障害者雇用について(令和5年度設定 障害者雇用率の変更)
2023年3月2日
<障害者雇用率とは…>
障害者雇用率制度とは、障害者について、一般労働者と同じ水準で常用労働者となる雇用機会を確保することを目的とし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、一定規模以上の事業主に、一定数以上の障害者の雇用義務を課すものです。
障害者雇用率は少なくとも5年毎にその割合の推移を勘案して設定されます。
令和5年4月以降の障害者雇用率は2.7%で設定されましたが、雇入れに係る計画的な対応ができるよう、下記のとおり段階的な障害者雇用率の引き上げが予定されています。(民間企業の場合)
除外率の引き上げ時期 | 障害者雇用率 |
令和3年3月~ | 2.3%(現行) |
令和5年4月~ | 2.3%(据え置き) |
令和6年4月~ | 2.5%(引き上げ) |
令和8年4月~ | 2.7%(引き上げ) |
令和10年4月~ | 令和10年度からの雇用率 |
現行(障害者雇用率2.3%)では ※1 常用労働者数(除外率により除外すべき労働者を控除した数)が43.5人以上の事業主に対して障害者雇用の義務が生じますが、障害者雇用率が2.5%では40人以上、2.7%では37.5人以上となり、障害者雇用の義務がある事業主の範囲が広がることになります。
※1 常用労働者数とは、雇用契約の形式にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用されるもの(見込みを含む)をいいます。昼間学生や2つの事業所に雇用されている労働者、外国人労働者(技能実習、特定技能含む)、65歳以上の労働者についても常用労働者に含まれます。30時間以上を1人、20時間以上30時間未満を0.5人としてカウントします。
<除外率とは…>
障害者雇用には除外率制度というものが設けられています。雇用する労働者数を計算する際に、業種ごとに定められた除外率に相当する労働者数を控除することで、障害者を雇用することが難しい業種の雇用義務を軽減することを目的とした制度です。
除外率制度は平成14年障害者雇用促進法の改正により廃止の方向が示されたものですが、経過措置として当分の間設定されるとしながら、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げすることになっているものです。
これにより、令和7年4月より除外率が一律10ポイント引き下げられる見込みとなっています。
<行政指導、納付金等について>
障害者雇用の義務がある事業主は、毎年6月1日現在の状況を「障害者雇用状況報告書」の提出により報告しなければなりません。
そして、障害者雇用義務があるにも関わらず必要雇用人数に達しない場合には、行政からの雇入れ計画(2年計画)の作成命令や指導等の障害者雇用率達成のための措置があります。
改善が遅れている企業の場合、企業名公表の可能性もあります。
また、常用労働者100人超の雇用率未達成企業は、納付金(不足1人当たり月額50,000円)が徴収され、逆に雇用率達成企業には調整金や報奨金等が支給されるという制度もあります。
納付金は、前年4月1日から当年3月31日の間で、常用労働者数が100人を超えた月が5か月以上あった場合に納付義務が発生します。
また、納付金を納めても障害者の雇用義務が免除されるわけではありませんので、引き続き雇用率達成の努力をしていく必要があります。
労働者を雇用する事業主は、民間企業であると官公庁であるとを問わず、身体障害者等に雇用の場を提供する社会連帯責任を有するということが障害者の雇用の促進等に関する法律によって定められています。
このような法律に基づき障害者雇用率が設けられ、上記で説明したような制度等により、障害者の雇用機会の安定と促進が図られています。
障害者雇用の義務がある事業主は、その義務を果たすべき対応が求められますし、今後の雇用率の改定により義務が生じてくる事業主においては、雇入れの体制や環境作り等、早めに準備を進めていくことが重要だと思います。
詳細は下記をご参照ください。