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2024年4月1日適用 トラック運転者の時間外労働の上限規制適用と改善基準告示の改正ポイントについて

2023年8月2日

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時間外労働の上限規制については、2019年4月から(中小企業は2020年4月)導入されていますが、建設事業、自動車運転の業務、医師等は上限規制の適用が5年間猶予されていました。

この5年の猶予期間が終了し、2024年4月1日以降、いよいよ猶予されていたこれらの事業・業務にも上限規制が導入されます。

今回は2024年問題等と、ニュースやネットでも多く取り上げられている自動車運転の業務(トラック運転者)について、主な改正点等をみていきましょう。

 

■時間外労働の上限規制の適用

 

(2024年4月1日以降)

特別条項付きの36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間になります。

※時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均が80時間以内とする規制は適用されません。

※時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

※2024年4月1日以降の期間のみを定めた36協定に対しては上限規制が適用されますが、2024年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、その間上限規制は適用となりません。1年経過後に新たに定める協定から上限規制が適用になります。

 

■改善基準告示の改正のポイント

 

1.1年、1か月の拘束時間

1年の拘束時間は3,516時間以内→「3,300時間以内」、かつ、1か月の拘束時間は293時間以内「284時間以内」に改正されます。

(例外)
労使協定により1年のうち6か月までは、1年の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができます。
ただし、下記①②を満たす必要があります。
①1か月の拘束時間が284時間を超える月は連続3か月まで。
②1か月の時間外労働及び休日労働の合計時間数が100時間未満となるよう努める。
※2024年3月31日以前に締結した労使協定であり、協定有効期間の終期が2024年4月1日以降であるときは、その終期以降に新たに締結する労使協定から新告示に対応させることになります。(期間の途中である場合2024年4月1日に新告示に沿った協定を締結しなおす必要はありません。)

 

2.1日の拘束時間

1日(始業時刻から起算して24時間をいう)の拘束時間は13時間以内とし、これを延長する場合であっても、上限は16時間→「15時間」に改正されます。

(例外)
宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は週2回を限度に1日の拘束時間を16時間まで延長できます。
※1週間における運行が全て長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合。

 

3.1日の休息期間

1日の休息期間は、勤務終了後、継続8時間以上必要→継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません」に改正されます。

(例外)
宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回を限度に継続8時間以上とすることができます。
ただし、休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、一の運行終了後に継続12時間以上の休息を与えなければなりません。

 

4.連続運転時間

連続運転時間は4時間以内です。運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の運転の中断が必要です。

これまでは、運転の中断を分割する場合は1回10分以上となっていたところが、運転の中断は概ね連続10分以上としたうえで分割できるとされ、10分未満でも認められるようになりました。

ただし1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。

また、1回の中断が5分等のように、10分と乖離している時間の場合は概ね10分以上とは認められません。

またこれまでは運転の中断は「荷積み、荷卸し、荷待ち等」でも可でしたが、改正後は運転の中断は原則として休憩を与えなければなりません。

すぐにそのような対応ができない場合も、いきなり改善告示違反とはなりませんが、休憩が確保できるような運行計画等を作成することが要請されます。

(例外)
サービスエリア又はパーキングエリア等が満車である等により駐車や停車ができず連続運転時間が4時間を超える場合には4時間30分まで延長することができます。

 

5.予期し得ない事象への対応時間の取扱い

災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から、予期し得ない事象への対応時間を除くことができるようになります。

ただし1か月の拘束時間等の他の規定の計算については除くことができません。

1か月の最終日に予期し得ない事象が発生したことにより1か月の拘束時間の上限を超えることのないよう余裕をもった運行計画を作成することが望ましいです。

予期し得ない事象には予測することが可能な交通渋滞等は該当しません。

また、客観的な記録により確認できる時間であることも要件となります。

 

6.分割休息の特例

業務の必要上、業務終了後継続した9時間以上(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は継続8時間以上)の休息期間を与えることが困難な場合は、当分の間一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1を限度として、休息時間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。

分割された休息時間は1回あたり継続3時間以上とし、2分割または3分割とします。

2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上となるように与えなければなりません。

休息期間を3分割する日は連続しないように努める必要があります。

4分割以上は認められません。

 

7.2人乗務の特例

車両が一定の基準(①長さ198㎝以上かつ幅80㎝以上の連続した平面。②クッション材料等により走行中の路面等からの衝撃を緩和されるもの)を満たし、かつ、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を与える場合は、拘束時間を24時間まで延長することができます。

この場合において8時間以上の仮眠時間を与える場合は拘束時間を28時間まで延長することができます。

 

 

上限規制の適用に伴い、36協定の書式も変更になります。

2024年4月1日以降にあらたに締結する協定については、新様式(一般条項9号の3の4、特別条項9号の3の5)を使用するように注意しましょう。

 

その他、改善基準告示についての詳細は下記URLをご確認ください。

トラック運転者の改善基準告示 | 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト

 

 

★アルコール検知器を使用してのアルコールチェックについて

2022年10月1日からアルコール検知器を使用してのアルコールチェックが義務化とされておりましたが、アルコール検知器の供給等の問題から当分の間延期とされていました。

義務化開始予定日はしばらくの間未定でしたが、警視庁より、アルコール検知器を使用してのアルコールチェックの義務化を2024年12月1日より施行するとの方針が明らかにされました。

6月9日から7月8日までパブリックコメントを実施し、その後正式に決定されるとみられています。

警視庁からの今後の発表に注目するとともに、アルコール検知器の準備等もすすめていかれると良いでしょう。

尚、アルコールチェックについては2022年5月の記事でも取り上げています。

アルコール検知器試用義務化規定の適用について

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