みなと横浜中央社会保険労務士法人

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  • 日本年金機構 届書レイアウト変更

    2024年1月9日

    お役立ち情報

    令和6年1月から日本年金機構の一部の届書のレイアウトが変更になりました。

    変更となった届書(健保・厚年)は以下のとおりです。

    しばらくは旧様式でも受理してもらえますが、令和6年1月からは新様式で提出するようにしましょう。

     

    ○定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行うとき

    健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届

    厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届

     

    ○賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき

    健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届

    厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届

     

    ○養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を受けようとするとき・養育期間が終了したとき

    厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届

     

    ○ローマ字で氏名を登録(変更)するとき

    厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届

    国民年金第3号被保険者 ローマ字氏名届

    厚生年金保険被保険者(船員) ローマ字氏名届

     

    ○個人番号(マイナンバー)の届出(登録)が済んでいない場合に提出する届書

    個人番号等登録届

     

    様式や記入例は、日本年金機構の各種ページからダウンロードできます。

    令和6年1月から一部の届書レイアウトを変更しました/日本年金機構

  • 無期転換ルールについて

    2023年12月4日

    お役立ち情報

    改正労働契約法の無期転換ルールは2013年4月1日に施行されていますが、これまでは無期転換の制度を周知することが会社の義務とまではされていませんでした。

    2024年4月1日からの労働基準法施行規則の改正により、無期転換申込権が発生する有期労働契約の更新時には、無期転換申込機会に関する事項と無期転換後の労働条件についての明示をすることが義務付けられます。

    この機会に、無期転換ルールの内容について再確認しておきましょう。

     

    1.無期転換ルールとは

     

    同一の使用者※① との間で、有期労働契約が 通算5年※② を超えたときは、労働者※③申込※④ により、期間の定めのない無期労働契約に転換できるルールのことです。

     

    ※① 同一の使用者とは?

    事業場単位ではなく、法人単位または個人事業主単位です。

    簡単にいうと同じ会社で有期労働契約を締結して働いている期間となりますので、途中で部署の異動や転勤等があっても契約期間は通算されます。

    無期転換申込時点においても通算5年を超えて契約してきた使用者との間で有期労働契約を締結していることも申込権発生の要件となります。

    また、無期転換申込権の発生を逃れる意図をもって、就業実態がそれまでと変わらないにもかかわらず、派遣形態や請負形態を偽装して労働契約の締結主体を形式的に他の使用者に切り替えた場合は同一の使用者の要件を満たしていると解釈されます。

     

    ※② 通算5年とは?

    2013年4月1日以降に締結した有期労働契約からカウントします。2以上の有期労働契約を通算した期間が5年を超えていることが要件となります。(更新1回以上必要)

    但し、契約期間が5年を経過していなくても無期転換申込権が発生するケースもあります。(契約期間が3年の有期労働契約を更新した場合は通算期間が6年となるため、更新時の4年目には既に無期転換申込権が発生します。)

     

    ■契約が一旦途切れた場合は?

    同一の使用者との間で有期労働契約が締結されていない期間(無契約期間)が一定期間以上続いた場合はそれ以前の期間は通算されず、次の契約期間からカウントが再スタートします。

    通算されるか否かは、無契約期間前の通算契約期間と無契約期間の長さによって決まります。

    無契約期間前の通算契約期間 無契約期間 通算されるか否か
    1年以上 6か月以上 通算されない
    10か月超~ 6か月以上 通算されない
    8か月超~10か月以下 5か月以上 通算されない
    6か月超~8か月以下 4か月以上 通算されない
    4か月超~6か月以下 3か月以上 通算されない
    2か月超~4か月以下 2か月以上 通算されない
    2か月以下 1か月以上 通算されない

     

    ※③ 労働者とは?

    労働契約法の適用が除外されている国家公務員、地方公務員、同居の親族のみを使用する場合や労働契約法第18条(無期転換ルール)の適用が除外されている船員を除き、契約社員・パート・アルバイト等の名称を問わず全ての労働者に適用されます。

     

    ※④ 申込とは?

    契約期間が5年を超えたら自動的に無期労働契約に変更されるわけではなく、労働者からの申込により無期労働契約が成立します。

    申込は口頭でも成立しますが、トラブル防止のためにも書面にて行うほうが良いでしょう。(様式例:無期転換申込書・受理通知書の様式例(厚生労働省)

     

     

    2.無期労働契約の申込のタイミングと無期労働契約の開始日

     

    ①契約期間が1年の場合
    申込のタイミング:5回目の更新後の1年間
    無期契約の開始日:申込時の有期労働契約が終了する日の翌日

     

    ②契約期間が3年の場合
    申込のタイミング:1回目の更新後の3年間
    無期契約の開始日:申込時の有期労働契約が終了する日の翌日

     

    上記のタイミングで無期転換の申込をせずに有期労働契約を更新した場合、また新たな有期労働契約の初日から末日までの間、いつでも無期転換の申込をすることができます。

    改正後の労働条件通知書の明示義務においては、無期転換申込権が発生した初回だけでなく、その後更新の都度行う必要があります。

     

     

    3.有期雇用特別措置法

     

    通常は、同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合に無期転換申込権が発生しますが、例外として、事業主が都道府県労働局に申請し、認定を受けた場合、無期転換申込権が発生しない特例措置(下記①、②)が適用されます。

     

    ①高度専門職の特例(第一種計画認定)
    高収入で、かつ高度の専門的知識を有し、その高度の専門的知識等を必要とし、5年を超える一定の期間内に完了する業務に従事する有期契約労働者は、その業務に従事している期間は無期転換申込権が発生しません。(無期転換申込権が発生しない期間の上限は10年)

     

    ②継続雇用の高齢者の特例(第二種計画認定)
    定年に達した後、引き続き雇用される有期契約労働者については、その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は無期転換申込権が発生しません。

     

    高度専門職については、プロジェクトの開始後に認定を受けた場合であっても、プロジェクトの開始前に認定を受けた場合と同様に、特例の効果が発生します。

    継続雇用の高齢者については、定年を既に迎えている者を雇用している事業主が認定を受けた場合、そのような方も特例となります。

    但し、いずれの場合も、認定を受ける前にすでに無期転換権を行使している場合を除きます。

    また、特例の対象となり無期転換申込権が発生しないこととなる場合は、契約締結及び更新時の労働条件通知書において、その旨を明示する必要があります。

    多くの会社が該当するのは上記②の継続雇用の高齢者の特例だと思います。

    まだ認定を受けていない場合は、認定の必要性について一度検討してみると良いでしょう。

    また上記特例とは別に、大学等及び研究開発法人の研究者・教員等には、研究開発能力の強化及び教育研究の活性化等の観点から、無期転換申込権発生までの期間について、原則の5年を10年とする特例も設けられています。

    有期特措法パンフレット・高度専門職・継続雇用の高齢者の特例(厚生労働省)

    大学等及び研究開発法人の研究者・教員等に対する特例(厚生労働省)

     

     

    4.まとめ

     

    無期転換=正社員と誤解されがちですが、無期転換自体は期間の定めのある労働契約から期間の定めのない労働契約に変更することをいいますので転換後の労働条件を必ずしも正社員と同等にすることまでを求められているわけではなく、無期転換後の労働条件は、特別の定めをしない場合は無期転換前の労働条件と同一というのが原則的考え方になります。

    変更することもできますが、労働条件を決定する際は、通常の労働者(正社員や無期雇用フルタイム労働者等)との均等待遇に配慮する必要があります。

    2024年4月1日以降に締結する労働条件通知書においては、無期転換後の労働条件の変更の有無、及び変更がある場合は別途労働条件通知書による労働条件の明示が必要となりますが、同時に、労働条件の決定にあたって考慮した事項についての説明も努力義務とされています。

    特例措置の適用がある場合を除き、有期契約労働者から無期転換の申込があった場合、会社は断ることはできません。

    また、就業規則等に、無期転換の申込は有期契約の終了2か月前までに行うことなどと規定し、従業員の理解・協力を得ることはできますが、法律上無期転換の申込は有期契約の満了日までに行うこととなっているため、有期契約の満了日までの申込であれば、事実上断ることはできないと考えるべきでしょう。

    無期転換申込権についての明示義務は2024年4月1日以降に締結する労働条件通知書からになりますが、現時点において既に5年を超える契約を更新している従業員で、且つ無期転換申込権について説明したことがない等の場合は、今の段階から無期転換申込権について説明し、希望があれば次回の契約更新から無期労働契約に変更できるように準備をする等の配慮も必要だと思います。

    無期転換のルールを理解したうえで、2024年4月施行の労働基準法施行規則改正に備えましょう。

     

    詳細は下記をご参照ください。

    無期転換ルールについて (厚生労働省)

    無期転換ルールのよくある質問 厚生労働省都道府県労働局

  • 年収130万円の壁

    2023年12月4日

    お役立ち情報

    人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者(パート・アルバイト))が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、当面の対応として年収の壁・支援強化パッケージが発表されました。

    社会全体で労働力を確保するとともに、労働者自身も希望どおり働くことのできる環境づくりを後押しするため、今回の対応はあくまでも当面の措置として導入するものであり、今後、さらに制度の見直しに取り組むこととしています。

     

    年収130万円の壁とは

     

    社会保険の被保険者数が常時100人以下の事業所で勤務する短時間労働者(パート・アルバイト)などの場合は、年収 130 万円以上(60歳以上や障害者は180万円以上)になると、国民年金・国民健康保険に加入するか、いずれかの形で、被扶養者(第3号被保険者)でなくなり、社会保険料の負担が発生することになります。

     

    年収130万円の壁への対応

     

    年収130万円以上になると、国民年金・国民健康保険の保険料支払いにより手取り収入が減ってしまうため、人手不足や繁忙期で仕事はあるのに、働く時間を調整している方がいます。

    働く時間を延ばすなどにより一時的に収入が増加して、年収130万円以上(60歳以上や障害者は180万円以上)になってしまっても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みが出来ました。

     

    <一時的な収入増加とは>

    職場の人手不足や繁忙期に対応するために、働く時間を延ばしたことなどによる時間外勤務(残業)手当や、臨時的に支払われる繁忙手当等が一時的な収入増加の対象となります。

    基本給が上がった場合や勤務形態の変更、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合においては、一時的な収入増加とは認められません。

     

    <いつから開始されるのか>

    令和5年10月20日以降の、被扶養者認定及び被扶養者の資格確認において適用します。

     

    <事業主の証明について>

    被扶養者の方について、新たに被扶養者の認定を受ける際、又は健康保険組合等の保険者が被扶養者の資格確認を行う際に、年間収入が確認されます。

    この際に、被扶養者の勤務先の事業主から一時的な収入増加である旨の事業主の証明を取得し、被保険者の方が勤務している会社を通じて保険者に提出することになります。

    このため、保険者の被扶養者の収入確認のタイミングに合わせて、被扶養者の勤務先の事業主から一時的な収入変動である旨の証明を取得してください。

    様式は、厚生労働省のホームページに掲載されています。

     

    <連続2回まで>

    今回の「事業主の証明による被扶養者認定」は、あくまでも「一時的な事情」として行うことから、同一の者について原則として連続2回までを上限とすることとされています。

    被扶養者の資格確認を年1回実施していることを想定し、「連続2回」すなわち、連続する2年間の各年における資格確認において事業主の証明を用いることができることとしています。

    年1回と異なる頻度で被扶養者の資格確認を行っている保険者においては、どの期間について一時的な収入増加に係る事業主の証明を取得する必要があるか、ご加入の保険者に認してください。

     

    もちろん、被扶養者になっている方が勤務先で社会保険加入要件を満たした場合は、扶養から外れて社会保険に加入することになります。

     

    その他詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。

    年収の壁・支援強化パッケージ/厚生労働省

  • 建設事業の時間外労働の上限規制について(2024年4月1日適用)

    2023年11月2日

    お役立ち情報

    2019年4月1日(中小企業においては2020年4月1日)から施行されている時間外労働の上限規制について、建設事業はその適用が5年間猶予されていましたが、いよいよ適用猶予期間が終了し、2024年4月1日より、他の業種同様に上限規制の適用が開始となります。

     

    1.労働時間・休日に関する原則

     

    ①法定で定められた労働時間の限度(法定労働時間)
    1日については8時間、週については40時間が限度です。
    ②法定で定められた休日(法定休日)
    少なくとも週に1回はお休みを与えなければなりません。

     

    上記①を超えて、又は②の休日に労働させる場合は、36協定の締結及び労働基準監督署への届出が必要です。

     

     

    2.時間外労働の上限規制の内容

     

    原則1~3については、他の業種の上限規制と同様の内容となり、例外については建設の事業に限る内容となります。

    ここでいう時間外労働とは法定労働時間を超える労働時間をいい、休日労働とは週に1日の法定休日の労働をいいます。

     

    <原則1>

    時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。(1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、月42時間、年320時間が上限です)

     

    <原則2>

    臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合(特別条項)でも下記を守らなければなりません。

    ①時間外労働が年720時間以内

    ②時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

    ③時間外労働と休日労働の合計について、2~6か月の平均が月80時間以内

    ④時間外労働が月45時間(1年単位の変形労働時間制を採用する場合は月42時間)を超えることができるのは年6回が限度。

     

    <原則3>

    特別条項の有無に関わらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2~6か月の平均は月80時間以内にしなければなりません。

     

    <例 外>

    建設の事業のうち、災害時における復旧及び復興の事業に限り、2024年4月1日以降も下記の規制は適用されません。

    ①時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

    ②時間外労働と休日労働の合計について、2~6か月の平均が月80時間以内

    ※ただし、時間外労働が年720時間以内、時間外労働が月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)を超えることができる上限回数(年6回)は適用になります。

     

     

    3.36協定の書式について

     

    建設の事業はこれまで9号の4を使用していたところが多いと思いますが、2024年4月1日以降に締結する36協定については、次のいずれかの条件に該当する書式にて、時間外労働上限規制の内容に則り作成・締結することになります。

     

    ①(様式第9号)

    月45時間超(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)の時間外労働が見込まれず、災害時の復旧・復興の対応が見込まれない場合

    ②(様式第9号の2)

    月45時間超(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)の時間外労働が見込まれ、災害時の復旧・復興の対応が見込まれない場合

    ③(様式第9号の3の2)

    月45時間超(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)の時間外労働が見込まれず、災害時の復旧・復興の対応が見込まれる場合

    ④(様式第9号の3の3)

    月45時間超(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)の時間外労働が見込まれ、災害時の復旧・復興の対応が見込まれる場合

     

    施行にあたっては経過措置が設けられており、2024年4月1日以降の期間のみを定めた36協定に対して上限規制が適用されます。

    2024年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されません。

      

     

    4.労働基準法第33条(災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合)と、労働基準法第139条(災害時における復旧及び復興の事業)の違いと関係

     

    労基法第33条

    (目的):人命・公益の保護のため
    (対象):災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合。業務運営上通常予見し得ない災害等が発生した場合が対象。(災害への対応、急病への対応、事業の運営を不可能とさせるような突発的な機械・設備の故障修理、システム障害の復旧等)(建設の事業に限らない)
    (手続):事前の許可又は事後の届出
    (効果):36協定で定める限度とは別に時間外休日労働をさせることができる。
    (上限規制):適用なし

     

    労基法第139条(目的):社会的要請が強いため

    (対象):災害時における復旧・復興の事業(災害により被害を受けた工作物の復旧及び復興を目的として発注を受けた建設の事業。工事の名称に関わらず、特定の災害による被害を受けた道路や鉄道の復旧、仮設住宅や復興支援道路の建設等の復旧及び復興の事業)(建設の事業に限る)

    (手続):36協定の中で、特別条項として「災害時における復旧及び復興の事業に従事する場合」について協定する。

    (効果):36協定で定める範囲内で時間外・休日労働をさせることができる。

    (上限規制):時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2~6か月の平均で月80時間以内の規制は適用されない。ただし、時間外労働が年720時間以内と、時間外労働が月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超える限度(年6回)の適用はある。

     

    基本的に、災害時の復旧及び復興の事業を行う可能性のある事業場においては、その時間も含めて36協定(様式9号の3の2又は9号の3の3)を締結する必要がありますが、すでに締結していた36協定で協定された延長時間を超えて労働させる臨時の必要がある場合や36協定を締結していなかった場合などにおいては、労基法第33条の許可申請を行うことになります。

    労基法第33条、労基法第139条いずれの場合も、上限規制の適用は受けなくても、労働した時間についての割増賃金の支払いは必要です。

    また、労基法第139条(復旧及び復興の事業)に従事した労働時間と一般の工事に従事した労働時間が同月内に混在した場合は、復旧及び復興の事業に従事した時間については、時間外労働と休日労働の合計時間が月100時間未満、2~6か月の平均で月80時間以内の規制からは除くことができますが、一般の工事に従事した労働時間は除くことができません。

    また、時間外労働が年720時間以内と時間外労働が月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)を超えることができる回数の限度(年6回)のカウントにはどちらの労働時間も含めることになります。

    この管理をするためには、それぞれの労働時間を分けて把握できるようにしておく必要があります。

     

     

    時間外労働、休日労働の上限規制に対応するためには、正確な労働時間の把握が必須となります。

    それに伴い労働時間の管理の方法や、業務工程・人員配置の見直し等も必要になってくるかもしれません。

    適用開始が迫ってきていますので、今一度制度について理解を深め、時間外労働の上限規制に備えていきましょう。

     

     

    詳細は下記、厚生労働省のホームページをご参照ください。

    建設業時間外労働の上限規制わかりやすい解説

    労働基準法第139条と労働基準法第33条の違い

    労働基準法第33条

    建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A

  • 医師の働き方改革~時間外労働の上限規制等~ (A水準医療機関について)

    2023年10月3日

    お役立ち情報

    5年間猶予されてきた医業に従事する医師の時間外・休日労働の上限規制の適用猶予が2024年3月末で終了し、2024年4月1日以降、医業に従事する医師についても時間外・休日労働の上限規制が適用されます。

    尚、時間外労働とは、1日8時間、週40時間を超える法定時間外労働であり、休日労働とは法定休日労働を意味しています。

     

    1.2024年4月1日以降、適用される医師の上限規制

     

    (特定医師)

    病院等で医療を受ける者に対する診療を直接の目的とする医師等。各水準に応じた医師の時間外・休日労働の上限規制が適用されます。

    (特定医師以外)

    産業医や検診センターの医師等、診察を直接の目的としない医師等。一般業種と同じ、時間外・休日労働の上限規制が適用されます。

     

     

    2.上限規制の適用分類

     

    病院の機能等に応じてAからC水準に分類され、それぞれ上限規制の時間や追加的健康確保措置の内容等が変わってきます。

    B、C水準については、事前の指定申請等が必要となります。

    また各水準の上限時間は、指定を受けた医療機関に従事する全ての医師に適用されるのではなく、指定される事由となった業務に従事する医師のみに適用されます。

     

    A水準 原則。院内において患者の診療にあたる勤務医等の業務が時間外労働と休日労働の合算において年960時間を超えない。

    ■上限(時間外労働+休日労働の合算):年960時間以下/月100時間未満※

    B水準 救急医療や高度な医療を提供する等、地域医療を確保する為

    ■上限(時間外労働+休日労働の合算):年1860時間以下/月100時間未満※

    連携B水準 他院と兼業する医師の労働時間を通算すると長時間労働となるため(医師の派遣等を通じて地域医療提供体制を確保する為に必要な役割を担う)

    ■上限(時間外労働+休日労働の合算):個々の医療機関の上限は年960時間以下、複数医療機関との通算では1860時間以下/月100時間未満※

    C-1水準 臨床研修医、専攻医等の研修のため

    ■上限(時間外労働+休日労働の合算):年1860時間以下/月100時間未満※

    C-2水準 先進的な手術方法等高度な技能の習得のため

    ■上限(時間外労働+休日労働の合算):年1860時間以下/月100時間未満※

    ※時間外労働と休日労働の合算が月100時間以上となることが見込まれる特定医師に対して、面接指導の実施及び適切な就業上の措置(労働時間の短縮、宿直回数の減少等)を講ずる場合は月100時間未満の規制は適用されず年960時間(B・C水準1860時間)のみ適用されます。

     

    3.A水準医療機関の上限規制等について

     

    ここからは、一般的な医療機関等で診療を行う勤務医の原則的な上限時間である「A水準医療機関」の上限規制等について説明します。

     

    ①1か月の時間外労働の上限

    1か月45時間以下、1年間360時間以下。(1年単位の変形労働時間制の場合は1か月42時間、1年間320時間)ここについては一般の業種と同じです。

     

    ②1か月の時間外労働・休日労働等の上限規制(特別条項)

    特別条項を締結した場合は、①の時間外労働の上限を超えて労働させることが可能となります。

    協定の上限は時間外労働と休日労働の合算で、1か月100時間未満、1年間960時間以下です。

    ただし面接指導を実施し、健康確保の為に適切な措置を講ずることとしている場合は1か月100時間を超える時間を協定することも可能です。

    時間の上限はありませんが1年間の上限は960時間以下との定めがありますので、その範囲内で労使にて決定することになります。

    一般業種が1か月の上限時間を超える特別条項を発動することができるのは最大で年6回までと定められていますが、特定医師には回数の制限がありません。

    但し、特定医師の場合でも、特別条項は通常予見できないような臨時的な特別の事情があるときに限り発動できるということは一般業種と同じです。

    回数の制限がないから恒常的に毎月発動できるという趣旨のものではないことに注意が必要です。

    回数については上記の趣旨を踏まえたうえで労使にて決定することになります。

    また使用者には従業員の健康を確保する安全配慮義務がありますので、時間外労働・休日労働はできるだけ最小限に抑える必要があることはいうまでもありません。

     

    ③36協定の様式

    特定医師がいない場合の36協定は、一般の9号(特別条項を締結する場合は9号の2)を使用します。

    特定医師を1人でも含む場合は9号の4(特別条項を締結する場合は9号の5)を使用します。

     

    ④副業・兼業の時間外・休日労働の上限規制

    個々の医療機関の36協定に定めた上限時間におさまっているかどうかの判断の際には副業・兼業先の労働時間は通算しません。

    一方、時間外・休日労働の上限については特定医師個人に対する上限時間であるため、副業・兼業先の労働時間も通算されます。

    複数医療機関に勤務する医師が実際に働くことができる通算上限時間(年)は他の医療機関の適用水準により異なります。

    ①いずれの医療機関においてもA水準が適用されている医師については、勤務する全ての事業場での労働時間を通算した時間外・休日労働の上限は960時間となります。

    ②いずれかの医療機関においてB・連携B、C水準が適用されている医師については、勤務する全ての事業場での労働時間を通算した時間外・休日労働の上限は1860時間となります。

     

    4.追加的健康確保措置

     

    A水準において、時間外・休日労働が、月の上限(100時間)以上になると見込まれる場合(副業、兼業をしている医師については通算して月100時間以上となる見込みが ある場合)

     

    <義務>

    面接指導実施医師による面接指導

    面接指導及び必要に応じて勤務時間の短縮、宿直の回数の減少等、就業上の措置を講じる。

    ★面接指導実施医師の要件

    ①勤務している医療機関の管理者でないこと

    ②面接指導実施医師養成講習会を受講していること

     

    面接指導を行った場合、その結果及び意見書は、自院の管理者のみならず副業・兼業先の管理者にも提出します。

    その場合、兼業先で別に面接指導を行う必要はありません。

    ただし、結果等の提出がなかった場合は、副業・兼業先の医療機関の管理者は別途面接指導を実施する必要があります。

     

    <努力義務>

    ・勤務間インターバル(始業から24時間以内に9時間確保)

    ・連続勤務時間は28時間まで

    ・代償休息を与える

     

    5.宿日直許可申請

     

    本来業務の終了後等に宿直や日直の勤務を行う場合で、当該宿日直勤務が断続的な労働と認められる場合は、労働基準監督署の許可を受けることにより労働時間や休憩に関する規定は適用されないことになります。

    ただし、宿日直許可を受けていても、該当時間中に通常の業務を行った場合は、その時間については労働時間とする必要があります。

     

    <許可基準>

    ①勤務の態様・・・ 常態としてほとんど労働をする必要のない勤務であること。

    ②宿日直手当・・・ 宿日直手当の最低額は、当該事業場において宿日直勤務に就くことの予定されている医師に対して支払われている賃金の一人一日平均額の3分の1以上であること。

    ③宿日直の回数・・ 宿直は週に1回、日直は月に1回を限度とする。(例外あり)

    ④その他・・・・・ 睡眠設備が設置されていること

    宿日直許可を取得していない場合はすべて労働時間としてカウントされ、割増賃金等の支給も必要となってきます。

    時間外・休日労働の上限規制では、副業・兼業先の労働時間も通算されることから宿日直許可を取得しているか否かは非常に重要なポイントとなります

    2024年4月に向けて申請が増加することが想定されます。早め(2023年中に)許可申請をしておくことをお勧めします。

     

     

    医師の時間外労働の上限規制スタートに向けて、制度の理解、医師の労働時間の把握に向けた準備(タイムカード等の導入等)、36協定の締結準備、宿日直許可申請、副業兼業の把握等、様々な取り組みが必要です。医師の働き方改革は内容が複雑ですので、今回はA水準だけに絞って要点を説明致しました。

     

     

    制度の詳細は、下記厚生労働省のホームページをご確認ください。

    医師の働き方改革|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

    面接指導実施医師養成ナビ (mhlw.go.jp)

  • 令和5年度の最低賃金が決定しました。

    2023年10月3日

    お役立ち情報

    令和5年度の最低賃金が決定されました。

    効力の発行日は各都道府県により異なりますのでご注意ください。

    神奈川県の場合は、効力発生日は令和5年10月1日です。

    都道府県名 令和5年最低賃金 令和4年最低賃金 発効年月日
    群馬 935 895 令和5年10月5日
    埼玉 1,028 987 令和5年10月1日
    千葉 1,026 984 令和5年10月1日
    東京 1,113 1,072 令和5年10月1日
    神奈川 1,112 1,071 令和5年10月1日
    静岡 984 944 令和5年10月1日

     

    全国の地域別最低賃金は厚生労働省のホームページをご覧ください。

    地域別最低賃金の全国一覧

     

    〇最低賃金の適用される労働者の範囲

    地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。(パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。)

     

    〇最低賃金の対象とならない賃金

    ①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)

    ②1箇月を超える毎に支払われる賃金(賞与等)

    ③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金)

    ④所定労働日以外の労働日に対して支払われる賃金(休日割増賃金)

    ⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金計算額を超える部分(深夜割増賃金等)

    ⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当等

     

    〇最低賃金以上の賃金額を支払わない場合の罰則

    最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

    また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

  • 36協定「特別条項」の発動手続きを適切に行っていますか?

    2023年9月4日

    お役立ち情報

    ■36協定及び特別条項について

    36協定の締結(労使)・届出(労働基準監督署)がないと、時間外労働(※1法定時間外労働)や休日労働(※2法定休日労働)をさせることができません。

     

    ※1法定労働時間・・・・・1日8時間、週40時間以内

    ※2法定休日・・・・・・・週に1日の休日(変形休日制の場合は4週に4日の休日)

     

    36協定を締結すれば無限に時間外労働をさせることができるわけではなく、上限時間が定められています。

    2019年4月施行(中小企業は2020年4月~)の時間外労働の上限規制により、罰則付きの上限が法律に規定され、臨時的な特別の事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられました。

    (2024年3月31日まで、建設事業、自動車運転の業務、医師等は時間外労働の上限規制の適用が猶予されています。)

     

    <36協定の上限>

    時間外労働の合計が月45時間、年360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間、年320時間)を上限とし、臨時的特別な事情がなければこれを超えることはできません。

     

    臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合、特別条項付きの36協定を締結・届出することで、上記の36協定の上限時間を超えて時間外労働をさせることができます。

    ただし、この場合も上限が定められています。

     

    <特別条項の上限>

    時間外労働が年720時間以内

    時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

    時間外労働と休日労働の合計について2~6か月の平均がすべて80時間以内

    時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月が限度

    (※時間外労働・・・法定労働時間を超える労働   休日労働・・・法定休日の労働)

     

     

    ■特別条項の発動手続きについて

    特別条項付きの36協定の中で、「限度時間を超えて労働させる場合における手続き」を協定しています。

    特別条項を発動する際にはこの手続きを踏むことが必要になりますので注意が必要です。

     

    限度時間を超えて労働させる場合における手続きは、労働者代表に対する事前通知や協議などとしていることが多いと思います。

    協議としている場合は労使間での協議が必要ですし、労働者代表への通知としている場合は一方的に通知することで手続き要件を満たすことになります。

    いずれの場合も口頭ではなく書面等で行い、特別条項の発動手続きを適切に行っている記録を残すことが労務管理上必要です。

     

    <特別条項発動協議書又は通知書の記載事項の例>

    ・対象労働者     〇〇課  〇〇 〇〇

    ・特別条項の発動事由 大規模なクレーム対応

    ・特別条項発動期間  〇年〇月〇日~〇年〇月〇日

    ・特別延長時間    1か月〇時間以内(含休日労働))

    ・健康福祉措置    特別条項発動期間中、11時間の勤務間インターバルを適用

     

    毎月、各労働者の特別条項の発動タイミングごとに上記手続きを行う必要があります。

    そのためには、労働者の前日までの時間外労働と休日労働の時間を把握している必要があります。

    そして特別条項の発動は年に6回を限度(個人ごと)としているため、労働者毎に特別条項の発動回数を記録していく必要もあります。

    また、特別条項の中では、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」も定めています。

    特別条項を発動した際には、健康・福祉確保措置の実施状況の記録も作成して保存しておく必要があります。

     

     

    今回は、見落としがちな特別条項の発動手続きについて取り上げました。

    特別条項の発動手続きを適切に行っているかどうかは、労働基準監督署の調査時等にも問われる部分となりますので、やっていなかったという場合はぜひ今後適切に手続きを行うようにしていただきたいと思います。

    また、使用者には安全配慮義務があり、労働者が長時間労働で健康を害すること等がないよう配慮し、時間外労働や休日労働は最小限にとどめるよう努めることも必要とされています。

    いずれにしても各労働者の日々の労働時間管理や時間外労働の手続き等が適切に行われていないとできない内容となります。

    2024年4月からは、時間外労働の上限規制の適用が猶予されていた、建設事業、自動車運転の業務、医師等についても上限規制の適用が始まります。

    この機会に、自社の労働時間の管理方法、36協定の締結・届出(協定内容含む)、特別条項の発動手続き等が適切かどうか確認してみてはいかがでしょうか。

     

     

    詳細は下記をご参照ください。

    時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 / 厚生労働省

    FAQ / 愛知労働局

  • 2024年4月1日適用 トラック運転者の時間外労働の上限規制適用と改善基準告示の改正ポイントについて

    2023年8月2日

    お役立ち情報

    時間外労働の上限規制については、2019年4月から(中小企業は2020年4月)導入されていますが、建設事業、自動車運転の業務、医師等は上限規制の適用が5年間猶予されていました。

    この5年の猶予期間が終了し、2024年4月1日以降、いよいよ猶予されていたこれらの事業・業務にも上限規制が導入されます。

    今回は2024年問題等と、ニュースやネットでも多く取り上げられている自動車運転の業務(トラック運転者)について、主な改正点等をみていきましょう。

     

    ■時間外労働の上限規制の適用

     

    (2024年4月1日以降)

    特別条項付きの36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間になります。

    ※時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均が80時間以内とする規制は適用されません。

    ※時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

    ※2024年4月1日以降の期間のみを定めた36協定に対しては上限規制が適用されますが、2024年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、その間上限規制は適用となりません。1年経過後に新たに定める協定から上限規制が適用になります。

     

    ■改善基準告示の改正のポイント

     

    1.1年、1か月の拘束時間

    1年の拘束時間は3,516時間以内→「3,300時間以内」、かつ、1か月の拘束時間は293時間以内「284時間以内」に改正されます。

    (例外)
    労使協定により1年のうち6か月までは、1年の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができます。
    ただし、下記①②を満たす必要があります。
    ①1か月の拘束時間が284時間を超える月は連続3か月まで。
    ②1か月の時間外労働及び休日労働の合計時間数が100時間未満となるよう努める。
    ※2024年3月31日以前に締結した労使協定であり、協定有効期間の終期が2024年4月1日以降であるときは、その終期以降に新たに締結する労使協定から新告示に対応させることになります。(期間の途中である場合2024年4月1日に新告示に沿った協定を締結しなおす必要はありません。)

     

    2.1日の拘束時間

    1日(始業時刻から起算して24時間をいう)の拘束時間は13時間以内とし、これを延長する場合であっても、上限は16時間→「15時間」に改正されます。

    (例外)
    宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は週2回を限度に1日の拘束時間を16時間まで延長できます。
    ※1週間における運行が全て長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合。

     

    3.1日の休息期間

    1日の休息期間は、勤務終了後、継続8時間以上必要→継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません」に改正されます。

    (例外)
    宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回を限度に継続8時間以上とすることができます。
    ただし、休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、一の運行終了後に継続12時間以上の休息を与えなければなりません。

     

    4.連続運転時間

    連続運転時間は4時間以内です。運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の運転の中断が必要です。

    これまでは、運転の中断を分割する場合は1回10分以上となっていたところが、運転の中断は概ね連続10分以上としたうえで分割できるとされ、10分未満でも認められるようになりました。

    ただし1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。

    また、1回の中断が5分等のように、10分と乖離している時間の場合は概ね10分以上とは認められません。

    またこれまでは運転の中断は「荷積み、荷卸し、荷待ち等」でも可でしたが、改正後は運転の中断は原則として休憩を与えなければなりません。

    すぐにそのような対応ができない場合も、いきなり改善告示違反とはなりませんが、休憩が確保できるような運行計画等を作成することが要請されます。

    (例外)
    サービスエリア又はパーキングエリア等が満車である等により駐車や停車ができず連続運転時間が4時間を超える場合には4時間30分まで延長することができます。

     

    5.予期し得ない事象への対応時間の取扱い

    災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から、予期し得ない事象への対応時間を除くことができるようになります。

    ただし1か月の拘束時間等の他の規定の計算については除くことができません。

    1か月の最終日に予期し得ない事象が発生したことにより1か月の拘束時間の上限を超えることのないよう余裕をもった運行計画を作成することが望ましいです。

    予期し得ない事象には予測することが可能な交通渋滞等は該当しません。

    また、客観的な記録により確認できる時間であることも要件となります。

     

    6.分割休息の特例

    業務の必要上、業務終了後継続した9時間以上(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は継続8時間以上)の休息期間を与えることが困難な場合は、当分の間一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1を限度として、休息時間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。

    分割された休息時間は1回あたり継続3時間以上とし、2分割または3分割とします。

    2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上となるように与えなければなりません。

    休息期間を3分割する日は連続しないように努める必要があります。

    4分割以上は認められません。

     

    7.2人乗務の特例

    車両が一定の基準(①長さ198㎝以上かつ幅80㎝以上の連続した平面。②クッション材料等により走行中の路面等からの衝撃を緩和されるもの)を満たし、かつ、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を与える場合は、拘束時間を24時間まで延長することができます。

    この場合において8時間以上の仮眠時間を与える場合は拘束時間を28時間まで延長することができます。

     

     

    上限規制の適用に伴い、36協定の書式も変更になります。

    2024年4月1日以降にあらたに締結する協定については、新様式(一般条項9号の3の4、特別条項9号の3の5)を使用するように注意しましょう。

     

    その他、改善基準告示についての詳細は下記URLをご確認ください。

    トラック運転者の改善基準告示 | 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト

     

     

    ★アルコール検知器を使用してのアルコールチェックについて

    2022年10月1日からアルコール検知器を使用してのアルコールチェックが義務化とされておりましたが、アルコール検知器の供給等の問題から当分の間延期とされていました。

    義務化開始予定日はしばらくの間未定でしたが、警視庁より、アルコール検知器を使用してのアルコールチェックの義務化を2024年12月1日より施行するとの方針が明らかにされました。

    6月9日から7月8日までパブリックコメントを実施し、その後正式に決定されるとみられています。

    警視庁からの今後の発表に注目するとともに、アルコール検知器の準備等もすすめていかれると良いでしょう。

    尚、アルコールチェックについては2022年5月の記事でも取り上げています。

    アルコール検知器試用義務化規定の適用について

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