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専門業務型裁量労働制の導入・継続の手続き方法等 一部改正について

2024年2月2日

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2024年4月1日施行

専門業務型裁量労働制の導入・継続の手続き方法等 一部改正について

 

~専門業務型裁量労働制とは~

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として省令及び告示によって定められた20(改正により下記※が追加になり19から20業務に変更)の業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度です。
対象業務には、研究開発等専門性の高い分野や、プロデューサー等のクリエイティブな業務が含まれます。(※2024年4月1日以降、銀行または証券会社におけるM&Aアドバイザー業務も対象として追加されました)

 

法改正により、専門業務型裁量労働制の協定内容・手続き方法等について一部変更が生じます。

2024年4月1日以降、専門業務型裁量労働制を新たに導入、あるいは、既に導入しており2024年4月1日以降も継続する場合、以下の対応をしていただく必要があります。

 

■対応の手順

 

STEP1:改正に対応した労使協定の締結(過半数労働組合又は過半数代表者と結ぶ)

 

専門業務型裁量労働制を継続導入する場合は、仮に現在の労使協定が有効期間内であったとしても2024年3月末日までに改正後の協定内容で協定しなければなりません。

協定は作業場への掲示等により労働者に周知しなければなりません。

 

<協定内容>  ※下記、赤字が令和6年4月1日以降追加で必要となる項目です。

 

1.対象業務

対象業務は業務の性質上その遂行の方法等を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者が業務遂行の手段や時間配分等について指示をすることが困難なものとして省令及び告示によって20業務が定められています。

対象業務として労使協定で定めても、実態として業務の遂行方法や時間配分等、労働者の裁量に委ねることができない場合等は適用できません。

個別の業務内容や実態に応じて慎重に判断する必要があります。

 

2.1日の労働時間としてみなす時間(みなし労働時間)

1日についての適用労働者の労働時間数として具体的に定めます。1週間や1か月単位の時間を協定することはできません。

みなし労働時間の設定に当たっては、対象業務の内容並びに適用労働者に適用される賃金・評価制度を考慮して適切な水準のものとし、相応の処遇を確保することが必要です。

 

3.対象業務の遂行手段や時間配分の決定などに関し、使用者が適用労働者に具体的な指示をしないこと

時間配分の決定には、始業・終業の時刻の決定も含まれます。

使用者から始業・終業の時刻の一方でも指示される場合は対象業務に該当しません。

また、業務量が過大である場合や、期限の設定が不適切である場合等は、労働者による時間配分の裁量がないものと判断される可能性があります。

そのようなおそれがある場合は適切に見直しを行うことが必要です。

 

4.適用労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉確保措置の具体的内

労働時間の状況の把握が必要です。そしてその状況に基づいて、どのような健康・福祉確保措置を講ずるかを明確に協定する必要があります。

健康確保措置は、適用労働者全員を対象とする措置から一つ以上、かつ個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置から一つ以上を実施することが望ましいとされています。

中でも特に③の措置を実施することが望ましいとされています。

<適用労働者全員を対象とする措置>

①勤務間インターバル

②深夜勤務の回数制限

③労働時間の上限設定、超えた場合の制度適用の解除

④有休の連続消化の促進

<個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置>

①一定の労働時間を超える適用労働者に対する医師の面接指導の実施

②代償休日又は特別な休暇の付与

③健康診断の実施

④心とからだの健康相談窓口の設置

⑤適切な部署への配置転換

⑥産業医による助言・指導、保険指導の実施

 

5.適用労働者からの苦情処理のために実施する措置の具体的内容

適用労働者からの苦情の処理に関する措置を使用者が実施すること及びその具体的内容を協定しなければなりません。

 

6.制度の適用に当たって労働者本人の同意を得なければならないこと

 

7.制度の適用に労働者が同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと

 

8.制度の適用に関する同意の撤回手続き

撤回の申出先となる部署及び担当者、撤回の申出の方法等その具体的内容を明らかにすることが必要です。

 

9.労使協定の有効期限(3年以内とすることが望ましい)

自動更新する旨を協定することは認められません。労使協定の有効期間の満了に当たっては、再び協定する必要があります。

また、労使協定の内容は一定の期間ごとに見直すことが適当です。

 

10労働時間の状況、健康・福祉確保措置の実施状況、苦情処理措置の実施状況、同意及び同意の撤回の労働者ごとの記録を労使協定の有効期間中及びその期間満了後3年間保存すること

 

 

STEP2:改正に対応した就業規則・労働契約の整備

 

裁量労働制を適用するには労働契約上の根拠が必要なため、協定とは別に就業規則や労働契約等に裁量労働制に関する規定を定める必要があります。

労働者の同意を得る前に、就業規則や労働契約について改正に対応した内容に変更する必要があります。

常時10人以上の労働者を使用する事業場において就業規則の変更をした場合は、管轄の労働基準監督署への届出も必要です。

 

 

STEP3:専門業務型裁量労働に関する協定届の届け出(労働基準監督署へ)

 

改正省令に対応した所定の様式(様式第13号))により所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

すでに専門型業務型裁量労働制を採用しており、改正後も継続して採用する場合は、たとえ現在の協定届が有効期間内であっても、改正に対応した協定届を2024年3月末までに届け出る必要があるため注意が必要です。 

 

 

STEP4:労働者本人の同意取得

 

2024年4月1日以降、労働者に専門業務型裁量労働制を適用するためには、下記①~③の内容を説明したうえで、労働者本人の同意を得ることが必要です。

 

①対象業務の内容や労使協定の有効期間を始めとする労使協定の内容等

②同意した場合に適用される賃金・評価制度の内容

③同意をしなかった場合の配置及び処遇

 

同意は、記録の保存の観点からも書面で得ることが必要です。

また、上記の内容説明においてもトラブル防止の観点から書面で行うことが望ましいでしょう。

本人の同意は労働者ごとに、かつ労使協定の有効期間ごとに得る必要があります。

労働者自身が制度をよく理解したうえで同意をすることが重要です。

同意をしなかった労働者に対して、解雇その他不利益な取り扱いをしてはなりません。

また同意をしない労働者に対してはこの制度を適用できませんので、通常の労働時間による時間管理を行う必要があります。

専門業務型の対象業務は、もともと事業主による時間管理が馴染まない業務になっているため、通常の労働時間管理の下では対応が難しい可能性が高いと思います。

そのような場合、どのような業務に就いていただくのか、そして賃金などの処遇はどのようになるのか等もあらかじめ説明しておく必要があります。

 

 

STEP5:制度の実施

 

使用者は、健康・福祉確保措置や苦情処理措置の実施、記録の保存など労使協定で定めた措置を実施するなど、労使協定を遵守しなければなりません。

 

 

STEP6:労使協定の有効期間満了後の措置

 

①STEP1<協定内容>10に記載した記録の保存義務を遵守すること。

②有効期間満了後、専門業務型裁量労働制を継続する場合は、上記STEP1及びSTEP3~STEP6-①を再度行う必要があります。

STEP1の労使協定の自動更新は認められていませんし、STEP4の個別の同意も労使協定の有効期間ごとに得る必要があります。

一度行えばよいというものではなく、有効期間ごとに毎回行う必要があることに注意が必要です。

 

 

改正期日が迫ってきましたので、2024年4月1日以降専門業務型裁量労働制を導入予定、又は2024年4月1日以降も継続して導入する予定の事業場においては、対応に漏れがないか早めに確認されると良いでしょう。

 

詳細は下記、厚生労働省のホームページをご確認下さい。

専門業務型裁量労働制の解説/厚生労働省

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