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出生後休業支援給付金とは?
2025年4月2日
出生後休業支援給付金とは?
~令和7年4月1日、新しい育児休業等給付が始まります~
これまでの出生時育児休業給付金、育児休業給付金に加え、令和7年4月1日からは、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金の2種類の新しい給付金が始まります。
今回は出生後休業支援給付金とはどのようなものか、従業員からの質問に対応できるよう概略をつかんでいきましょう。
1、出生後休業支援給付金とは
子の出生直後の一定期間に、両親ともに(配偶者の育児休業を要件としない場合に該当する場合を除く)通算14日以上の育児休業又は出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合に、育児休業給付金又は出生時育児休業給付金に上乗せする形で支給されるものです。
支給期間は最大で28日間です。
あくまで育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の上乗せの給付ですので、育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給要件を満たしていることが前提となります。(1)支給要件
① 出生時育児休業給付金が支給される出生時育児休業(産後パパ育休)を通算して14日以上取得した被保険者であること、又は、育児休業給付金が支給される育児休業を対象期間に通算して14日以上取得した被保険者であること。
※対象期間とは・・・
<被保険者が産後休業をしていない場合(父親又は子が養子の場合)>
子の出生日又は出産予定日のうち早い日から、子の出生日又は出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間
<被保険者が産後休業をした場合(母親かつ子が養子でない場合)>
子の出生日又は出産予定日のうち早い日から、子の出生日又は出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日までの期間② 被保険者の配偶者が、出生日又は出産予定日のうち早い日から、子の出生日又は出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間に通算して14日以上の育児休業又は出生時育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。
※配偶者の育児休業を要件としない場合とは・・・
①配偶者がいない②配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
③被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
④配偶者が無業者
⑤配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者ではない
⑥配偶者が産後休業中
⑦1~6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない上記⑦の1~6以外の理由とは、具体的にどのような場合か・・・
(厚生労働省の育児休業給付Q&Aより)
①日々雇用される者であるため
②出生時育児休業の申出をすることができない有期雇用労働者であるため
③労使協定に基づき事業主から育児休業の申出又は出生時育児休業の申出を拒まれたため
④公務員であって育児休業の請求に対して任命権者から育児休業が承認されなかったため
⑤雇用保険被保険者ではないため、育児休業給付を受給することができない(共済組合の組合員である公務員の場合は除く)
⑥短期雇用特例被保険者であるため、育児休業給付を受給することができない
⑦雇用保険被保険者であった期間が1年未満のため、育児休業給付を受給することができない
⑧雇用保険被保険者であった期間は1年以上あるが、賃金支払いの基礎となる日数や労働時間が不足するため。育児休業給付を受給することができない
⑨配偶者の勤務先の出生時育児休業又は育児休業が有給の休業であるため、育児休業給付を受給することができない(有給でなければ出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を、期間内に通算して14日以上取得している必要があります。)※令和7年4月1日より前から引き続いて産後パパ育休又は育児休業を取得している場合は、令和7年4月1日以降の対象期間だけで、上記①及び②の通算14日以上の要件を満たす必要があります。
(2)支給額
休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%上乗せで支給されるものですので、仮に出生時育児休業を取得した場合は、下記のようになります。
<出生時育児休業給付金の額>
休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%
<出生後休業支援給付金の額>
休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%
合計80%
※支給額には上限があります。
(令和7年7月31日までの休業開始時賃金日額の上限は15,690円です。毎年8月1日に改定があります。)
※出生後休業支援給付金が支給される期間に賃金の支払いを受けた場合、減額処理はありませんが、育児休業給付や出生時育児休業給付が支給されないときは、出生後休業支援給付金も支給されません。
2、まとめ
女性の場合は産後8週間の産後休業を経てそのまま育児休業に入るケースが多いと思います。
そのような場合、配偶者も産後パパ育休を14日以上取得していると、夫婦それぞれの育児休業給付や出生時育児休業給付に上乗せの給付がされるということになります。
これにより、4月1日以降に育児休業給付や出生時育児休業給付の申請をする際には、配偶者の状況も確認することが必要となります。
4月1日より前から引き続き育児休業又は出生時育児休業を取得している場合は、4月1日以降の日数のみで14日以上の休業がある場合に対象になりますので、あわせて確認をするようにしましょう。
従業員からの質問も増えてくると思います。きちんと説明できるように、また確認不足や手続き漏れ等で従業員に不利益が生じないように注意しましょう。
次回は、同じくこの4月1日から開始になる「育児時短就業給付」について取り上げたいと思います。
手続き方法等、詳細は下記をご確認ください。
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雇用保険料率が4月から変更になります。
2025年4月2日
令和7年4月1日から令和8年3月31日までの雇用保険料率が変更になります。
雇用保険料率は毎年見直しが行われ、変更になる場合は、通常は4月から変更になります。
令和7年度は、労働者負担・事業主負担ともに4月から引き下げになります。
保険料は、毎月の給与総支給額に、業種ごとに定められた保険料率を乗じて計算します。
給与締日が4月中にある給与から雇用保険料の変更が必要です。
(例1)給与締日:末日(4/1~4/30) 給与支給日:翌月15日(5/15)
→5/15支給の給与から新しい料率で計算(4/15支給は旧料率で計算)
(例2)賃金締日:20日(3/21~4/20) 給与支給日:当月末日(4/30)
→4/30支給の給与から新しい料率で計算
納めた保険料は、労働者が失業した場合や育児介護休業を取得した場合、また自ら教育訓練を受けた場合等、生活・雇用の安定と就職の促進は図るための給付に使われています。
変更し忘れないようにご注意ください。
業種ごとの保険料率等、詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
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令和7年度 在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されます
2025年3月4日
令和7年4月より、在職老齢年金制度の支給停止調整額が、51万円に変更されます。
令和7年1月24日、厚生労働省のホームページにおいて、「令和7年度の年金額改定」についてのPress Releaseが掲載されました。
その中で、令和7年度の在職老齢年金支給停止調整額が51万円になることが公表されています。
■変更内容
支給停止調整額 令和6年度:50万円 ⇒ 令和7年度:51万円
■在職老齢年金制度とは…
働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額を超える場合には、老齢厚生年金額について一部支給停止又は全額支給停止等の支給調整が行われます。
これを在職老齢年金制度といいます。
■支給停止調整額とは…
給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)がこの金額までなら支給停止なく全額支給されるという基準額のことを「支給停止調整額」といいます。
以前は60歳以上65歳未満と65歳以降では、支給停止調整額が異なっていましたが、令和4年4月の年金制度改正により、60歳以上65歳未満も65歳以上と同じ支給停止調整額に改正されています。
この支給停止調整額は毎年4月に見直しがあり、令和7年度は、前年度の50万円から51万円に変更されます。
■令和7年度の在職老齢年金制度による支給停止計算方法
給与等(賞与含む)の1か月あたりの額と老齢厚生年金の1か月あたりの額の合計が51万円以下であれば年金は支給停止なく全額支給され、51万円を超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。
尚、老齢基礎年金は給与等に関係なく全額受給できます。
支給停止額=(総報酬月額相当額…①+基本月額…②-支給停止調整額(令和7年度は51万円)÷2
<計算例1>
標準報酬月額34万円、1年間の賞与120万円、老齢厚生年金120万円とした場合
①総報酬月額相当額・・・
44万円/月(標準報酬月額34万円+標準賞与額の1か月分(120万円÷12月))
②基本月額・・・10万円/月(老齢厚生年金の1か月分(120万円÷12月))
★支給停止額=(44万円+10万円-51万円)÷2=1万5千円
1か月あたり1万5千円の老齢厚生年金が支給停止されます。
<計算例2>
標準報酬月額22万円、1年間の賞与120万円、老齢厚生年金120万円とした場合
①総報酬月額相当額・・・
32万円/月(標準報酬月額22万円+標準賞与額の1か月分(120万円÷12月))
②基本月額・・・10万円/月(老齢厚生年金の1か月分(120万円÷12月))
★支給停止額=32万円+10万円は42万円となり、51万円以下のため、支給停止はありません。
①総報酬月額相当額とは…
調整の対象となる月におけるその方の「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額」を合算して得た額のことです。
※70歳以上の場合は、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額。
②基本月額とは…
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額(加給年金を除く)を12月で除して得た額のことです。(老齢基礎年金は支給調整の対象外です。)
※加給年金は除いて在職老齢年金の支給停止額を計算しますが、老齢厚生年金の一部でも支給されていれば加給年金は全額支給され、老齢厚生年金の全額が支給停止されている場合は加給年金も全額支給停止になります。
■在職定時改定
令和4年4月の年金制度改正により、毎年9月1日に厚生年金に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額を10月分(12月受取分)から改定する仕組みがとられています。
これにより原則として年金額が年に1度増額改定されるため、報酬等に増額がない場合でも在職老齢年金制度による支給停止額には影響が出る可能性があります。
■まとめ
老齢年金を受給していても、加入要件を満たす場合、70歳までは厚生年金に加入し保険料を納めなければなりませんが、その分年金は増えていくことになります。
また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても厚生年金の加入要件を満たすような働き方を継続している限り、現行制度においては年齢の上限なく在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給調整は行われることになります。
不動産収入等、給与以外の収入も支給調整の対象に入るか等のご質問をよくいただきますが、支給停止計算方法からもおわかりいただけるように、現行の制度においては、年金と報酬との調整は標準報酬月額や標準賞与額を使用しますので、それ以外の収入は調整の対象外となります。
また、支給停止されていても、将来年金を繰下げ受給する際には、繰下げ増額された老齢厚生年金を受け取れると誤解されているケースもあるかと思います。
繰下げ受給で増額されるのは、受け取れる年金を受け取らずに繰下げした場合であり、支給停止されている部分については増額の対象外ですのでご注意ください。
在職老齢年金の支給停止調整額は、毎年4月に改定されますが、ここ数年の推移は、令和4年度が47万、令和5年度が48万、令和6年度が50万、そして令和7年度が51万となっています。
働いて給与等を得ている方が老齢厚生年金を受給できるようになった時や、給与等を得ながら老齢厚生年金を受給している方が給与等を変更する場合等には、少なからず年金額への影響があるため、在職老齢年金制度をよく理解するとともに、毎年この時期は、支給停止調整額についても改定の有無をチェックするようにしましょう。
また、在職老齢年金制度については、高齢者の就業活躍の重要性と年金の支給停止による就業調整等の問題を背景に、厚生労働省の審議会においても見直しの検討が進められている注目の制度でもあります。
在職老齢年金制度の今後の動きについても注視していきましょう。
詳細は下記をご参照ください。
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協会けんぽの保険料率が改定されました。
2025年3月4日
令和7年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率の改定が発表されています。
改定後の健康保険料率と介護保険料率の適用は3月分(4月納付分)からとなりますので、給与から控除する保険料の変更を忘れないように注意して下さい。
任意継続被保険者及び日雇特例被保険者の方は4月分(4月納付分)から変更となります。
全国健康保険協会では、都道府県ごとに健康保険料率を設定しています。
都道府県ごとの加入者1人当たりの医療費に応じて保険料率が低くなったり高くなったりしますが、疾病の予防や健康づくりの取組などにより加入者の医療費が下がれば、その分の健康保険料率を下げることが可能となる仕組みです。
<健康づくり>
①健康状態を確認するために健診を毎年受けましょう!!
自分自身の生活習慣を見直し、改善に取り組むきっかけとなります。
また、早期に病気を発見し、早期治療につなげることができます。
②健診結果に応じて、引き続きの健康づくり、特定保健指導の利用、医療機関への早期受診といった行動に移しましょう!!
③適度な運動、バランスの良い食生活、禁煙等、日々の健康づくりも大切です。
具体的な都道府県ごとの健康保険料率は、全国健康保険協会のホームページでご確認下さい。
介護保険料率は、全国一律で1.59%に変更となっています。
※健康保険組合や国民健康保険組合に加入の事業主の方は、各組合にご確認下さい。
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給与のデジタル払いがいよいよ現実的に
2025年2月4日
~給与のデジタル払いがいよいよ現実的に~
PayPayが給与のデジタル払いに対応
令和5年4月から、デジタルマネーによる給与の支払いが解禁されています。
これは昨今のキャッシュレス決済等の普及に対応する流れですが、デジタルマネーならどこの事業者のものでも給与のデジタル払いができるというものではなく、厚生労働大臣の審査を受け指定された事業者(指定資金移動業者)のデジタルマネーでのみ給与のデジタル払いが認められるというものです。
実務上、そういった指定を受けた業者がないと導入ができない仕組みです。
令和6年8月にPayPay株式会社が指定資金移動業者第1号として指定されたことを受け、いよいよ現実的に給与のデジタル払い導入の検討が可能な段階に入ってきたといえるでしょう。
ただし、ではすぐに給与のデジタル払いができるのかというとそうではありません。
給与のデジタル払いを導入するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
今回は実際に給与デジタル払いを導入するうえで必要な手順について確認していきましょう。
1、導入手順
①厚生労働大臣の指定を受けた指定資金移動業者の確認
指定資金移動業者は厚生労働省のホームページ上で確認できます。(現在指定を受けている業者はPayPay株式会社と株式会社リクルートMUFGビジネスの2社。他に審査中が2社。令和6年12月13日現在:厚生労働省ホームページより)
②導入する事業者の検討
どの事業者を選択するのか、労働者のニーズ及び便宜を考慮のうえ検討します。(複数の事業者を指定することも可能)
③労使協定の締結
給与のデジタル払いの導入について、労使が合意し、あらかじめ労使協定を締結する必要があります。
労使のうち一方でも同意しない場合は導入できません。
<労使協定に記載する内容>
・対象となる労働者の範囲
・対象となる賃金の範囲とその金額
・取扱指定移動業者の範囲
・実施開始時期
④就業規則(給与規定)の変更及び労働基準監督署への届出
※常時10人以上の労働者を使用している事業場は、就業規則を作成し労働基準監督署長へ届出なければなりません。
デジタル払いは給与の支払い方法に関することですので、その内容に対応する規定に改定する必要があります。
⑤労働者への説明
給与のデジタル払いの留意点について労働者に説明しなければなりません。
指定資金移動業者へ説明を委託することもできますが、指定資金移動業者以外には委託できません。
また、説明をする際には、デジタル払いの他に、預金口座や証券総合口座への振り込みも、支払方法の選択肢として同時に提示する必要があります。
労働者への説明を怠ったり、現金かデジタル払いかの二択の選択肢しか与えなかった場合又はデジタル払いを強制したような場合は、労働基準法に違反し、罰則の対象になります。
説明すべき内容は厚生労働省がホームページ上で公表している同意書の裏面に記載されています。
⑥労働者の個別同意
個別の同意を取得します。留意事項の説明を指定資金移動業者へ依頼した場合でも、個別の同意は事業主がとる必要があります。
その際には、デジタル払いを行う上で必要な情報も一緒に取得します。(デジタル給与の振り込みに必要な口座番号、デジタル払いの希望額、デジタル給与が上限を超えた場合に振り込みをする預金口座の口座情報等)
2、PayPay給与デジタル払いの場合
まずは、導入手順で説明した労使協定締結、就業規則の変更・届出及び労働者への留意事項の説明が必要です。
その後PayPayの場合、労働者本人が自分のPayPayアプリから給与受取の申込をします。
PayPayから給与受取口座への入金用口座番号が割り当てられますので、その番号を会社に伝えます。(同意書に記載)
会社がその口座番号へ通常通りの振り込み処理をするだけで労働者のPayPayアカウントに給与がチャージされる仕組みとなっています。
会社がPayPayと契約を交わしたり書類の提出をしたりするようなこともなく、会社の労力的負担があまりかからない設計となっているようです。
PayPayアカウントでの給与保有上限は20万円とされており、それを超える部分についてはあらかじめ登録している銀行口座等に自動で送金されます。
例えば毎月20万円のPayPay払いを希望していても、前月のPayPay給与が5万円残っている場合は、15万円のみPayPayアカウントに支払われ、残りの5万円は登録されている銀行口座等に自動で送金される仕組みです。
さらにはPayPayで受け取った給与も、自分の銀行口座等に送金し、1円以上1円単位で現金化することも可能です。
また、PayPay破綻時には保証機関による保証が提供され、不正取引時にも一定の要件のもと保障を受けることができるようになっています。
詳細は厚生労働省ホームページ及びPayPay株式会社のホームページをご確認ください。
3、まとめ
以上より、デジタル払いは、厚生労働大臣の指定を受けた業者のデジタルマネーでしか行えないこと、またデジタル払いを行うためには必要な手順を踏む必要があるということがお分かりいただけたと思います。
デジタル払いは労使の合意を必要とするものですので、労働者から希望があったからといって必ず導入しなければいけないというものではありませんし、仮に労使の合意によりデジタル払いを導入したとしても従業員全員がデジタル払いをしなければいけないということはなく、もちろん強制することもできません。
利用が普及しているPayPayが給与のデジタル払いに対応したことから、今後労働者からも利用を希望する声や問い合わせが増えてくることも想定されます。
この機会に、デジタル払いの内容や導入手順をよく理解し、適切な対応ができるようにしておきましょう。
詳細は下記をご確認ください。
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育児休業給付延長手続きが変わります
2025年2月4日
2025年4月から、保育所等に入れなかったことを理由とする雇用保険育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります。
◆育児休業給付金とは
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者の方が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得して、一定の要件を満たした場合に支給されます。
また、1歳時点で保育所等に入れなかったため等の延長事由が生じ、育児休業給付金の支給対象期間を延長した場合は、1歳6か月に達する日前まで(再延長で2歳に達する日前まで)支給を受けることができます。
◆支給対象期間延長手続き
育児休業給付金の支給対象期間を延長するには手続きが必要です。
保育所等に入れなかったために延長する場合、これまでは、保育所等の利用を申し込んだものの、当面入所できないことについて、市区町村の発行する入所保留通知書などにより確認していました。
2025年4月からは、これまでの確認に加え、保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要になります。
◆見直しの背景・経緯
・保育所等への入所意思がなく、給付延長のために申し込みを行う者への対応に時間が割かれる
・意に反して保育所等への入所が内定となった方の苦情対応に時間を要している
市区町村から、上記のような意見・見直しの要望があがっていました。
育児休業及び給付金の延長を目的として、保育所等の利用の意思がないにもかかわらず市区町村に入所を申し込むことは、制度趣旨に沿わない行為です。
保育所等の利用調整における市町村の事務負担を軽減するとともに、制度の適切な運用を図るため、保育所等の利用申し込みが速やかな職場復帰のために行われたものであったか等を、公共職業安定所(ハローワーク)において判断し、延長可否を決めることになりました。
◆必要な書類
2025年4月以後の保育所等に入れなかったための延長の際は、下記の書類が必要です。
1.育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
2.市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
①市区町村への保育所等の入所申し込みは、子が1歳に達する日までに行っていること
②入所希望日を、子が1歳に達する日の翌日以前の日付として入所申し込みを行っていること
※市区町村の申込期限に間に合わなかったために、要件を満たす入所申し込みができなかった場合は、延長の対象とはなりません。
※市区町村に入所可能か問い合わせただけでは支給対象期間の延長の対象とはなりません。
申込期限までに入所の申し込みを行うことが必要です。
※子が病気や障害により特別な配慮が必要であるため、保育体制が整備されていない等の理由で入
所申し込みを市区町村が受け付けない場合は、申告書の理由欄にその旨を記載した上で、必要な書類を添付してください。
3.市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
◆支給対象期間延長要件
2025年4月以後の保育所等に入れなかったための延長の際は、下記の1~3すべてを満たす必要があります。
1.あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること
2.速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること(①~③すべてを満たす必要があります)
①原則として子が1歳に達する日の翌日以前の日を入所希望日として入所申し込みをしていること。
②申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅から通所に片道 30 分以上要する施設のみとなっていないこと
③市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと
3.子が1歳に達する日(1歳6か月に達する日後の延長の場合は子が1歳6か月に達する日)の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと
※「子が1歳に達する日」とは「子の1歳の誕生日の前日」のことです。
その他、詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
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高年齢雇用継続給付の支給率変更について
2025年1月7日
令和7年4月1日より、高年齢雇用継続給付の支給率が15%→10%へ変更されます。
※令和7年4月1日以降に60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年ない場合はその期間が5年を満たすこととなった日)を迎えた方が対象です。
令和7年3月31日以前に60歳に達した方等は現行の支給率から変更はありません。
1に変更内容を、2に制度全体の概要を示しています。この機会にぜひご確認ください。
(※60歳に達した日:60歳の誕生日の前日)
1、高年齢雇用継続給付の変更内容
令和7年3月31日以前 令和7年4月1日以降 各月に支払われた賃金の低下率 61%以下
各月に支払われた賃金額の15% 各月に支払われた賃金の低下率 64%以下
各月に支払われた賃金額の10% 各月に支払われた賃金の低下率 61%超75%未満
各月に支払われた賃金額の15%から0%の間で、賃金の低下率に応じ、賃金と給付額の合計が75%を超えない範囲で設定される率 各月に支払われた賃金の低下率 64%超75%未満
各月に支払われた賃金額の10%から0%の間で、賃金の低下率に応じ、賃金と給付額の合計が75%を超えない範囲で設定される率 各月に支払われた賃金の低下率 75%以上
不支給 各月に支払われた賃金の低下率 75%以上
不支給 ※支給限度額・最低限度額の取扱いに変更はありません。
(令和6年8月1日からの支給限度額は376,750円、最低限度額は2,295円です。支払いを受けた賃金額が支給限度額以上の場合、及び高年齢雇用継続給として算定された額が最低限度額を超えない場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。)
2、高年齢雇用継続給付の概要
(1)雇用継続給付とは?
60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者に対して支給される給付です。
賃金低下によるモチベーションの低下を防ぎ、高年齢者がいきいきと活躍できるよう、65歳までの継続雇用を援助・促進することを目的としています。
(2)高年齢雇用継続給付金の種類
高年齢雇用継続給付金には、基本手当等を受給していない方を対象とした「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当等を受給中に再就職した方を対象とした「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
①高年齢雇用継続基本給付金
<受給資格>
■60歳到達日において被保険者であった場合
イ 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
ロ 被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
■60歳到達日において被保険者でなく、それ以降の再就職により被保険者となった場合
イ 60歳到達前の離職した時点で、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
ロ 60歳到達前の離職した日の翌日が、60歳到達後に再雇用された日の前日から起算して1年以内にあること。
ハ ロの期間に求職者給付及び就業促進手当を受給していないこと。
<支給要件>
イ 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること。
ロ 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
ハ 支給対象月に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること。
ニ 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること。
ホ 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付又は介護休業給付の支給対象となっていないこと。
<支給対象期間>
イ 60歳到達日の属する月から、65歳に到達する日の属する月までの間
ロ 60歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月から65歳に到達する日の属する月までの間
ハ 60歳到達時に被保険者でなかった者は、新たに被保険者資格を取得した日又は受給資格を満たした日の属する月から65歳に到達する日の属する月までの間
<支給額>
1に記載した、「高年齢雇用継続給付の変更内容」のとおり
※特別支給の老齢厚生年金との併給調整あり。(高年齢雇用継続給付の額に応じて年金の一部が支給停止される場合がある。)
②高年齢再就職給付金
<受給資格>
イ 60歳以上65歳未満で再就職した一般被保険者であること。
ロ 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと。
ハ 再就職する前に雇用保険に基本手当等の支給を受け、その受給期間内に再就職し、かつ支給残日数が100日以上あること。
ニ 直前の離職時において、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。
ホ その再就職について、再就職手当を受給していないこと。
<支給要件>
高年齢雇用継続給付と同様。
<支給対象期間>
イ 雇用保険に基本手当の残日数が200日以上の場合は、当該被保険者となった日の翌日から2年を経過する日の属する月まで。
ロ 雇用保険に基本手当の残日数が100日以上200日未満の場合は、当該被保険者となった日の翌日から1年を経過する日の属する月まで。
ハ イ及びロにおいて、2年又は1年を経過する前に65歳に達した場合は、支給対象期間に関わらず、65歳に達した日の属する月まで。
<支給額>
高年齢雇用継続給付と同様。
※特別支給の老齢厚生年金との併給調整あり。(高年齢雇用継続給付の額に応じて年金の一部が支給停止される場合がある。)
※高年齢再就職給付金と再就職手当は併給できないためどちらか一方を被保険者が選択することになる。再就職手当は一括で支給され、また年金との併給調整がない等それぞれに違いがある。支給決定を受けた後は変更等ができないため選択時は注意が必要。
3、まとめ
高年齢者雇用安定法による高年齢者の雇用確保措置の進展や、同一労働同一賃金による公正な待遇の確保等を背景に、高年齢雇用継続給付がこの先の廃止等も含めて検討される中、令和7年度は給付率の変更(引き下げ)となりました。
そのような中でも高年齢者がモチベーションを保ち、やりがいをもって働き続けることができる待遇や環境を整備していくことが、今後の会社の課題となっていくのではないでしょうか。
詳細は下記厚生労働省のホームページをご確認ください。
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【YouTube動画】社会保険・労働保険の加入要件をアップいたしました。
2024年12月5日
社会保険・労働保険の加入要件について基本事項と、 問い合わせの多い内容についてまとめました。 ぜひ、ご参考にしてください。