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年5日の年次有給休暇の取得義務の対策
2021年12月2日
働き方改革関連法の一つとして「年5日の年次有給休暇の取得義務」がありますが、この対策として「年次有給休暇の計画的付与制度」が有効的です。
<年次有給休暇の計画的付与制度とは>
年次有給休暇の5日を超える部分について、あらかじめ付与日を決めて取得させる制度です。
<年次有給休暇の計画的付与制度を導入するには>
年次有給休暇の日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として残しておく必要があることから、計画的付与の対象となるのは年次有給休暇のうち5日を超えた部分となります。前年度取得されずに次年度に繰り越された日数がある場合には、繰り越された年次有給休暇を含めて5日を超える部分を計画付与の対象とすることができます。
1.就業規則に規定する
年次有給休暇の計画的付与を導入するには、就業規則にその旨を定めておく必要があります。
2.労使協定の締結
年次有給休暇の計画的付与を行うには、労使間で書面による協定を締結する必要があります。
<締結内容>
①計画的付与の対象者
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的方法
・企業もしくは事業所全体の休業による一斉付与
・班・グループ別の交代制付与
・年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
④対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
一斉付与方式の場合、5日を超える年次有給休暇を持たない労働者に対して、計画的付与をする場合には、「特別休暇を与える」「休業手当を支払う」などの措置が必要です。
⑤計画的付与日の変更
あらかじめ計画的付与日を変更することが予想される場合には、計画的付与日を変更する場合の手続きについて定める必要があります。
詳細については厚生労働省のホームページをご覧ください。
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賞与支払届の提出を忘れずに!
2021年12月2日
社会保険に加入している場合、被保険者や70歳以上被用者へ賞与を支給した時は、支給日から5日以内に、各都道府県にある事務センター(もしくは所在地を管轄する年金事務所)に「被保険者賞与支払届」の提出が必要です。
この届出を基に、納付する保険料額や、被保険者が将来受け取る年金額等の計算の基礎となる「標準賞与額」を決定するので、忘れずに提出して下さい。
なお、以前はこの賞与支払届に「被保険者賞与支払届総括表」の添付が必要でしたが、令和3年4月から廃止されました。令和3年4月1日以降「被保険者賞与支払届総括表」の提出は不要です。
また、日本年金機構に登録している賞与支払予定月に賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」の提出が必要です。
<標準賞与額の対象となるもの>
- 賞与の対象となるもの
○金銭によるもの
・賞与・ボーナス・期末手当・決算手当・夏期手当・冬期手当・繁忙手当・年末一時金・期末一時金など賞与性のもので年に3回以下支給されるもの
・その他定期的に支給されるものでなくとも一時的に支給されるもの
○現物によるもの
・賞与等として自社製品など金銭以外で支給されるもの(金銭に換算)
- 賞与の対象とならないもの
○年4回以上支給される賞与(この場合は「賞与に係る報酬(標準賞与額の対象)」になります)
○結婚祝金や大入袋など、労働の対償とならないもの
提出が確認できない場合、日本年金機構より「被保険者賞与支払届の提出について」というハガキが届きますのでご注意下さい。
詳細は、日本年金機構のホームページでご確認下さい。
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年5日の年次有給休暇の確実な取得
2021年11月4日
労働基準法が改正され、2019年4月から、全ての使用者において、年10日以上の年次有給休暇を付与される労働者(管理監督者・パートタイマー・アルバイトを含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
<対象者>
年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象です。
<年5日の時季指定義務>
使用者は、労働者ごとに、「年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日」について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
<時季指定の方法>
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
<時季指定を要しない場合>
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
<年次有給休暇管理簿>
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
<就業規則への規定>
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
<罰則>
「年5日の時季指定義務」・「就業規則への規定」に違反した場合には罰則が科されることがあります。
・年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 → 30万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合 →30万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合→ 6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
詳細については厚生労働省からのホームページからリーフレットをダウンロード下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
※「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」をダウンロード下さい。
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外国人労働者を雇用する場合の注意点
2021年11月4日
1.在留資格を確認する。
在留カード・旅券(パスポート)・就労資格証明書等を原本で下記の事項の確認が必要です。
〇期間
在留期間の確認が必要、在留期間を超えて不法に残留している不法就労者を雇い入れた場合は、不法就労助長罪(3年以下の懲役・300万円以下の罰金)に問われます。
〇在留資格・種類
・在留資格が「永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者」の場合は在留活動(職種)に制限はありませんが、「技術」等の場合は、在留資格に基づく就労活動のみ可能となり制限があります。
・在留資格が「留学」で「資格外活動」の許可がある場合は週28時間(残業時間込み)までの就労が認められています。ただし、週1日は休日をとらせることが必要です。
※アルバイトを掛け持ちしているなど複数個所で働いている場合は通算した労働時間の上限が28時間となります。
2.雇用保険加入の手続き
・雇用保険の対象となる場合
日本人と同様に1週間の所定労働時間が週20時間以上の場合は雇用保険の加入の手続きが必要です。
「雇用保険被保険者資格取得届」に在留資格・在留期間・国籍等の届出が必要です。
・雇用保険の対象とならない場合は、適用事業所の届出の有無にかかわらず、管轄のハローワークへ「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。
3.社会保険加入
週30時間以上の常用雇用については、日本人と同様に加入させる必要があります。
4.労働条件
日本で働く外国人労働者に対しても労働基準法等の労働法規は日本人と同様に適用されます。
採用する際には労働条件通知書を作成し、雇用条件について内容を理解させる必要があります。
賃金は最低賃金を下回らないことなどの注意が必要です。
5.不法就労
在留期間を超えて滞在し、働いている状態を「不法就労」といいます。
「不法就労」と知りながら雇い続けた場合、「3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金」の刑事罰が科される恐れがあります。
6.技能実習制度
国際協力のための制度:開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れOJTを通じて技能を移転する制度、「企業単独型」と「団体管理型」があります。
※外国人の雇用については厚生労働省のホームページで詳しく説明しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html
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中小企業主の特別加入
2021年10月1日
労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。
事業主・会社の役員・家族従業員等は通常、労災保険の対象とはなりません。
労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人には任意加入を認めています。これが特別加入制度です。<特別加入者の加入要件>
①常時300人(金融業・保険業・不動産業・小売業の場合は50人、卸売業・サービス業は100人)以下の労働者を使用する事業主であること。
②その事業について、保険関係が成立していること。
③労働保険事務組合に労働保険事務を委託すること。<補償の対象となる範囲>
〇業務災害
原則としては所定労働時間内に、自社の労働者と同じ業務又は作業内容の被災が対象となります。
時間外労働又は休日労働は、労働者とともに労働を行っていることが条件です。
〇通勤災害
一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。<労災保険の給付>
〇治療費 :病院の治療費を原則として全額給付
〇休業給付:給付基礎日額80%を休業4日目以降支給
〇障害給付:障害年金(1~7級)——–日額の313日分~131日分
障害一時金(8~14級)—日額の503日分~56日分
特別支給金(1~14級)—342万~8万円(一時金)
〇遺族給付:遺族年金——-日額の245日分~153日分
特別支給金—-300万円(一時金)
〇葬祭料 :どちらか高い方を支給
・日額60日分 ・日額30日分+315,000円保険料
特別加入保険料(年間)=給付基礎日額(3,500円~25,000円)×365日×労災保険料率
上記の他に労働保険事務組合への入会金・年会費等の費用がかかります。詳細については厚生労働省のホームページで詳しく説明しております。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-5.html -
無期転換ルールをご存知ですか?
2021年10月1日
無期転換ルールとは、平成24年8月に成立した「改正労働契約法」(平成25年4月1日施行)により、対応が必要になった雇用に関する新たなルールのことです。
<無期転換ルールとは>
平成25年4月1日以降に締結した有期労働契約が更新され通算5年を超えたときは、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。有期契約労働者とは、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず雇用期間が定められた労働者のことです。<無期転換のポイント>
①平成25年4月1日以降の契約
②更新が1回以上、
③同一事業主との通算契約期間が5年を超えること
④通算5年以上の契約更新後、契約終了期間までに無期転換の申し込みをしている。
①~④全ての条件を満たした場合、無期転換となります。
この制度は有期契約労働者が会社に対して無期転換の「申し込み」をした場合に成立し、
契約期間満了後に無期転換となります。
<有期契約期間5年のカウント>
○無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合
無契約期間が6カ月以上あるときは、その期間より前の有期労働契約は通算契約期間に
含まれません(クーリングされます。)。
一方、無契約期間が6カ月未満のときは、その期間より前の有期労働契約も通算契約期
間に含まれます(クーリングされません)。
○無契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合
無契約期間の前の通算契約期間に応じて、無契約期間より前の有期労働契約は通算契約
期間に含まれません(クーリングされます)。
その場合、無契約期間の次の有期労働契約から、通算契約期間のカウントが再度スタート
します。無期転換ルールについての詳細は厚生労働省のHPからご覧になれます。
http://muki.mhlw.go.jp/ -
健康診断を実施していますか?
2021年10月1日
労働安全衛生法では「事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。」と定められています。健康診断の実施は従業員の人数や会社の規模により決まるものでなく、人を雇えば健康診断を受けさせる義務が発生します。反対に従業員は、会社が行う健康診断を受けなければならない義務があります。
●受診の対象者は「常時使用する労働者」
正社員:期間の定めのない契約により働いている者
契約社員等:更新により1年以上働くことが予定されている者及び更新により1年以上働いている者
パート・アルバイト:その会社で同じ業務に従事している社員の1週間の所定労働時間の4分の3以上働いていること。●健康診断の種類とその時期および回数
健康診断の種類 対象となる労働者 実施期間 一般健康診断 雇入時の健康診断 常時使用する労働者 雇入れの際 定期健康診断 常時使用する労働者 1年毎に1回 特定業務従事者の健康診断 特定業務(※1)に常時する労働者 特定業務への配置替えの際、
6カ月以内ごとに1回海外派遣労働者の健康診断 海外に6カ月以上派遣する労働者 海外に6カ月以上派遣する際、
帰国後国内業務に就かせる際給食従事者の検便 事業に付随する食堂または炊事場における
給食の業務に従事する労働者雇入れの際、配置替えの際 ※1:坑内における業務、深夜業を含む業務等
一般的な会社での健康診断は 雇入時の健康診断 と 定期健康診断 が必須となります。
健康診断の費用は会社の負担となります。
定期健康診断は雇入時の健康診断と健康診断項目は同じですが、年齢により項目が異なります。また医師が必要でないと認めるときは省略することができますが、これに対して雇入時の健康診断項目は省略ができません。雇入れ時の健康診断の結果については、1年間は他の健康診断の結果に代えることができるので、1年以内であれば雇入れ時の健康診断を行い、定期健康診断を省略することが可能です。●健康診断実施後
健康診断の結果に基づき健康診断個人票を作成して、5年間保存しなければなりません。また、健康診断の結果に異常の所見があると診断された場合には、健康の措置について、医師の意見を聴かなければなりません。●罰則
事業主は常時使用する労働者に必要な健康診断を受診させなかった場合には、義務を怠ったことに対して50万円以下の罰金が課される場合があります。健康診断の詳細については厚生労働省からのホームページで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf