令和6年度 障害者の法定雇用率引き上げと変更点について
2024年6月4日
従業員が一定数以上いる規模の事業主には、障害者を雇用する義務が課せられるとともに、毎年6月1日時点での障害者雇用の状況をハローワークへ報告する義務があります。
仮に障害者雇用が0人であってもその事実を報告しなければなりません。
障害者雇用状況報告書の届出時期となりますので、令和6年度の障害者雇用の変更点等について確認していきましょう。
1、法定雇用率の引き上げ
障害者の法定雇用率が、令和6年4月以降2.5%へ引き上げられました。(令和5年度は2.3%)
これにより、企業全体の常用雇用労働者数(除外率により除外すべき労働者を控除した数)が40.0人以上の事業主に、障害者の雇用義務が生じることになります。
※40.0人のカウントの仕方
週30時間以上の常用雇用労働者を1人カウント、週20時間以上30時間未満の短時間労働者を0.5カウントとします。(週10時間以上20時間未満の特定短時間労働者は計算に含めません。)
<計算例>
■常用雇用労働者30名、短時間労働者10名の場合
30名+10名×0.5×2.5%=0.875
端数切捨ての為0人となり、障害者を雇用する義務はありません。
■常用雇用労働者40名、短時間労働者10名の場合
40名+10名×0.5×2.5%=1.125
端数切捨ての為1人となり、1名以上の障害者を雇用する義務があります。
2、除外率について
除外率は令和7年4月以降、除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられます。(現在除外率が10%以下の業種は除外率制度の対象外になります。)
令和6年度の除外率はこれまでと変更はありません。
3、障害者の算定方法の変更
① 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方)の算定特例の延長
平成30年4月1日より、精神障害者の職場定着を進める観点から精神障害者である短時間労働者(週20時間以上30時間未満)の実雇用率の算定について、令和4年度末まで1人としてカウントする特例措置が設けられていました。
令和5年4月以降もこの特例が延長され令和6年度についても継続されています。
② 令和6年4月1日以降、※特定短時間労働者である障害者の一部について、雇用率へ算定できるようになります。
障害者雇用率の算定にあたり、分母である常用雇用労働者には特定短時間労働者数は含めませんが、分子である常用雇用障害者としては、重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者である特定短時間労働者について、一人の雇用に対して0.5人として算定することができるようになります。(就労継続支援A型の利用の利用者を除く)
※特定短時間労働者とは…
短時間労働者のうち、1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満である労働者をいいます。
■常用雇用労働者である障害者のカウント方法(対象となる障害者を1人雇用している場合のカウント数)
週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上
30時間未満 |
10時間以上
20時間未満 |
身体障害者 | 1 | 0.5 | ― |
身体障害者重度 | 2 | 1 | 0.5…上記② |
知的障害者 | 1 | 0.5 | ― |
知的障害者重度 | 2 | 1 | 0.5…上記② |
精神障害者 | 1 | 1…上記① | 0.5…上記② |
その他、障害者雇用支援強化を目的とし、令和6年4月以降、助成金の新設や拡充も図られます。
上記の変更点を踏まえて、自社における障害者雇用義務の有無及び達成状況を確認しましょう。
障害者雇用率は令和8年7月には2.7%に引き上げられることも決定しています。
その場合は常用雇用労働者が37.5人以上の事業主に障害者雇用の義務が生じることになります。
障害者雇用の義務がある事業主は、その義務を果たすべき対応が求められますし、今後の雇用率の改定により義務が生じてくる事業主については、雇入れの体制や環境作り等、早めに準備を進めていくことが重要だと思います。
また、障害者の雇入れや雇用管理等の責任者として、障害者雇用推進者を選任することも努力義務となっています。
このような選任をとおして、障害者雇用に対して責任をもって取り組んでいける体制を整えていくことも大切だと思います。
詳細は下記をご参照ください。