-
社会保険 算定基礎届の提出
2023年7月4日
社会保険算定基礎届(定時決定)の提出の時期になりました。
期間内に、日本年金機構へ提出してください。
提出期間 : 令和5年7月1日(土)から7月10日(月)まで
<定時決定とは>
■ 健康保険及び厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、7月1日現在で使用している全ての被保険者及び70歳以上被用者に4・5・6月に支払った賃金を、「算定基礎届」によって届出し、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。
これを定時決定といいます。
■「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納付する保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。
■ 届出書類や案内文書が、事業主宛に6月上旬頃から日本年金機構より発送されます。
電子申請 または 同封されている返信用封筒にて事務センターへ郵送して下さい。
<留意点>
■ 算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日現在の全ての被保険者及び70歳以上被用者です。
ただし、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する方は算定基礎届の提出が不要です。
(1)6月1日以降に資格取得した方
(2)6月30日以前に退職した方
(3)7月、8月、9月随時改定の月額変更届を提出する方
■ 報酬とは「労働の対償」として受けるものが報酬となります。
基本給だけでなく各種手当や通勤定期券(非課税分含む)も含まれますが、出張旅費、解雇予告手当、退職手当、臨時に受けるもの、3ヵ月を超える期間ごとに受けるものは除きます。
詳細については日本年金機構のホームページでご確認ください。
-
月60時間超の割増賃金率の変更に伴う社会保険の「随時改定」について
2023年6月2日
~割増賃金率が変わると社会保険の随時改定(月額変更)の対象になる?!~
2023年4月1日以降の労働分より、中小企業においても月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が25%から50%に引き上げられました。
それに伴い、就業規則の変更、労働条件通知書の変更、給与計算の変更等様々な対応が求められています。
また、社会保険への影響としては随時改定(月額変更)があげられます。
■ 社会保険の随時改定(月額変更)とは?
被保険者の報酬が固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。
1.随時改定の3つの要件
① 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
② 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
③ 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。
2.固定的賃金とは
支給額や支給率が決まっているものをいい、主に以下のようなケースがあります。
① 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
② 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
③ 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
④ 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
⑤ 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更
■ 割増率の変更に伴う随時改定(月額変更)
単に残業時間の変動による賃金の変動だけの場合は随時改定の対象になりませんが、今回のように割増率の変更の場合は随時改定の対象になります。
日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集、随時改定の問2」においても、超過勤務手当の支給単価(支給率)が変更された場合は随時改定の対象になることが記されています。
■ 2023年4月改正、月60時間超の割増賃金率の引き上げに伴う随時改定(月額変更)の対応について
①起算月と対象者
引き上げた割増率によって計算される割増賃金の支給開始月が起算月となり、起算月以降継続した3か月のうちいずれかの月において、月60時間超の割増賃金が支給されている場合は随時改定の対象になります。
逆にいずれの月も支給されていない場合は随時改定の対象になりません。
起算月は、実際の支給の有無に関係なく、改正後の割増率が反映される最初の賃金支給月ということになります。
②月額変更のタイミング
・4月労働の割増賃金を4月に支給する場合(4月が起算月)
4月、5月、6月の3か月のうちいずれかの月に月60時間超の割増賃金が支給された場合は、7月月額変更
・4月労働の割増賃金を5月に支給する場合(5月が起算月)
5月、6月、7月の3か月のうちいずれかの月に月60時間超の割増賃金が支給された場合は、8月月額変更
いずれの場合も随時改定(月額変更)の3つの要件に該当した場合のみ月額変更届を提出することになります。
残業代は非固定的賃金のため随時改定は関係ないと思われがちですが、割増率の変動は随時改定の契機になるため注意が必要です。
2023年4月改正により割増賃金率を引き上げ、かつ実際に月60時間を超える残業を行った場合は、社会保険の随時改定(月額変更)についても該当者がいないかどうか確認しましょう。
詳細は下記、日本年金機構のHPをご参照ください。
-
労働保険料の申告・納付
2023年6月2日
今年も、労働保険の年度更新の時期になりました。
今年の申告・納付期間は6月1日(木)~7月10日(月)です。
手続きが遅れると、政府が労働保険料・一般拠出金の額を決定し、さらに追徴金を課すことがありますのでご注意下さい。
■ 年度更新とは
労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)は、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付と、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続きが必要です。
この手続きを「年度更新」と言います。
■ 保険料
労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度といいます。)を単位とし、その間に支払われるすべての労働者の賃金総額に、業種ごとに定められた保険料を乗じて算定します。
賃金総額は、基本給だけでなく、通勤手当(非課税分含む)、各種手当、賞与等、労働の対償として支払うすべてのもので、税金や社会保険料等を控除する前の支払総額をいいます。
慶弔見舞金、出張旅費等の実費弁償、工具手当等の労働者が自己負担で用意した用具に対しての手当等は含まれません。
保険年度中に支払いが確定した賃金は、その保険年度に実際に支払われていなくとも算入してください。
3月1日~3月31日の給与を4月15日に支払っている場合、この給与は4月ではく3月として算入します。
元請により実施した工事がある建設業で、賃金総額が算定しがたい場合は、特例の計算方法により賃金総額とし、保険料を算定することができます。
【 請負金額(消費税除く)×労務比率=賃金総額 】
また、「一括有期事業総括表」と「一括有期事業報告書」もあわせて提出することになります。
■ 申告書
年度更新の申告書は、事業主宛に5月末~6月初に労働局より発送されます。
申告書を作成し、期間内に①~③の方法で提出してください。
①管轄の都道府県労働局・労働基準監督署・金融機関の窓口 ②電子申請 ③管轄の労働局へ郵送
その他、詳細については厚生労働省のホームページでご確認ください。
-
令和5年度 在職老齢年金制度の支給停止調整額が変更されました
2023年5月9日
令和5年4月より、在職老齢年金制度の支給停止調整額が、47万円から48万円に変更されました。
■在職老齢年金制度とは…
働きながら(厚生年金に加入している又は加入義務の年齢を過ぎても加入要件を満たすような働き方をして給与等を得ている場合)老齢厚生年金を受けることができる人については、給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)が支給停止調整額を超える場合には、老齢厚生年金額について一部支給停止又は全額支給停止等の支給調整が行われます。
これを在職老齢年金制度といいます。
■支給停止調整額とは…
給与等(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額(1か月当たり)がこの金額までなら支給停止なく全額支給されるという基準額のことを「支給停止調整額」といいます。以前は60歳以上65歳未満と65歳以降では、支給停止調整額が異なっていましたが、令和4年4月の年金制度改正により、60歳以上65歳未満も65歳以上と同じ支給停止調整額47万円に改正されていました。
この支給停止調整額は毎年4月に見直しがあり、令和5年度は48万円に変更されました。
■在職老齢年金制度による支給停止計算方法
給与等(賞与含む)の1か月あたりの額と老齢厚生年金の1か月あたりの額の合計が48万円以下であれば年金は支給停止なく全額支給され、48万円を超えた場合は、超えた額の半分が支給停止になります。
支給停止額(年額)=(総報酬月額相当額…①+基本月額…②-48万円)×1/2×12月
年金支給額(年額)=老齢厚生年金額(年額)-支給停止額(年額)
①総報酬月額相当額とは…
調整の対象となる月におけるその者の「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額」を合算して得た額のことです。
※70歳以上の場合は、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額。
②基本月額とは…
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額(加給年金を除く)を12月で除して得た額のことです。(老齢基礎年金は支給調整の対象外です。)
■在職定時改定
令和4年4月の年金制度改正により、毎年9月1日に厚生年金に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額を10月分(12月受取分)から改定する仕組みがとられています。
これにより原則として年金額が年に1度増額改定されるため、報酬等に増額がない場合でも在職老齢年金制度による支給停止額には影響が出る可能性があります。
老齢年金を受給していても、70歳までは加入要件を満たす場合は厚生年金に加入し保険料を納めなければなりませんが、その分年金は増えていくことになります。
また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても厚生年金の加入要件を満たすような働き方を継続している限りは、年齢の上限なく在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給調整は行われることになります。
70歳までの就業機会の確保が努力義務とされている現代において、働きながらもらう年金については多くの企業や個人にとっても関心の高い部分だと思います。
また、働いて給与等を得ている方が老齢厚生年金を受給できるようになった時や給与等を得ながら老齢厚生年金を受給している方が給与等を変更する場合等には、少なからず年金額への影響があるため、在職老齢年金制度をよく理解するとともに、今回改定された支給停止調整額や年金制度についても毎年動向を注視していきましょう。
詳細は下記をご参照ください。
-
出産育児一時金の引き上げ
2023年5月9日
出産育児一時金が、令和5年4月1日出産分から、政府の少子化対策強化の一環として、1児につき42万円から50万円(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合や妊娠週数22週未満で出産された場合の出産育児一時金は48.8万円)に引き上げられました。
○出産育児一時金とは
出産は、正常な出産の場合は病気・ケガには含まれないため、健康保険が使えず、費用は全額自己負担になってしまいます。
その代わりに、加入している健康保険から出産育児一時金を支給しています。
出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産した時に加入している健康保険から支給されます。
多胎児を出産した場合には、出産した胎児数分だけ支給されますので、双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
○申請方法
①直接支払制度
直接支払制度を導入している医療機関等で出産する場合、健康保険から支給される出産育児一時金を医療機関等における出産費用に充てることができるよう、出産育児一時金を健康保険から医療機関等に対して直接支払う制度のことです。
この制度を利用すると、被保険者が医療機関等へまとめて支払う出産費用の負担の軽減を図ることができます。
②受取代理制度
小規模な診療所や助産院等、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる医療機関等は、直接支払制度を導入していない場合があります。
そのような医療機関等での出産の場合に、本来、被保険者が受け取るべき出産育児一時金を医療機関等が被保険者に代わって受け取る制度のことです。
この制度を利用すると、被保険者が医療機関等へまとめて支払う費用の負担の軽減を図ることができます。
③事後申請
直接支払制度や受取代理制度を利用しない場合、出産後に加入している健康保険へ事後申請を行うことになります。
この場合、病院の窓口で一時的に費用を全額自己負担することになりますので、まとまった費用を準備する必要があります。
加入している健康保険によっては、独自に付加金を上乗せして支給している場合があります。
申請方法等を含め、詳細は各自で加入している健康保険へ問い合わせ(またはホームページを確認)してみてください。
-
雇用保険料の変更を忘れずに!
2023年4月6日
令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率が変更になります。
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が令和4年3月30日に国会で成立し、令和4年4月から第一段階として事業主負担の保険料率、令和4年10月から第二段階として労働者負担・事業主負担の保険料率が段階的に引き上げられました。
雇用保険料率は毎年見直しが行われ、変更になる場合は通常は労働者負担・事業主負担ともに4月から変更になりますが、昨年は新型コロナウィルス感染症の経済影響を踏まえ、労働者負担は10月からの変更となりました。
令和5年は通常どおり、労働者負担・事業主負担ともに4月から変更になります。
保険料は、毎月の給与総支給額に、業種ごとに定められた保険料率を乗じて計算します。
賃金締日が4月中にある給与から雇用保険料の変更が必要です。
(例)20日締の場合3/21~4/20の給与 / 末締めの場合4/1~4/30の給与
変更し忘れないようにご注意ください。
業種ごとの料率等、詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
-
健康診断を実施していますか?
2023年4月6日
労働安全衛生法では、「事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を実施しなければならない。」と定められています。
健康診断の実施は従業員の人数や会社の規模により決まるものではなく、常時使用する労働者を1人でも雇用した場合は実施の義務が生じます。
また、労働者は事業者が行う健康診断を受けなければなりません。
受診の対象者は「常時使用する労働者」
正社員だけでなく、下記の①及び②のいずれの要件も満たす場合は契約社員やパート・アルバイトも対象となります。
①期間の定めのない契約により使用される者又は1年以上使用されることが予定される者、及び更新により1年以上使用されている者。(特定業務従事者においては6か月以上使用されることが予定され、又は6か月以上使用されている者)
②その者の1週間の労働時間数が当該事業場においての同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること。(②に該当しない場合でも①に該当し、通常の労働者の1週間の所定労働時間の概ね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされています。)
一般健康診断
健康診断の結果(健康診断個人票)を5年間保存する必要があります。
一般健康診断は事業主の義務とされているため、健康診断(法定項目)にかかる費用は事業主の負担となります。
健康診断にかかる時間の賃金については支払いの義務が課されているものではなく労使が協議して決定するものになりますが、円滑な実施のためには支払うことが望ましいとされています。
①雇入時の健康診断
常時使用する労働者を雇入れる直前又は直後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)検査項目の省略ができないため、入社前3か月以内に前職等で受診した診断結果の提出をもって雇入時健康診断に代える場合は、検査項目に漏れがないか確認し、不足部分があれば追加で受診する必要があります。
②定期健康診断
1年以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)
年齢により検査項目が異なり、また医師が必要ないと認める場合は省略することができます。
あくまで医師が自覚症状や既往歴等を総合的に判断するものであり、事業主の判断で省略できるものではありません。
①の雇入時健康診断の受診から1年以内であれば定期健康診断は省略できます。
ただし、次回の定期健康診断は雇入時の健康診断日から1年以内に実施する必要があります。
③特定業務従事者の健康診断
坑内おける業務、深夜業を含む業務等、労働安全衛生規則第13条に定められている有害業務に従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回実施するものです。(常時50人以上の労働者を使用する事業主は、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に報告する必要あり)
④海外派遣労働者への健康診断
6か月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するものです。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)
⑤給食従業員の検便
事業に付属する食堂又は炊事場における給食業務に従事する労働者に対し、雇入時又は当該業務に配置替えの際に検便検査を実施します。(所轄労働基準監督署への報告の必要なし)
健康診断実施後の措置
①健康診断結果の所見内容の確認と、労働者に対する健康診断結果の通知
②要精密検査、要治療等の労働者に対しての受診勧奨や保険指導の実施
③医師の意見聴取
有所見者の就業上の措置について医師の意見を聴かなければなりません。
医師の意見を勘案し必要がある場合は、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じる必要があります。
産業医がいる会社は産業医に依頼し、産業医の選任義務がない会社は「地域産業保健センター」に依頼することができます。
特殊健康診断
「一般健康診断」の他にも一定の有害な業務に従事する労働者に対して実施が義務付けられている「特殊健康診断」があります。
該当する事業主は決められた期間ごとに実施し、労働者数に関係なく所轄労働基準監督署に報告書を遅滞なく提出しなければなりません。
また、この特殊健康診断は業務の遂行上当然に実施しなければならない健康診断であるため、健康診断にかかる費用はもちろん、健康診断に要する時間も労働時間として賃金を支払う必要があります。
罰則
健康診断の実施義務を怠った場合は50万以下の罰金に処される可能性があります。
法律で定められた健康診断を実施することはもちろん、健康診断実施後の措置まで確実に行うことが事業主の義務となります。
会社には従業員が安全、健康に労働できるように配慮する「安全配慮義務」が課されています。定められた健康診断を行わない、又は健康診断後の措置を確実に実施しないことにより、万が一死亡等の病状の悪化や重大な事故等があれば、安全配慮義務違反となり、損害賠償責任が発生することもあります。
また、健康診断の実施や管理、事後措置にはその関係者に対して守秘義務が課されています。
プライバシーの保護に十分注意を払い対応することも大変重要です。
従業員が健康で安全に働くことが、会社の健全な経営につながります。
4月は入社が多い時期でもあり、また新しい年度の始まりでもあります。この機会に健康診断について正しく理解し、適切な実施や対応につなげていただきたいと思います。
詳細は厚生労働省のホームページをご参照ください。
-
障害者雇用について(令和5年度設定 障害者雇用率の変更)
2023年3月2日
<障害者雇用率とは…>
障害者雇用率制度とは、障害者について、一般労働者と同じ水準で常用労働者となる雇用機会を確保することを目的とし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、一定規模以上の事業主に、一定数以上の障害者の雇用義務を課すものです。
障害者雇用率は少なくとも5年毎にその割合の推移を勘案して設定されます。
令和5年4月以降の障害者雇用率は2.7%で設定されましたが、雇入れに係る計画的な対応ができるよう、下記のとおり段階的な障害者雇用率の引き上げが予定されています。(民間企業の場合)
除外率の引き上げ時期 障害者雇用率 令和3年3月~ 2.3%(現行) 令和5年4月~ 2.3%(据え置き) 令和6年4月~ 2.5%(引き上げ) 令和8年4月~ 2.7%(引き上げ) 令和10年4月~ 令和10年度からの雇用率 現行(障害者雇用率2.3%)では ※1 常用労働者数(除外率により除外すべき労働者を控除した数)が43.5人以上の事業主に対して障害者雇用の義務が生じますが、障害者雇用率が2.5%では40人以上、2.7%では37.5人以上となり、障害者雇用の義務がある事業主の範囲が広がることになります。
※1 常用労働者数とは、雇用契約の形式にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用されるもの(見込みを含む)をいいます。昼間学生や2つの事業所に雇用されている労働者、外国人労働者(技能実習、特定技能含む)、65歳以上の労働者についても常用労働者に含まれます。30時間以上を1人、20時間以上30時間未満を0.5人としてカウントします。
<除外率とは…>
障害者雇用には除外率制度というものが設けられています。雇用する労働者数を計算する際に、業種ごとに定められた除外率に相当する労働者数を控除することで、障害者を雇用することが難しい業種の雇用義務を軽減することを目的とした制度です。
除外率制度は平成14年障害者雇用促進法の改正により廃止の方向が示されたものですが、経過措置として当分の間設定されるとしながら、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げすることになっているものです。
これにより、令和7年4月より除外率が一律10ポイント引き下げられる見込みとなっています。
<行政指導、納付金等について>
障害者雇用の義務がある事業主は、毎年6月1日現在の状況を「障害者雇用状況報告書」の提出により報告しなければなりません。
そして、障害者雇用義務があるにも関わらず必要雇用人数に達しない場合には、行政からの雇入れ計画(2年計画)の作成命令や指導等の障害者雇用率達成のための措置があります。
改善が遅れている企業の場合、企業名公表の可能性もあります。
また、常用労働者100人超の雇用率未達成企業は、納付金(不足1人当たり月額50,000円)が徴収され、逆に雇用率達成企業には調整金や報奨金等が支給されるという制度もあります。
納付金は、前年4月1日から当年3月31日の間で、常用労働者数が100人を超えた月が5か月以上あった場合に納付義務が発生します。
また、納付金を納めても障害者の雇用義務が免除されるわけではありませんので、引き続き雇用率達成の努力をしていく必要があります。
労働者を雇用する事業主は、民間企業であると官公庁であるとを問わず、身体障害者等に雇用の場を提供する社会連帯責任を有するということが障害者の雇用の促進等に関する法律によって定められています。
このような法律に基づき障害者雇用率が設けられ、上記で説明したような制度等により、障害者の雇用機会の安定と促進が図られています。
障害者雇用の義務がある事業主は、その義務を果たすべき対応が求められますし、今後の雇用率の改定により義務が生じてくる事業主においては、雇入れの体制や環境作り等、早めに準備を進めていくことが重要だと思います。
詳細は下記をご参照ください。