パワーハラスメント防止措置
2022年3月2日
令和4年4月1日より、労働施策総合推進法に基づく
「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!
大企業では令和2年6月1日からパワハラ防止法が施行されていましたが、中小企業においては令和4年3月31日までの努力義務期間を経て、令和4年4月1日に施行されます。
1.職場におけるパワーハラスメントとは、職場で行われる①~③を全て満たす行為です。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるもの
※ 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。また、職場とは事業所のみならず、出張先や接待の席等、職務との関連性を考慮し広く判断されます。労働者とは、正規雇用労働者に限らず非正雇用労働者や派遣労働者も含めた全ての労働者を意味します。
2.パワハラに該当する代表的な6つの類型とは
① 身体的な攻撃…暴行、傷害
② 精神的な攻撃…脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言
③ 人間関係からの切り離し…隔離、仲間外し、無視
④ 過大な要求…業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
⑤ 過小な要求…業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥ 個の侵害…私的なことに過度に立ち入ること
3.職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置とは
① 事業主の方針等の明確化及び周知・啓発
パワハラの内容・行ってはならない旨の方針を明確にし、労働者に周知する。
行為者について、厳正に対処する旨の方針、対処の内容を就業規則等に規定し、労働者に周知する。(就業規則の整備、周知文の作成・配布等)
② 相談窓口の設置と相談に対する適切な対応のための体制の整備
相談窓口を設置し、労働者に周知し、労働者が利用しやすい体制を整備する。
相談窓口担当者が適切に対応できるよう体制を整備する。(事前研修、マニュアル作成等)
③ 事後の迅速かつ適切な対応
事実関係の確認⇒被害者・行為者への措置(事実があった場合)⇒再発防止措置(再研修、周知文の再交付等(※事実が確認できなかった場合も含む))
④ 併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取扱いの禁止)
相談者・行為者のプライバシー保護に必要な措置を講じるとともに労働者にその旨を周知する。
労働者がハラスメントの相談等を理由として解雇等の不利益な取扱いをされない旨を就業規則等に規定し、労働者に周知する。(就業規則の整備、周知文の作成・配布等)
ハラスメントは、従業員の意欲低下や体調不良、退職等の様々なトラブルを招きます。
また企業にとっても職場秩序の乱れ、生産性の低下、人材不足、企業イメージの低下等につながる可能性がありデメリットが大きいです。
すでに中小企業の事業主にもセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントでは対策が義務になっていますが、今回そこにパワーハラスメントも加わった形になります。
どのような行為がパワーハラスメントにあたるのかをまず全体に理解してもらうことが重要です。
そして、万が一ハラスメント行為が確認された場合には、企業として厳正な処分を行う旨もしっかり発信することでハラスメントを抑制していくことが必要です。
詳細については、下記の厚生労働省ホームページをご参照下さい。