みなと横浜中央社会保険労務士法人

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お役立ち情報

健康診断を実施していますか?

2023年4月6日

お役立ち情報

労働安全衛生法では、「事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を実施しなければならない。」と定められています。

健康診断の実施は従業員の人数や会社の規模により決まるものではなく、常時使用する労働者を1人でも雇用した場合は実施の義務が生じます。

また、労働者は事業者が行う健康診断を受けなければなりません。

 

受診の対象者は「常時使用する労働者」

 

正社員だけでなく、下記の①及び②のいずれの要件も満たす場合は契約社員やパート・アルバイトも対象となります。

①期間の定めのない契約により使用される者又は1年以上使用されることが予定される者、及び更新により1年以上使用されている者。(特定業務従事者においては6か月以上使用されることが予定され、又は6か月以上使用されている者)

②その者の1週間の労働時間数が当該事業場においての同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること。(②に該当しない場合でも①に該当し、通常の労働者の1週間の所定労働時間の概ね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされています。)

 

一般健康診断

 

健康診断の結果(健康診断個人票)を5年間保存する必要があります。

一般健康診断は事業主の義務とされているため、健康診断(法定項目)にかかる費用は事業主の負担となります。

健康診断にかかる時間の賃金については支払いの義務が課されているものではなく労使が協議して決定するものになりますが、円滑な実施のためには支払うことが望ましいとされています。

①雇入時の健康診断

常時使用する労働者を雇入れる直前又は直後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)検査項目の省略ができないため、入社前3か月以内に前職等で受診した診断結果の提出をもって雇入時健康診断に代える場合は、検査項目に漏れがないか確認し、不足部分があれば追加で受診する必要があります。

②定期健康診断

1年以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)

年齢により検査項目が異なり、また医師が必要ないと認める場合は省略することができます。

あくまで医師が自覚症状や既往歴等を総合的に判断するものであり、事業主の判断で省略できるものではありません。

①の雇入時健康診断の受診から1年以内であれば定期健康診断は省略できます。

ただし、次回の定期健康診断は雇入時の健康診断日から1年以内に実施する必要があります。

③特定業務従事者の健康診断

坑内おける業務、深夜業を含む業務等、労働安全衛生規則第13条に定められている有害業務に従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)

④海外派遣労働者への健康診断

6か月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)

⑤給食従業員の検便

事業に付属する食堂又は炊事場における給食業務に従事する労働者に対し、雇入時又は当該業務に配置替えの際に検便検査を実施します。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)

 

健康診断実施後の措置

 

①健康診断結果の所見内容の確認と、労働者に対する健康診断結果の通知

②要精密検査、要治療等の労働者に対しての受診勧奨や保険指導の実施

③医師の意見聴取

有所見者の就業上の措置について医師の意見を聴かなければなりません。

医師の意見を勘案し必要がある場合は、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じる必要があります。

産業医がいる会社は産業医に依頼し、産業医の選任義務がない会社は「地域産業保健センター」に依頼することができます。

 

特殊健康診断

 

「一般健康診断」の他にも一定の有害な業務に従事する労働者に対して実施が義務付けられている「特殊健康診断」があります。

該当する事業主は決められた期間ごとに実施し、労働者数に関係なく所轄労働基準監督署に報告書を遅滞なく提出しなければなりません。

また、この特殊健康診断は業務の遂行上当然に実施しなければならない健康診断であるため、健康診断にかかる費用はもちろん、健康診断に要する時間も労働時間として賃金を支払う必要があります。

 

罰則

 

健康診断の実施義務を怠った場合は50万以下の罰金に処される可能性があります。

 

法律で定められた健康診断を実施することはもちろん、健康診断実施後の措置まで確実に行うことが事業主の義務となります。

会社には従業員が安全、健康に労働できるように配慮する「安全配慮義務」が課されています。定められた健康診断を行わない、又は健康診断後の措置を確実に実施しないことにより、万が一死亡等の病状の悪化や重大な事故等があれば、安全配慮義務違反となり、損害賠償責任が発生することもあります。

また、健康診断の実施や管理、事後措置にはその関係者に対して守秘義務が課されています。

プライバシーの保護に十分注意を払い対応することも大変重要です。

従業員が健康で安全に働くことが、会社の健全な経営につながります。

4月は入社が多い時期でもあり、また新しい年度の始まりでもあります。この機会に健康診断について正しく理解し、適切な実施や対応につなげていただきたいと思います。

 

詳細は厚生労働省のホームページをご参照ください。

健康診断を実施しましょう(厚生労働省)

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