みなと横浜中央社会保険労務士法人

お問い合わせ : AM 9:00 〜 PM 5:00 [月〜金]

045-251-9980

お役立ち情報

  • 2024年4月1日適用 トラック運転者の時間外労働の上限規制適用と改善基準告示の改正ポイントについて

    2023年8月2日

    お役立ち情報

    時間外労働の上限規制については、2019年4月から(中小企業は2020年4月)導入されていますが、建設事業、自動車運転の業務、医師等は上限規制の適用が5年間猶予されていました。

    この5年の猶予期間が終了し、2024年4月1日以降、いよいよ猶予されていたこれらの事業・業務にも上限規制が導入されます。

    今回は2024年問題等と、ニュースやネットでも多く取り上げられている自動車運転の業務(トラック運転者)について、主な改正点等をみていきましょう。

     

    ■時間外労働の上限規制の適用

     

    (2024年4月1日以降)

    特別条項付きの36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間になります。

    ※時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均が80時間以内とする規制は適用されません。

    ※時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

    ※2024年4月1日以降の期間のみを定めた36協定に対しては上限規制が適用されますが、2024年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、その間上限規制は適用となりません。1年経過後に新たに定める協定から上限規制が適用になります。

     

    ■改善基準告示の改正のポイント

     

    1.1年、1か月の拘束時間

    1年の拘束時間は3,516時間以内→「3,300時間以内」、かつ、1か月の拘束時間は293時間以内「284時間以内」に改正されます。

    (例外)
    労使協定により1年のうち6か月までは、1年の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができます。
    ただし、下記①②を満たす必要があります。
    ①1か月の拘束時間が284時間を超える月は連続3か月まで。
    ②1か月の時間外労働及び休日労働の合計時間数が100時間未満となるよう努める。
    ※2024年3月31日以前に締結した労使協定であり、協定有効期間の終期が2024年4月1日以降であるときは、その終期以降に新たに締結する労使協定から新告示に対応させることになります。(期間の途中である場合2024年4月1日に新告示に沿った協定を締結しなおす必要はありません。)

     

    2.1日の拘束時間

    1日(始業時刻から起算して24時間をいう)の拘束時間は13時間以内とし、これを延長する場合であっても、上限は16時間→「15時間」に改正されます。

    (例外)
    宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は週2回を限度に1日の拘束時間を16時間まで延長できます。
    ※1週間における運行が全て長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合。

     

    3.1日の休息期間

    1日の休息期間は、勤務終了後、継続8時間以上必要→継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません」に改正されます。

    (例外)
    宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回を限度に継続8時間以上とすることができます。
    ただし、休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、一の運行終了後に継続12時間以上の休息を与えなければなりません。

     

    4.連続運転時間

    連続運転時間は4時間以内です。運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の運転の中断が必要です。

    これまでは、運転の中断を分割する場合は1回10分以上となっていたところが、運転の中断は概ね連続10分以上としたうえで分割できるとされ、10分未満でも認められるようになりました。

    ただし1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。

    また、1回の中断が5分等のように、10分と乖離している時間の場合は概ね10分以上とは認められません。

    またこれまでは運転の中断は「荷積み、荷卸し、荷待ち等」でも可でしたが、改正後は運転の中断は原則として休憩を与えなければなりません。

    すぐにそのような対応ができない場合も、いきなり改善告示違反とはなりませんが、休憩が確保できるような運行計画等を作成することが要請されます。

    (例外)
    サービスエリア又はパーキングエリア等が満車である等により駐車や停車ができず連続運転時間が4時間を超える場合には4時間30分まで延長することができます。

     

    5.予期し得ない事象への対応時間の取扱い

    災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から、予期し得ない事象への対応時間を除くことができるようになります。

    ただし1か月の拘束時間等の他の規定の計算については除くことができません。

    1か月の最終日に予期し得ない事象が発生したことにより1か月の拘束時間の上限を超えることのないよう余裕をもった運行計画を作成することが望ましいです。

    予期し得ない事象には予測することが可能な交通渋滞等は該当しません。

    また、客観的な記録により確認できる時間であることも要件となります。

     

    6.分割休息の特例

    業務の必要上、業務終了後継続した9時間以上(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は継続8時間以上)の休息期間を与えることが困難な場合は、当分の間一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1を限度として、休息時間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。

    分割された休息時間は1回あたり継続3時間以上とし、2分割または3分割とします。

    2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上となるように与えなければなりません。

    休息期間を3分割する日は連続しないように努める必要があります。

    4分割以上は認められません。

     

    7.2人乗務の特例

    車両が一定の基準(①長さ198㎝以上かつ幅80㎝以上の連続した平面。②クッション材料等により走行中の路面等からの衝撃を緩和されるもの)を満たし、かつ、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を与える場合は、拘束時間を24時間まで延長することができます。

    この場合において8時間以上の仮眠時間を与える場合は拘束時間を28時間まで延長することができます。

     

     

    上限規制の適用に伴い、36協定の書式も変更になります。

    2024年4月1日以降にあらたに締結する協定については、新様式(一般条項9号の3の4、特別条項9号の3の5)を使用するように注意しましょう。

     

    その他、改善基準告示についての詳細は下記URLをご確認ください。

    トラック運転者の改善基準告示 | 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト

     

     

    ★アルコール検知器を使用してのアルコールチェックについて

    2022年10月1日からアルコール検知器を使用してのアルコールチェックが義務化とされておりましたが、アルコール検知器の供給等の問題から当分の間延期とされていました。

    義務化開始予定日はしばらくの間未定でしたが、警視庁より、アルコール検知器を使用してのアルコールチェックの義務化を2024年12月1日より施行するとの方針が明らかにされました。

    6月9日から7月8日までパブリックコメントを実施し、その後正式に決定されるとみられています。

    警視庁からの今後の発表に注目するとともに、アルコール検知器の準備等もすすめていかれると良いでしょう。

    尚、アルコールチェックについては2022年5月の記事でも取り上げています。

    アルコール検知器試用義務化規定の適用について

  • 社会保険 被保険者の再確認

    2023年8月2日

    お役立ち情報

    社会保険は、正社員や法人の代表者、役員、パート・アルバイト等でも1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の方は被保険者となります。

     

    日々雇い入れられる人、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人、所在地が一定しない事業所に使用される人、季節的業務(4カ月以内)に使用される人、臨時的事業の事業所(6カ月以内)に使用される人は被保険者とされません。

     

     

    令和4年10月の制度改正により、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人について、契約の更新等により実際には最初の雇用契約の期間を超えて継続して使用されることが見込まれる場合(※1)は、最初の雇用契約の期間から被保険者資格を取得する必要があります。

     

    (※1)次の(ア)または(イ)に該当する場合

    (ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」または「更新される場合がある旨」が明示されていること。

    (イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている方が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること。

     

    また、2ヶ月以内の期間を定めて使用され、2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれなかった人が、契約開始後に状況が変わり契約が更新されることが見込まれることになった場合は、契約の更新が見込まれるに至った日に遡って被保険者資格を取得する必要があります。

     

     

    入社日等事業所に使用されるようになった日、個人事業所から法人になった日、日々雇入れられる人から常用になり適用除外に該当しなくなった日等、事実上使用関係が発生した日で被保険者となり、5日以内に「被保険者資格取得届」の提出が必要です。

    「被保険者資格取得届」の提出が必要な人について、届出が提出されていないことや資格取得日が誤っていることが後で判明した場合、遡って「被保険者資格取得届」を提出するとともに、保険料の納付が必要となります。

     

    令和4年10月の制度改正後の資格取得届の提出状況を、今一度ご確認ください。

     

     

    詳細は、日本年金機構のホームページでご確認ください。

    適用事業所と被保険者/日本年金機構

    令和4年10月施行分に伴う事務の取扱いに関するQ&A集/日本年金機構

  • 労働基準法施行規則改正 ~2024年4月から労働条件の明示のルールが変更されます~

    2023年7月4日

    お役立ち情報

    労働基準法第15条

    使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

     

    上記のとおり労働条件の明示は労働基準法にて定められており、明示すべき内容等については労働基準法施行規則第5条に定められています。

    今回の労働基準法施行規則改正により、労働契約締結時及び有期労働契約更新時に明示すべき労働条件が追加されることになります。

     

    改正内容(追加される明示事項や手続き要件)

     

    1.全ての労働者に対する明示事項

     

    ① 就業場所、業務の変更の範囲の明示(労働基準法施行規則第5条の改正)

    雇入れ直後の就業場所と業務の範囲に加えて、その後の変更の範囲まで記載することが義務付けられます。

    変更の範囲とは、将来の配置転換等によって変更することが想定できる就業場所や業務の範囲を指します。

     

    2.有期契約労働者に対する明示事項

     

    ① 有期労働契約の更新上限の明示(労働基準法施行規則第5条の改正)

    有期労働契約の契約締結時及び契約更新時ごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限)の有無とその内容の明示が義務付けられます。

     

    ■手続き要件の追加(雇止め告示の改正)

    併せて、①の更新上限について最初の契約時から明示されておらず、途中の更新時等から上限を設ける場合や、最初に設けていた更新上限を短く変更する場合等は、有期契約労働者にあらかじめその理由等を説明することが必要になります。

     

     

    ② 無期転換申込機会の明示(労働基準法施行規則第5条の改正)

    無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要です。(※無期転換制度とは、同一使用者との有期雇用契約が通算5年を超える場合に、有期契約労働者からの申出により有期契約から期間の定めのない無期契約に転換することができる制度)

     

     

    ③ 無期転換後の労働条件の明示(労働基準法施行規則第5条の改正)

    無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。(無期転換権が発生する最初の契約時に限らず、その後も無期転換権が発生する契約を更新する場合は明示する必要があります。)

     

    ■手続き要件の追加(雇止め告示の改正)

    併せて、無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、他の通常の労働者(正社員や無期雇用フルタイム労働者等)とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無や範囲等)について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。

     

     

    2024年4月1日以降に締結(契約更新を含む)する労働契約から上記の改正を反映させる必要があります。

    今後の労務トラブルを防ぐためにも、自社ではどのように定めることが良いのか複合的に検討したほうがよいのではないかと思います。

    また、改正前までは、無期転換のルールを会社から対象労働者に積極的に周知することまでは義務とされていないため制度を知らない有期契約労働者も多くいるのではないかと想像できます。

    条件を満たした有期契約労働者から無期転換の申出があった場合は、会社はこれを拒むことができません。

    今回の義務化により無期転換希望者が増えてくることも予想されるため、無期転換制度についての理解も整理しておく必要があるでしょう。

    同様に2024年4月1日施行、職業安定法施行規則も改正されています。ハローワークへの求人申し込みや自社ホームページでの募集、求人広告の掲載を行う場合も今回の労働基準法施行規則改正の労働条件明示と同様の明示を行う必要がありますので注意が必要です。

     

     

    詳細は、厚生労働省のホームページをご参照ください。

    2024年4月労働条件明示改正リーフレット

    2024年(令和6年)4月1日施行 改正職業安定法施行規則

  • 社会保険 算定基礎届の提出

    2023年7月4日

    お役立ち情報

    社会保険算定基礎届(定時決定)の提出の時期になりました。

    期間内に、日本年金機構へ提出してください。

     

    提出期間 : 令和5年7月1日(土)から7月10日(月)まで

     

    <定時決定とは>

     

    ■ 健康保険及び厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、7月1日現在で使用している全ての被保険者及び70歳以上被用者に4・5・6月に支払った賃金を、「算定基礎届」によって届出し、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。

    これを定時決定といいます。

     

    ■「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納付する保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。

     

    ■ 届出書類や案内文書が、事業主宛に6月上旬頃から日本年金機構より発送されます。

    電子申請 または 同封されている返信用封筒にて事務センターへ郵送して下さい。

     

    <留意点>

     

    ■ 算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日現在の全ての被保険者及び70歳以上被用者です。

    ただし、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する方は算定基礎届の提出が不要です。

    (1)6月1日以降に資格取得した方

    (2)6月30日以前に退職した方

    (3)7月、8月、9月随時改定の月額変更届を提出する方

     

    ■ 報酬とは「労働の対償」として受けるものが報酬となります。

    基本給だけでなく各種手当や通勤定期券(非課税分含む)も含まれますが、出張旅費、解雇予告手当、退職手当、臨時に受けるもの、3ヵ月を超える期間ごとに受けるものは除きます。

     

    詳細については日本年金機構のホームページでご確認ください。

    定時決定/日本年金機構

  • 月60時間超の割増賃金率の変更に伴う社会保険の「随時改定」について

    2023年6月2日

    お役立ち情報

    ~割増賃金率が変わると社会保険の随時改定(月額変更)の対象になる?!~

     

     2023年4月1日以降の労働分より、中小企業においても月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が25%から50%に引き上げられました。

    それに伴い、就業規則の変更、労働条件通知書の変更、給与計算の変更等様々な対応が求められています。

    また、社会保険への影響としては随時改定(月額変更)があげられます。

     

    ■ 社会保険の随時改定(月額変更)とは?

     

    被保険者の報酬が固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。

     

    1.随時改定の3つの要件

    ① 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。

    ② 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。

    ③ 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

     

    2.固定的賃金とは

    支給額や支給率が決まっているものをいい、主に以下のようなケースがあります。

    ① 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)

    ② 給与体系の変更(日給から月給への変更等)

    ③ 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更

    ④ 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更

    ⑤ 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

     

    ■ 割増率の変更に伴う随時改定(月額変更)

     

    単に残業時間の変動による賃金の変動だけの場合は随時改定の対象になりませんが、今回のように割増率の変更の場合は随時改定の対象になります。

    日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集、随時改定の問2」においても、超過勤務手当の支給単価(支給率)が変更された場合は随時改定の対象になることが記されています。

     

    ■ 2023年4月改正、月60時間超の割増賃金率の引き上げに伴う随時改定(月額変更)の対応について

     

    ①起算月と対象者

    引き上げた割増率によって計算される割増賃金の支給開始月が起算月となり、起算月以降継続した3か月のうちいずれかの月において、月60時間超の割増賃金が支給されている場合は随時改定の対象になります。

    逆にいずれの月も支給されていない場合は随時改定の対象になりません。

    起算月は、実際の支給の有無に関係なく、改正後の割増率が反映される最初の賃金支給月ということになります。

     

    ②月額変更のタイミング

    ・4月労働の割増賃金を4月に支給する場合(4月が起算月)

    4月、5月、6月の3か月のうちいずれかの月に月60時間超の割増賃金が支給された場合は、7月月額変更

    ・4月労働の割増賃金を5月に支給する場合(5月が起算月)

    5月、6月、7月の3か月のうちいずれかの月に月60時間超の割増賃金が支給された場合は、8月月額変更

    いずれの場合も随時改定(月額変更)の3つの要件に該当した場合のみ月額変更届を提出することになります。

     

    残業代は非固定的賃金のため随時改定は関係ないと思われがちですが、割増率の変動は随時改定の契機になるため注意が必要です。

    2023年4月改正により割増賃金率を引き上げ、かつ実際に月60時間を超える残業を行った場合は、社会保険の随時改定(月額変更)についても該当者がいないかどうか確認しましょう。

     

    詳細は下記、日本年金機構のHPをご参照ください。

    標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集

  • 労働保険料の申告・納付

    2023年6月2日

    お役立ち情報

    今年も、労働保険の年度更新の時期になりました。

    今年の申告・納付期間は6月1日(木)~7月10日(月)です。

    手続きが遅れると、政府が労働保険料・一般拠出金の額を決定し、さらに追徴金を課すことがありますのでご注意下さい。

     

    ■ 年度更新とは

    労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)は、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付と、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続きが必要です。

    この手続きを「年度更新」と言います。

     

    ■ 保険料

    労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度といいます。)を単位とし、その間に支払われるすべての労働者の賃金総額に、業種ごとに定められた保険料を乗じて算定します。

    賃金総額は、基本給だけでなく、通勤手当(非課税分含む)、各種手当、賞与等、労働の対償として支払うすべてのもので、税金や社会保険料等を控除する前の支払総額をいいます。

    慶弔見舞金、出張旅費等の実費弁償、工具手当等の労働者が自己負担で用意した用具に対しての手当等は含まれません。

    保険年度中に支払いが確定した賃金は、その保険年度に実際に支払われていなくとも算入してください。

    3月1日~3月31日の給与を4月15日に支払っている場合、この給与は4月ではく3月として算入します。

    元請により実施した工事がある建設業で、賃金総額が算定しがたい場合は、特例の計算方法により賃金総額とし、保険料を算定することができます。

    【 請負金額(消費税除く)×労務比率=賃金総額 】

    また、「一括有期事業総括表」と「一括有期事業報告書」もあわせて提出することになります。

     

    ■ 申告書

    年度更新の申告書は、事業主宛に5月末~6月初に労働局より発送されます。

    申告書を作成し、期間内に①~③の方法で提出してください。

    ①管轄の都道府県労働局・労働基準監督署・金融機関の窓口 ②電子申請 ③管轄の労働局へ郵送

     

    その他、詳細については厚生労働省のホームページでご確認ください。

    労働保険年度更新に係るお知らせ

  • 令和5年度 在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されました

    2023年5月9日

    お役立ち情報

    令和5年4月より、在職老齢年金制度の支給停止調整額が、47万円から48万円に変更されました。

     

    ■在職老齢年金制度とは…

     

    働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額を超える場合には、老齢厚生年金額について一部支給停止又は全額支給停止等の支給調整が行われます。

    これを在職老齢年金制度といいます。

     

    ■支給停止調整額とは…

     

    給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)がこの金額までなら支給停止なく全額支給されるという基準額のことを「支給停止調整額」といいます。以前は60歳以上65歳未満と65歳以降では、支給停止調整額が異なっていましたが、令和4年4月の年金制度改正により、60歳以上65歳未満も65歳以上と同じ支給停止調整額47万円に改正されていました。

    この支給停止調整額は毎年4月に見直しがあり、令和5年度は48万円に変更されました。

     

    ■在職老齢年金制度による支給停止計算方法

     

    給与等(賞与含む)の1か月あたりの額と老齢厚生年金の1か月あたりの額の合計が48万円以下であれば年金は支給停止なく全額支給され、48万円を超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。

     

     

    支給停止額(年額)=(総報酬月額相当額…①基本月額…②48万円)×1/2×12月

    年金支給額(年額)=老齢厚生年金額(年額)-支給停止額(年額)

     

     

    ①総報酬月額相当額とは…

    調整の対象となる月におけるその者の「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額」を合算して得た額のことです。

    ※70歳以上の場合は、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額。

     

    ②基本月額とは…

    老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額(加給年金を除く)を12月で除して得た額のことです。(老齢基礎年金は支給調整の対象外です。)

     

    ■在職定時改定

     

    令和4年4月の年金制度改正により、毎年9月1日に厚生年金に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額を10月分(12月受取分)から改定する仕組みがとられています。

    これにより原則として年金額が年に1度増額改定されるため、報酬等に増額がない場合でも在職老齢年金制度による支給停止額には影響が出る可能性があります。

     

     

    老齢年金を受給していても、70歳までは加入要件を満たす場合は厚生年金に加入し保険料を納めなければなりませんが、その分年金は増えていくことになります。

    また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても厚生年金の加入要件を満たすような働き方を継続している限りは、年齢の上限なく在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給調整は行われることになります。

     

    70歳までの就業機会の確保が努力義務とされている現代において、働きながらもらう年金については多くの企業や個人にとっても関心の高い部分だと思います。

    また、働いて給与等を得ている方が老齢厚生年金を受給できるようになった時や給与等を得ながら老齢厚生年金を受給している方が給与等を変更する場合等には、少なからず年金額への影響があるため、在職老齢年金制度をよく理解するとともに、今回改定された支給停止調整額や年金制度についても毎年動向を注視していきましょう。

     

     

    詳細は下記をご参照ください。

    働きながら年金を受給する方へ|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

    在職老齢年金の支給停止の仕組み(日本年金機構)

    在職老齢年金の計算方法|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

  • 出産育児一時金の引き上げ

    2023年5月9日

    お役立ち情報

    出産育児一時金が、令和5年4月1日出産分から、政府の少子化対策強化の一環として、1児につき42万円から50万円(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合や妊娠週数22週未満で出産された場合の出産育児一時金は48.8万円)に引き上げられました。

     

    ○出産育児一時金とは

     

    出産は、正常な出産の場合は病気・ケガには含まれないため、健康保険が使えず、費用は全額自己負担になってしまいます。

    その代わりに、加入している健康保険から出産育児一時金を支給しています。

    出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産した時に加入している健康保険から支給されます。

    多胎児を出産した場合には、出産した胎児数分だけ支給されますので、双生児の場合は、2人分が支給されることになります。

     

    ○申請方法

     

    ①直接支払制度

    直接支払制度を導入している医療機関等で出産する場合、健康保険から支給される出産育児一時金を医療機関等における出産費用に充てることができるよう、出産育児一時金を健康保険から医療機関等に対して直接支払う制度のことです。

    この制度を利用すると、被保険者が医療機関等へまとめて支払う出産費用の負担の軽減を図ることができます。

     

    ②受取代理制度

    小規模な診療所や助産院等、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる医療機関等は、直接支払制度を導入していない場合があります。

    そのような医療機関等での出産の場合に、本来、被保険者が受け取るべき出産育児一時金を医療機関等が被保険者に代わって受け取る制度のことです。

    この制度を利用すると、被保険者が医療機関等へまとめて支払う費用の負担の軽減を図ることができます。

     

    ③事後申請

    直接支払制度や受取代理制度を利用しない場合、出産後に加入している健康保険へ事後申請を行うことになります。

    この場合、病院の窓口で一時的に費用を全額自己負担することになりますので、まとまった費用を準備する必要があります。

     

    加入している健康保険によっては、独自に付加金を上乗せして支給している場合があります。

    申請方法等を含め、詳細は各自で加入している健康保険へ問い合わせ(またはホームページを確認)してみてください。

     

    出産育児一時金の支給額・支払方法について/厚生労働省

  • 雇用保険料の変更を忘れずに!

    2023年4月6日

    お役立ち情報

    令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率が変更になります。

     

    「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が令和4年3月30日に国会で成立し、令和4年4月から第一段階として事業主負担の保険料率、令和4年10月から第二段階として労働者負担・事業主負担の保険料率が段階的に引き上げられました。

     

    雇用保険料率は毎年見直しが行われ、変更になる場合は通常は労働者負担・事業主負担ともに4月から変更になりますが、昨年は新型コロナウィルス感染症の経済影響を踏まえ、労働者負担は10月からの変更となりました。

     

    令和5年は通常どおり、労働者負担・事業主負担ともに4月から変更になります。

    保険料は、毎月の給与総支給額に、業種ごとに定められた保険料率を乗じて計算します。

     

    賃金締日が4月中にある給与から雇用保険料の変更が必要です。

    (例)20日締の場合3/21~4/20の給与 / 末締めの場合4/1~4/30の給与

     

    変更し忘れないようにご注意ください。

     

    業種ごとの料率等、詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。

    令和5年度雇用保険料率のご案内

  • 健康診断を実施していますか?

    2023年4月6日

    お役立ち情報

    労働安全衛生法では、「事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を実施しなければならない。」と定められています。

    健康診断の実施は従業員の人数や会社の規模により決まるものではなく、常時使用する労働者を1人でも雇用した場合は実施の義務が生じます。

    また、労働者は事業者が行う健康診断を受けなければなりません。

     

    受診の対象者は「常時使用する労働者」

     

    正社員だけでなく、下記の①及び②のいずれの要件も満たす場合は契約社員やパート・アルバイトも対象となります。

    ①期間の定めのない契約により使用される者又は1年以上使用されることが予定される者、及び更新により1年以上使用されている者。(特定業務従事者においては6か月以上使用されることが予定され、又は6か月以上使用されている者)

    ②その者の1週間の労働時間数が当該事業場においての同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること。(②に該当しない場合でも①に該当し、通常の労働者の1週間の所定労働時間の概ね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされています。)

     

    一般健康診断

     

    健康診断の結果(健康診断個人票)を5年間保存する必要があります。

    一般健康診断は事業主の義務とされているため、健康診断(法定項目)にかかる費用は事業主の負担となります。

    健康診断にかかる時間の賃金については支払いの義務が課されているものではなく労使が協議して決定するものになりますが、円滑な実施のためには支払うことが望ましいとされています。

    ①雇入時の健康診断

    常時使用する労働者を雇入れる直前又は直後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)検査項目の省略ができないため、入社前3か月以内に前職等で受診した診断結果の提出をもって雇入時健康診断に代える場合は、検査項目に漏れがないか確認し、不足部分があれば追加で受診する必要があります。

    ②定期健康診断

    1年以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)

    年齢により検査項目が異なり、また医師が必要ないと認める場合は省略することができます。

    あくまで医師が自覚症状や既往歴等を総合的に判断するものであり、事業主の判断で省略できるものではありません。

    ①の雇入時健康診断の受診から1年以内であれば定期健康診断は省略できます。

    ただし、次回の定期健康診断は雇入時の健康診断日から1年以内に実施する必要があります。

    ③特定業務従事者の健康診断

    坑内おける業務、深夜業を含む業務等、労働安全衛生規則第13条に定められている有害業務に従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)

    ④海外派遣労働者への健康診断

    6か月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)

    ⑤給食従業員の検便

    事業に付属する食堂又は炊事場における給食業務に従事する労働者に対し、雇入時又は当該業務に配置替えの際に検便検査を実施します。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)

     

    健康診断実施後の措置

     

    ①健康診断結果の所見内容の確認と、労働者に対する健康診断結果の通知

    ②要精密検査、要治療等の労働者に対しての受診勧奨や保険指導の実施

    ③医師の意見聴取

    有所見者の就業上の措置について医師の意見を聴かなければなりません。

    医師の意見を勘案し必要がある場合は、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じる必要があります。

    産業医がいる会社は産業医に依頼し、産業医の選任義務がない会社は「地域産業保健センター」に依頼することができます。

     

    特殊健康診断

     

    「一般健康診断」の他にも一定の有害な業務に従事する労働者に対して実施が義務付けられている「特殊健康診断」があります。

    該当する事業主は決められた期間ごとに実施し、労働者数に関係なく所轄労働基準監督署に報告書を遅滞なく提出しなければなりません。

    また、この特殊健康診断は業務の遂行上当然に実施しなければならない健康診断であるため、健康診断にかかる費用はもちろん、健康診断に要する時間も労働時間として賃金を支払う必要があります。

     

    罰則

     

    健康診断の実施義務を怠った場合は50万以下の罰金に処される可能性があります。

     

    法律で定められた健康診断を実施することはもちろん、健康診断実施後の措置まで確実に行うことが事業主の義務となります。

    会社には従業員が安全、健康に労働できるように配慮する「安全配慮義務」が課されています。定められた健康診断を行わない、又は健康診断後の措置を確実に実施しないことにより、万が一死亡等の病状の悪化や重大な事故等があれば、安全配慮義務違反となり、損害賠償責任が発生することもあります。

    また、健康診断の実施や管理、事後措置にはその関係者に対して守秘義務が課されています。

    プライバシーの保護に十分注意を払い対応することも大変重要です。

    従業員が健康で安全に働くことが、会社の健全な経営につながります。

    4月は入社が多い時期でもあり、また新しい年度の始まりでもあります。この機会に健康診断について正しく理解し、適切な実施や対応につなげていただきたいと思います。

     

    詳細は厚生労働省のホームページをご参照ください。

    健康診断を実施しましょう(厚生労働省)

検索

過去の記事