熱中症の疑いを早期に発見できるような仕組みづくりが推奨されている。
②(手順の作成)
熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者への対応に関し、事業場の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先並びに必要な措置の内容及び手順を事業場ごとにあらかじめ作成しておくこと。
・実際に熱中症の疑いが生じた場合に、どのように対応するのかを、作業場所、作業実態を踏まえ合理的に実施可能な内容とすること。
・熱中症の疑いが生じた場合の対応方法(作業離脱、救急車を呼ぶ、身体の冷却、病院の受診、#7119(救急安心センター事業)への相談等を含むその他初期対応)の手順および、事業場における緊急連絡網や搬送先病院等を定める場合はその内容等も含めて手順書を作成することが望ましい。
また、帰宅後に症状が悪化するケースもあることから、そのような場合の対応方法や連絡方法等も定めておくことも重要。
③(周知)
当該体制や手順など(上記①及び②)について当該作業に従事する者に対し周知すること。
・上記①及び②で定めた体制や手順について、事業場への見やすい場所への掲示、メールの送付、文書の配布のほか、朝礼における伝達、または複数の組み合わせ等、作業者全員に確実に伝わる方法で周知を行うこと。
・対象の作業に従事する当事者でない労働者が、熱中症のおそれのある者を発見する可能性もあるため、該当の作業に従事する者以外にも周知しておくことが望ましい。
・建設業等、建設現場で複数の事業者が作業を行う場合、それぞれの事業者に義務が生じる。
違反があった場合は元方事業者のみならず関係した事業者全てに違反が生じたことになる。
4、罰則
労働安全衛生法第22条違反
6か月以下の懲役または50万以下の罰金(労働安全衛生法第119条)
5、まとめ
屋外で作業をする業種以外にも、例えば営業職等で気温が31度以上の日に1時間以上外回りをするというようなケースでは今回の義務の対象となってきますので、多くの会社で対策が必要となるでしょう。
「義務化」ということだけではなく、いざという時の対応手順や連絡体制を整備しておくことは、熱中症の重症化を防ぐためには非常に重要だと思います。
また社内において、熱中症についての知識を深めるための勉強会を開催することなども、熱中症による災害を防止するうえで大変有効だと思います。
今回の義務では、行った対応等についての記録の保存までは求められていませんが、労働基準監督署の調査時等に、実施内容を説明できるような体制をとっておくことが望ましいでしょう。
同時に熱中症の予防を行うことも非常に重要となりますが、それについては、「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について(基発0520第7号令和7年5月20日一部改正)」において解説されておりますのでご確認ください。
また、厚生労働省のホームページに熱中症発生時の対応手順例等も掲載されていますので、それらを参考に自社にあった手順や体制を構築されるとよいでしょう。
詳細は下記をご確認ください。