令和6年度 在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されました
2024年4月2日
令和6年4月より、
在職老齢年金制度の支給停止調整額が、
48万円から50万円に変更されました。
■在職老齢年金制度とは…
働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額を超える場合には、老齢厚生年金額について一部支給停止又は全額支給停止等の支給調整が行われます。
これを在職老齢年金制度といいます。
■支給停止調整額とは…
給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)がこの金額までなら支給停止なく全額支給されるという基準額のことを「支給停止調整額」といいます。
以前は60歳以上65歳未満と65歳以降では、支給停止調整額が異なっていましたが、令和4年4月の年金制度改正により、60歳以上65歳未満も65歳以上と同じ支給停止調整額に改正されていました。
この支給停止調整額は毎年4月に見直しがあり、令和6年度は、前年の48万円から50万円に変更されました。
■在職老齢年金制度による支給停止計算方法
給与等(賞与含む)の1か月あたりの額と老齢厚生年金の1か月あたりの額の合計が50万円以下であれば年金は支給停止なく全額支給され、50万円を超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。
尚、老齢基礎年金は給与等に関係なく全額受給できます。
支給停止月額=(総報酬月額相当額…①+基本月額…②-支給停止調整額(令和6年度は50万円)÷2 <例1> ①総報酬月額相当額・・・50万円/月 ②基本月額・・・・・・・14万円/月 支給停止月額=(50万円+14万円-50万円)÷2=7万円 7万円の老齢厚生年金が支給停止されます。 <例2> ①総報酬月額相当額・・・30万円/月 ②基本月額・・・・・・・14万円/月 支給停止月額=30万円+14万円は44万と50万以下のため、支給停止はありません。
|
①総報酬月額相当額とは…
調整の対象となる月におけるその者の「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額」を合算して得た額のことです。
※70歳以上の場合は、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額。
②基本月額とは…
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額(加給年金を除く)を12月で除して得た額のことです。(老齢基礎年金は支給調整の対象外です。)
■在職定時改定
令和4年4月の年金制度改正により、毎年9月1日に厚生年金に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額を10月分(12月受取分)から改定する仕組みがとられています。
これにより原則として年金額が年に1度増額改定されるため、報酬等に増額がない場合でも在職老齢年金制度による支給停止額には影響が出る可能性があります。
老齢年金を受給していても、70歳までは加入要件を満たす場合は厚生年金に加入し保険料を納めなければなりませんが、その分年金は増えていくことになります。
また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても厚生年金の加入要件を満たすような働き方を継続している限りは、年齢の上限なく在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給調整は行われることになります。
在職老齢年金支給停止調整額は、毎年4月に改定されますが、ここ数年の推移は、令和4年度が47万、令和5年度が48万、そして令和6年度が50万となっています。
働いて給与等を得ている方が老齢厚生年金を受給できるようになった時や給与等を得ながら老齢厚生年金を受給している方が給与等を変更する場合等には、少なからず年金額への影響があるため、在職老齢年金制度をよく理解するとともに、毎年この時期は、支給停止調整額についても改定の有無をチェックするようにしましょう。
詳細は下記をご参照ください。